ひとランク上の 牛肉麺 7選!
企画構成/鍾昀彤 文/楊善文・劉宛昀 写真/宋育玫
ひとランク上の 牛肉麺
よりおしゃれに 個性的に
台湾麺の代表選手といえば、「牛肉麺」。農業社会の時代、台湾には牛肉を食べる習慣がなかったが、戦後中国大陸より渡ってきた人たちが牛肉麺文化を持ち込んだ。台湾での発祥の地は高雄市の岡山だといわれる。現在よく見られるメニューは、豆板醤と醤油がベースの紅焼牛肉麺、四川激辛風味の麻辣牛肉麺、あっさりスープの清燉牛肉麺だが、近年台北では様々な個性派のニューウエーブが登場している。ぜひ複数の店にチャレンジしてみたい。
目次
時寓
古いアパートの2階に位置する。1階の入り口に掛かった小さな看板はうっかり見逃してしまいそうだが、オープンからわずか2年で、外国人ツーリストにも評判の店となった。建物は築60年で、針が止まった西洋の壁時計、隅に置かれた古いテーブルセット、レトロなワイングラスが独特の雰囲気を醸す。ワインセラーはかつて漢方薬店で使用されていた棚。時空を超えた異空間で台湾ならではの麺タイムを過ごしてみたい。
時間帯によって異なるメニューもあるが、牛肉麺は常時オーダーできる。おすすめの「香麻牛肉麺」はオーナーにとっての「お袋の味」。リンゴ、牛骨、熟成した醤油、四川大紅袍花椒(ホアジャオ )、数種の漢方をあわせて煮込んだこくのある醤油系スープで、辛さは調節可能。牛肉は豪州産グラスフェッドビーフ(牧草飼育牛)の熟成肉を、麺はこしのよい台南産天日干し手延べ麺を使用する。豆腐、湯葉、野菜も入ってなかなか具沢山だ。
押し豆腐、ゆで卵、野菜、牛のスネ肉を盛り合わせた煮込みセット「滷味拼盤」も人気メニューで、ビールのおつまみに最適。オーナー夫妻は食材を台湾各地の農家から仕入れるほか、台湾産のビール、梅酒、ウイスキーも揃えており、食事と一緒に楽しめる。
台北市中山区建国北路一段68号2 階+886-2-2506-9209
水曜- 金曜12:00-14:30、18:00-22:00、週末12:00-15:00、18:00-21:00、月曜・火曜・第二日曜は定休
ミニマムチャージ:NT$100/現金のみ/予約: 可
門前隠味
路地裏の隠家的な店で、オーナーが経営する会社の「門前」にあるためこの名がある。自らを「おじさん」と呼ぶオーナーは、食物とともに席を囲む「人」も大切だと考える。その温もりが小さな店内には充満している。座席は五つ。隣り合った人が自然と語り合う空間だ。
メニューは1種類のみ。麺と小皿の押し豆腐、白菜の漬物、そしてオリジナルの白茶がセットになっている。10年前に妻の父親から習ったスープは、牛骨、豚骨、トマト、玉ねぎ、醤油を1日半煮込み、さらに鶏足、豚皮を加えてコラーゲンたっぷりに仕上げるのがこつ。豆板醤や牛油を使用しないので口当たりが滑らかで、野菜や果物本来の甘みが味わえる。トッピングはしっかり味がついた牛のすね肉とニンジン・大根に刻みネギ。麺は幅広麺と細麺から選ぶ。辛味を出すには特製トマトチリソースを加える。
門前隠味は完全予約制。訪問時は忘れずに予約しよう。
新北市板橋区四川路一段87巷2 弄12-2号12:00/13:30/15:00/16:30/18:00/19:30、日曜定休
各時間帯は90分。要予約。定員5名
www.facebook.com/wumamii (FB予約停止中)
現金のみ
立祥公寓
大戦後に形成された軍人集落「眷村」は、牛肉麺文化が台湾に広がる拠点となった。台湾の芸能人の邵昕さんは、自ら育ったアパート名を冠した麺屋を立ち上げ、幼い頃から馴染んだ家庭料理を提供している。開店から3年、すでに人気店となり常連客も多い。
邵さんは母親に基礎を習いながら、現代人の口に合うスープを研究したという。完成した牛肉麺は、現代風にアレンジされた焼きネギ風味。牛骨を炙ってから香辛料とともに煮込む濃厚なピリ辛スープに、幅広ひねり麺、細麺、春雨をあわせる。おすすめはスープによく絡む幅広ひねり麺。主役の牛肉はオーストラリア産またはアメリカ産牛のすね肉で、しっとりと煮込まれている。
