台東東海岸　～大地の心にふれる旅～

文／高田雅子　写真／張立宇・宋育玫・東部海岸国家風景区

台東東海岸　～大地の心にふれる旅～

台東東海岸

大地の心にふれる旅

台東県は、東海岸の太平洋と急峻な中央山脈に挟まれ、海と山の豊かな恵みにあふれた土地。またここは、台湾の中でもっとも台湾原住民族が多く暮らす地域でもある。たくさんの異なる文化と大自然が織り成す色彩豊かな風景を旅しに出かけよう！

スペシャル体験

拉労蘭部落Lalaulan

台東太麻里――排湾族の里を訪ねる

太麻里郷の南端に位置する「拉労蘭部落」は、排湾族（パイワン族）の集落。「Lalauran」とは、排湾族の言葉で「肥沃の地」を表す。だが20年ほど前までは、ここに排湾族の集落があると知っている人はほとんどいなかったという。

当時の排湾族は阿美族（アミ族）の人びとの間に埋もれるように暮らしていて、阿美族の祭礼に参加する生活を送っていた。だが、そんな状況のなか、排湾族の青年が自らのアイデンティティを取り戻すために立ち上がり、長い苦労を経て、いまでは集落に排湾族の言葉や文化が甦り、次の世代に伝統文化を継承するまでになった。その中心人物が拉労蘭部落の著名作家亞栄隆・撒可努（Ahronglong Sakinu）氏だ。

狩人のリーダーSakinu氏　（写真／東部海岸国家風景区）

Sakinu氏が率いる狩人の一族「德伯斯（Tepes）」の「狩猟団屋」を訪ねると、本来は一族の男性の訓練や会合に使われるこの小屋を訪問するため、儀式を行ってから部屋に入ることが許された。現れたSakinu氏は、温かい笑顔と人懐こい話し方が魅力的な人物。彼は人に対する善意の大切さ、立ち居振る舞いに現れる精神の美の大切さ、土地や環境に正しい考えを持つことの大切さを語る。それは彼らの集落だけでなく、台湾全体、そしてすべての人に当てはまる大切な価値観だ。

ほんの短い間だが、自然と共生する排湾族の文化と精神に触れる時間は得がたいもの。旅行者も案内人と訪問することが可能。ぜひ拉労蘭部落で特別な時間を過ごしてみよう。

祝福を受けて煙を越えると狩猟団屋入場の儀式終了

狩猟団屋の精緻な木彫

彫刻や装飾品もすべてハンドクラフト

部屋に飾られた動物の骨は狩りで仕留めた獲物

Sakinu氏は情熱的で温かい人物　（写真／東部海岸国家風景区）

拉労蘭部落Lalaulan（太麻里香蘭部落）
台東県太麻里郷
bit.ly/2ZAobaX
台湾鉄道太麻里駅から車で10分

部落訪問やSakinu氏と狩猟団屋訪問についての問い合わせ先
I’m here我在人文行旅
+886-981-263-912（大益さん）中国語・英語対応可
www.facebook.com/imheretw/

ハーブ石鹸DIY

身体と環境にやさしい石鹸を手作り！

「足渡蘭手工皂」では、タバコの葉、ビンロウ、小米酒（アワ酒）など、台東都蘭の自然の恵みを生かした石鹸を手作りしている。オイルと苛性ソーダを混ぜたときに自然発生する低温熱でゆっくり時間をかける「コールドプロセス法（ CP法）」で作った石鹸は、植物材料の有効成分を丸ごと保持している。世界的第三者認証機関SGSの食品グレード認証を受けた国際水準の品質だ。

石鹸の使い方は二度洗いがおすすめ。まず一度石鹸で軽く手を洗い、二度目はよく泡立てて皮膚の上に伸ばし、乳液状になったらそのまま約30秒待つ。泡が見えなくなったら洗い流す。石鹸に含まれた植物有効成分が浸透した肌は、つるつる、しっとり！

DIY教室では、あらかじめ用意された材料を混ぜるだけで、簡単に石鹸作りを体験できる。冗談好きのオーナーのお話を聞いているうちに、あっという間に石鹸が完成！

タバコの葉の石鹸には殺菌作用があるそう

緑に囲まれたDIYスペース

オイルとその他材料をひたすらかき混ぜる

石鹸素地は翌日型から外し1か月以上熟成する

お土産用には可愛いパッケージ入りの石鹸がおすすめ

オーナーのDagula（青蛙）さんと奥さま

足渡蘭手工皂
台東県東河郷都蘭村65-2号（都蘭製糖工場後方）
+886-8-953-1884（孫さん）
10:00-17:00、月曜定休
要予約（7日前まで）／1人NT$350／中国語・台湾語での対応
9dolan.com

