台湾鉄道 途中下車の旅 ～ 苑裡 ・ 日南 ～
企画構成／朱佳雯 文／高田雅子 写真／宋育玫
海線 苑裡駅 ・ 日南駅 ～台湾鉄道 途中下車の旅～
台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」、台中線の通称は「山線」といい、区間内にはそれぞれ異なる魅力の見どころが多い鉄道ファンに人気の区間。
苗栗では、温暖な気候を生かして冬の休耕地に様々な花が植えられており、観光客の人気を集めている。一面に広がる花畑は、まさに麗しの島の花園。
目次
苑裡駅
い草の香りが紡ぐ想い出探して街散歩
台北駅から自強号で約二時間の苑裡駅は、台湾鉄道海岸線、苗栗県内最後の一駅。竹南駅から苗栗県の海岸線に沿うように南下してきた鉄道は、苑裡駅からは海岸を離れ、内陸よりの軌道を取り、台中地区へ進んでいく。駅を降りれば、素朴だが、どこか懐かしい人情味にあふれる街。現地の文化を感じながら、ゆっくり散歩を楽しもう。
苑裡老街 ～駅周辺を歩く～
苑裡は苗栗県で最も早く開発が進んだ地域の一つで、い草貿易の中心地として、1950年には数十軒にも及ぶ帽蓆行（い草製品を取り扱う商家）が軒を連ね、街は繁栄を極めた。今も残る美しい建築に、かつての栄光を偲ぶことができる。
かつての面影が残る老街
煉瓦造りの街屋
振発帽蓆行
苑裡老街（天下路）にはい草製品を扱う店が並び、別名天下帽蓆街とも呼ばれている。老街にひっそり佇む老舗では、手編みの帽子などのい草製品を製造販売している。
レトロな佇まい
い草の帽子の数々
8:00-20:30
鄭進発魚丸
市場の奥にある秘密基地のような老舗。新鮮なサメのすり身の魚丸（つみれ団子）は、弾力がありつつふんわりした食感で絶品と評判。持ち帰り専門店だが、近所の店で味わうことも可能。
ぷりぷりの魚丸（つみれ団子）
外に掲げられた看板を目印に、建物の中へ入っていく
鄭進発魚丸
6:00-18:00、無休
四川涼麺
鄭進發魚丸の女将推薦店。苑裡魚丸湯（つみれスープ）として、名物魚丸を味わうことができる。店内は絵画が掛けられ、お洒落な雰囲気。ゴマだれが香り高い四川涼麵（冷やし中華）は、特製の唐辛子だれを加えるとさらに美味だ。
鄭進発魚丸のつみれ団子を使ったスープと、絶品ゴマだれ四川涼麺
入り口の看板は、女将さん
5:30-14:00
聞香下馬
客家料理の有名店。福菜肉丸は、高菜漬のような漬物とひき肉をあわせた肉団子の煮込みで、白いご飯に合う。滷香魚は、三日三晩煮込んだ鮎で、頭の骨まで柔らか。鯊魚煎餅は、サメのすり身のつくね焼きで、香ばしい焼き目が魚の風味を引き立てている。絲瓜油條は、ヘチマと揚げパンの炒め煮で、素朴ながらも後を引く味わい。
福菜肉丸
滷香魚
鯊魚煎餅
絲瓜油條
平日11:00-15:00、土日11:00-20:00、月曜定休
豊泉餅行
サクサクのパイ状の皮の中に、伝統製法で炊き上げた緑豆あんがたっぷりの綠豆椪は、店の看板商品。パイナップルケーキなどもそろうので、試食をしながら、好きな商品を探そう。
綠豆椪
店内では、試食も可
赤いロゴが目印
9:00-20:30、月曜定休
垂坤肉鬆
肉鬆（でんぶ）と肉乾（干し肉）をはじめとする肉製品の店。店で独自にこだわりぬいた豚肉を使用しており、苑裡土産に指名する観光客も多い。（※肉製品の日本への持ち込みは不可）
肉鬆
商品の種類が多く、何を買うか迷ってしまいそう
垂坤肉鬆本店
苗栗県苑裡鎮大同路88号
月曜-木曜7:00-21:30、金曜-日曜7:00-22:00
東里家風古厝
