2020年「 脊梁山脈観光年 」台湾の山岳美を探索
2020年「脊梁山脈観光年」
台湾の山岳美を探索
台湾には山が多く、九州よりやや小さい36000㎢の面積に標高3000m級のピークが268も分布する。台湾本島の南北には中央山脈・雪山山脈・玉山山脈・阿里山山脈・海岸山脈と呼ばれる五大山脈が、西には大屯火山群や小型の山脈が連なる。なかでも玉山山脈の玉山主峰は標高3952mで台湾最高峰だ。
台湾の近代登山は日本時代に始まった。初期は調査・研究・探検が目的だったが、20世紀に入るとレジャーとしての登山も始まった。大戦後は、70年代に入ると高山地帯への登山が認められるようになり、「台湾百岳」が制定されたりした。近年はハイキングやトレッキングが一般市民に普及し、「百岳制覇」も登山者の目標の一つとなっている。
台湾観光局は毎年テーマを設定して、観光客の誘致に努めている。2019年は「小さな町めぐり」がテーマだったが、今年は「脊梁山脈観光」をテーマに、世界に向けて台湾の山林美をアピールしていく。今号では、レジャー観光に適した中低標高の山岳エリアをご紹介する。
登山申請案内サイト
台湾では森林保全を目的として、一部の高山地区に入る際に事前の申請を義務付けている。関連法規により、入園証は個々の国家公園管理処、入山証は警政署、山小屋利用は農業委員会林務局にそれぞれ申請する。わかりやすいように、政府は2019 年下半期に「台湾登山申請統合情報サイト」を設置した。山域の名称を入力して検索すれば、入山申請の要否や担当機関が表示される。
https://mountain.cpami.gov.tw/
目次
大屯火山群
大屯火山群は台湾本島北部、台北の都市部に近接する。陽明山国家公園内最高峰の七星山は標高1120m。北東からの季節風の影響で、南側と北側では景観が対称的だ。北側は植物が育たず、秋になると金色に輝くススキの波が絶景を成す。南側は典型的な亜熱帯林相が見られ、動物の生態も多様。七星山の主峰・東峰の登山道は南北に跨ぐので両側の景観が楽しめる。また東北角海岸に位置する草嶺古道や淡水河口の観音山歩道も市街地から近い人気のコースだ。
陽明山国家公園
www.ymsnp.gov.tw
東北角国家風景区(草嶺古道)
www.necoast-nsa.gov.tw
北海岸及び観音山国家風景区(観音山)
www.northguan-nsa.gov.tw
太平山国家森林遊楽区
太平山は宜蘭県大同郷に位置し、秀麗な風景を楽しめる自然歩道が多数あり、かつて木材搬出に利用されていた軌道が観光トロッコとして活躍している。周辺には鳩之沢温泉や台湾最大の高山湖「翠峰湖」などのスポットがある。
太平山国家森林遊楽区
tps.forest.gov.tw
錐麓古道
太魯閣(タロコ)国家公園内の立霧渓北岸に位置し、本島を西部から東部へ通り抜ける「合歓越嶺道」の一部にあたる。険しい絶壁に人力で削られた古道で、落差数百mの峡谷を望む壮観な道程だ。花蓮市内を起終点とすれば、公園内の遊歩道を踏破できる。また、太魯閣から中部横断道路沿いに3000m級の合歓山を越えて南投県埔里へ抜けるルートもある。
太魯閣国家公園
www.taroko.gov.tw
赤柯山・六十石山
赤柯山と六十石山は花蓮県に位置し、台湾東部の海岸山脈に属する。二つの山は標高800mから900m。夏から秋にかけて、山腹一面にユリに似たワスレグサが咲き乱れることで知られる。黄金の花畑のほか、花東縦谷・秀姑巒渓・阡陌良田が織りなす優美な田園風景が一望できる。
花東縦谷国家風景区
www.erv-nsa.gov.tw
阿里山国家風景区
阿里山国家風景区は嘉義県に位置し、山岳景観・森林鉄道・高山茶の産地として名高い。かつて台湾原住民ツォウ族の人たちが集落間を行き来した山道「鄒族古道」では、自然の景色や台湾原住民族の暮らしぶりに触れられる。代表的なルートが「特富野古道」だ。阿里山公路にも玉山国家公園に通じるルートがあり、塔塔加ビジターセンター横から数本の登山道が出ている。
阿里山国家風景区
www.ali-nsa.net
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。