馬武窟渓SUP体験

水上アクティビティに挑戦！！

「SUP（サップ）」こと、「スタンドアップパドルボード」は、ハワイ発祥の水上アクティビティ。台東市東河郷の馬武窟渓谷は、水流が穏やかで初心者でもSUPが楽しめるスポット。最初はボードの上に座ってパドルを掻いて進んでいき、慣れて来たらボードの上に立ってみよう。大きな橋や渓谷の白い岩を潜り抜けて上流に進んでいくのは、何とも言えない爽快さ。冒険者気分で水上散歩を楽しもう。

先生は阿美族のイケメン！

橋の向こうに向けてレッツゴー！　（写真／野旅行）

渓谷の風景は息を呑む美しさ　（写真／野旅行）

立てた！

都歴海洋教室T.O.S Torik Ocean Surf n Rent

都歴海洋教室T.O.S Torik Ocean Surf n Rent
+886-911-903-052
4人未満NT$1800/4人以上NT$1500／中国語・英語で対応
www.facebook.com/oceantorik

自然＆文化スポット

加路蘭休憩区

台東市東河郷の阿美族の集落「加路蘭」は、阿美族の言葉で「kararuan」、「洗髪をする場所」という意味の場所。台11線沿いの「加路蘭休憩区」の目の前には美しい海岸線が広がり、休憩区に置かれたアート作品と独特な景観を作り出している。東海岸を代表するSNS映えスポットのひとつとしても有名。

加路蘭休憩区

台東県台東市富岡漁港から北1km

鉄花村音楽聚落

台湾鉄道の旧台東駅周辺は、台東市街地でもっとも繁華なエリア。旧台東駅の敷地を利用した文化施設「鉄花村音楽聚落」は、ライブハウスやカフェ、バザールを巡る夜の散歩にぴったりのスポット。

同じ敷地にある「台東県原住民文化創意産業聚落」は、コンテナと山を思わせる曲線を組み合わせて外観がユニークな複合ショップ。台東の原住民作家による作品の展示販売のほか、カフェやバーも入店している。となりの土産物店「青澤」には、紅烏龍茶や蜜香紅茶、名産の米を使ったおこしなど、台東名産がそろう。

アーティストのハンドクラフト作品が並ぶバザール

台東ならではのお土産を探そう

路上パフォーマンスもレベルが高い

ランタンの灯りがロマンチック

建物はリサイクルコンテナを利用したエコ建築だ

記念撮影スポットとしても人気

原住民が愛飲する小米酒を使ったカクテルもある

土産物店では試食して好みのお菓子を見つけよう

鉄花村音楽聚落
台東県台東市新生路135巷26号
+886-8-934-3393
ライブ：水曜-土曜20:00-22:00、日曜19:30-21:00
ショップ：水曜-日曜16:00-22:00
週末市場：金曜18:00-22:00、土曜･日曜17:00-22:00
www.facebook.com/tiehua/

台東県原住民文化創意産業聚落商品展售区（コンテナショップ）
台東県台東市新生路105号
10:00-23:00ごろ（各店舗による）

青澤―鉄花店
台東県台東市鉄花路346号
10:30-22:00

台東のグルメ

台東七里坡紅藜養生料理

太麻里産台湾レッドキヌア「紅藜」、米どころとして知られる池上産米など、台東の大地が育んだ農作物を多用し、素材のうまみを大切に調理したヘルシーな料理が評判のレストラン。店内では、台東産農作物から作ったオリジナル食品や調味料も販売している。

フライドチキンの唐辛子ソースがけ

台湾レッドキヌア入り豚カツ

台東七里坡紅藜養生料理

台東市中正路203号
+886-8-932-5777
11:00-21:00、水曜定休
www.facebook.com/sevenquinoa/

天地人創芸料理

鉄花村近くに店を構える人気和風居酒屋。店内は黒を基調としたモダンなインテリア。刺身など一品料理から丼もの、ラーメンまで各種和風料理を提供している。日本酒や焼酎などの品ぞろえも多い。

焼肉丼

鉄火丼

天地人創芸料理

台東市鉄花路129号
+886-8-933-3170
火曜-日曜11：30-14：30、17：30-0：00、月曜17：30-0：00
www.facebook.com/TDL333170

台東市街地おすすめホテル

台東。鉄花文創二館

台湾鉄道旧台東駅を改装した台東バスターミナル前、クリエイティブスポット鉄花村のすぐそばという最高の立地に位置するホテル。館内にはあちこちにカラフルな台東の風景が描かれ旅の気分を盛り上げてくれる。客室は白を基調としミニマムな空間。部屋に置かれたポップなカラーのビーチサンダルはお土産として持ち帰ることもできる。身軽に旅を楽しみたい人におすすめのホテルだ。

台東。鉄花文創二館