時代劇の撮影に度々使用され、テレビに最もよく登場する古跡として有名。築百年以上の歴史ある建物は、民宿として利用されている。観光客が自ら時代物喜劇に挑戦できる半日ガイドツアー（要予約500元）も人気。
時代物喜劇に挑戦中のツアーの皆さん
味わいのある建物は、どこも絵になる
8:00-17:00
http://www.dljf.com.tw/
山脚国小
小学校敷地内の日本式宿舎は、日本統治時代後期にあたる1937年から1941年の建立。保存状態の良い現存する四棟は、2003年に文化資産保存法により苗栗県歴史建築類文化資産に指定された。現在では地域の交流の場として親しまれている。
日本式宿舎
気持ちのよい木陰は、絶好の休憩場所
日本式宿舎側門
煉瓦の生産で有名な山脚ならではの地区表示
学校敷地内にも可愛い煉瓦のオブジェ
9:00-12:00、13:00-17:00
入場無料・休日は内部参観可
藺草文化館
苑裡は別名「藺草（い草）の故郷」と呼ばれる、清朝時代から続くい草の産地。かつては畳表や帽子の材料として日本にも大量に輸出されていたが、時代の変化とともにい草産業は衰退し、今では手編みで製品を製作できる人も少なくなった。館内では、資料を展示しているほか、貴重な手編みい草製品の販売も行っている。
ミニチュアを使った再現
静かな環境
い草作品
精巧な網目が美しい名刺ケース
9:00-17:00、月曜定休
入場無料
愛情果園
愛情果園は農協が手がける農業レジャー施設。名前の由来はヨーロッパで「愛のリンゴ」と呼ばれるトマト（愛情果）。農作物や特産品を販売する園内では、プチトマトやイチゴなどの季節の果物狩りも楽しめる。
愛情果園は、藺草文化館すぐそば
ビニールハウスのプチトマト
赤く熟れた「愛のリンゴ」
9:00-17:00、月曜定休
入場無料
Donnie’s Small Hands 生乳プリン
牛乳の白色とプリンの黄色が美しい層をなすミルクプリン。お店おすすめの食べ方は、最初に牛乳を一口、続けてプリンを一口、最後はゆすって牛乳とプリンをミックス、の三ステップ。
なめらかプリン
藺草文化館前にあるので、帰りに立ち寄りたい
9:00-18:00、月曜定休
山水米有機稲場
水田の上に浮かぶように建つ自然教室は、米会社の山水米公司の運営。敷地内では実際に鴨農法による有機米づくりが行われ、カフェでは有機米料理も提供されており、五感で有機米について学ぶことができる。通常営業時間の各種DIY活動のほか、不定期のイベント開催も。お土産には、鴨米を購入してみてはいかがだろう。
池と稲田に囲まれたモダンな建築
夏は稲田に浮かぶ橋になる入り口の橋
展示スペース
お土産には、カモたちの努力の結晶をどうぞ
9:00-16:30
入場無料
www.facebook.com/organicrice
日南駅
懐かしい日本の記憶を留める駅
談文、大山、新埔、追分と共に「海線五宝」と鉄道ファンに愛されている、日本式木造建築の美しい駅舎は1922年の開業。今も開業当時の姿を留める。次の電車を待つ間には、駅前に整備された「九張犁庄休閒歩道」を歩いてみよう。全長1.9kmの歩道は、ゆったり歩いても約一時間ほど。田舎の田園風景が広がる美しい散歩道となっている。
古く美しき駅舎
懐かしい雰囲気の切符売り場
駅前広場
一足のばして行きたい観光スポット
日南駅の次の駅は、タロイモの名産地として有名な大甲駅。ここから続けて、台中地区の海線の旅にでかけよう。
台湾鉄道 苑裡 ＆日南 マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。