このほか、1日漬け込んで十分に味をしみ込ませた押し豆腐や大根の煮込み、特製水餃子もそろう。大陸から伝わった家庭の味はツーリストの人気も集めている。
台北市安和路二段74 巷2号+886-2-2708-2887
11:30-14:30、17:30-20:30
ミニマムチャージ:なし/サービス料:なし/予約:可
品川蘭
店名の「川」と「蘭」の二文字は、麺のメッカ「四川」と「蘭州」に由来する。伝統に根ざしつつ新しい牛肉麺への志を象徴したネーミングだ。
「品川蘭」の牛肉麺のスープは、「四川風」と「蘭州風」の2種類。四川風は牛の大腿骨とトマトに漢方薬をあわせて煮込んだ栄養たっぷり濃厚スープ。蘭州風は牛の大腿骨に野菜や果物を煮込んださっぱりとしたスープ。麺は台湾の有機小麦とオーストラリア産小麦を使って練り、滑らかでこしがある。
「湯霜無骨牛小排麺」は、台南伝統の牛肉スープをヒントにしたオリジナルメニューで、麺の上にアンガスのばら肉の生スライスをのせ、沸騰した蘭州スープをかけていただく。新鮮な肉とこしのある麺が絶品だ。手作りの総菜もぜひ試してみたい。
品川蘭 忠孝店
台北市大安区忠孝東路四段216巷11 弄10号1 階
+886-2-2721-7397
平日11:30-14:30、17:00-21:00、週末11:30-15:30、17:00-21:00
ミニマムチャージ:NT$160/サービス料: なし/カード: 可/予約: 可
一碗来
台湾家庭料理の専門店。華山1914 文創園区内にある店内は、木々に囲まれたガラス張りで、白・青・緑などのナチュラルカラーが爽やかさを演出している。仙草茶やハイビスカスティーなどが付いた定食は、豚肉麺、牛肉麺、牛肉飯が選べる。醤油味の牛肉スープは減塩・減油仕上げ。特製チリソースを加えると味がいっそう引き立つ。厚みのある牛肉はよく煮込まれ、こしのある細麺との相性もぴったり。半熟卵や野菜を使った家庭料理で、心も身体も暖まりそう。
台北市中正区八徳路一段1号+886-2-3322-4949
11:00-21:00
ミニマムチャージ: NT$100/サービス料: 10%/カード: 可/予約: 可
休日の利用時間は90 分まで
麻膳堂
牛肉麺を愛するオーナーの徐安昇さんは、カリフォルニア大学バークレー校と早稲田大学のMBA を取得した秀才。縁あって開いた麺料理店は、ファッショナブルなインテリアながらも料理はリーズナブル。新しいスタイルが競争の激しい台北の牛肉麺市場に一石を投じた。
メニューは多彩で、牛肉・豚肉・山羊肉などの肉類を塩味・醤油味・激辛味でいただく。なかでも一番人気は激辛の「麻辣牛肉麺」。弱火で長時間煮込んだスープが濃厚で、花椒の香りとピリッとした辛味が特徴。こしのあるひねり麺との相性も良く、揚げ湯葉・もやし・ニンニクの芽がさらに風味を引き立てる。
台北市大安区光復南路280 巷24号+886-2-2773-5559
11:00-22:00
www.mazendo.com.tw
ミニマムチャージ:なし/サービス料:10%/予約:可
史記正宗牛肉麺
史記では、醤油・激辛風味のほか白いスープの牛肉麺が味わえる。豚骨スープに似た白いスープは台湾産牛の大腿骨を4日間煮込んだもの。価格はやや高めながら、しつこさのないこくが密かな人気を博している。具材の牛肉は肋骨の下位部を使用し、とてもジューシー。麺はスープを吸いやすい細麺を使用している。一度食べたら忘れられないおいしさだ。
台北市中山区民生東路二段60号+886-2-2563-3836
11:30-15:00、17:30-21:00
ミニマムチャージ:なし/サービス料:なし/予約:可
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