楊梅 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/張晉瑞・視野創異行銷

楊梅 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

楊梅駅

見て、食べて、歩く、客家の町

桃園市楊梅は人口の多くを客家が占める客家の町。旧名の「楊梅壢」は、清代に客家人がこの地にたどり着いたとき、山を覆う楊梅(ヤマモモ)の樹を発見したことに由来する。現在もヤマモモが街路樹として数多く植えられており、5月になると可愛らしい赤い実を見ることができる。

楊梅駅

楊梅駅周辺マップ

台湾鉄道楊梅駅から徒歩またはレンタサイクルで各スポットへ

桃園市レンタサイクルYoubike
www.youbike.com.tw/region/tycg

 

燕子窩江夏堂

「江夏堂」は1896年に楊梅に入植した黄家の宗族(父系同族集団)の祖先を祀る「祠堂」。台湾に渡ってきたのは第15代其輝のときで、かつて楊梅黄家は楊梅渓そばの小楊梅から市街地までの一帯を所有する大地主だった。

燕子窩江夏堂

燕子窩江夏堂

燕子窩江夏堂はコの字型をした「三合院」と呼ばれる伝統的な客家建築。大陸出身の工匠が中国大陸から取り寄せたスギ、自家工場で焼き上げた赤レンガを用いて建てた豪華な建物は建築当時の姿をよく留めており、黄家の繁栄の歴史を今に伝えている。桃園市の歴史建築。

燕子窩江夏堂

桃園市楊梅區校前路428巷32弄10號
※屋外からの参観

 

泉水窩江夏堂

「燕子窩」から西に約300mに位置する「泉水窩」も黄一族の邸宅だ。竹林に囲まれた邸宅前にはため池、周囲には畑が配されており、楊梅の開墾の歴史に大きな役割を果たしてきた黄家の自給自足の暮らしぶりがうかがえる。

泉水窩江夏堂

泉水窩江夏堂

建物は「燕子窩」と共通の特徴を持つ三合院。なかでも中央の「正廳(正堂)」の屋根に設けられた鯉の形の排水口は必見。建物は歴史的価値から2021年に桃園市の市定古跡に指定された。

泉水窩江夏堂

桃園市楊梅區校前路428巷151號
※屋外からの参観

 

大楊梅鵝荘 楊梅創始店

その昔、山間部に居住し田畑を開墾していた客家の人たちは、過酷な仕事の後に体力を補うため、「鹹、酸、肥(しょっぱく、酸っぱく、脂っこい)」の味付けのご飯が進むおかずをよく食べていた。1987年創業の「大楊梅鵝荘」では、鵝肉(ガチョウ肉)と伝統的な客家料理が味わえる。

ガチョウ肉と客家黃豆醬は最高の組合せ

ガチョウ肉と客家黃豆醬は最高の組合せ

看板料理の「招牌土鵝肉」は、90日かけて育てたガチョウを特殊な方法で水煮し、厚さ2㎜にスライスしたガチョウ肉。しっとりやわらかな食感のガチョウ肉に大豆と米を発酵させた甘いたれ「客家黃豆醬」をつけて食べるとうまみがよりひきたつ。

大楊梅鵝荘 楊梅創始店

客家料理は定番から試してみよう。「客家小炒」は、豚バラ肉、イカ、豆干、ニラの醤油炒め。「角豆茄子」はインゲン豆とナスの醤油炒め。どちらもしっかり濃い味わいで、白いご飯やビールによく合う。

大楊梅鵝荘 楊梅創始店

右上から時計回りで客家小炒、角豆茄子、芋頭西米露、招牌土鵝肉、鵝湯米苔目

「鵝湯米苔目」は、ガチョウの脂と肉のうまみたっぷりのだしと豚ひき肉、干しエビ、ニラのスープに丸いうどんのようなライスヌードルを合わせた麺料理。胡椒が効いていて、スープとしても楽しめる。デザートにサービスでタロイモと小粒のタピオカ入りのお汁粉「芋頭西米露」が出るのもうれしい。

大楊梅鵝荘 楊梅創始店

大楊梅鵝荘 楊梅創始店

桃園市楊梅區大平街42號
03-478-4623
11:00–14:00、17:00–20:00、水曜定休
サービス料5%
www.newhaka-yamigoose.com
※休日は予約をおすすめ

 

楊梅市農会農特産品直銷中心

楊梅市農会農特産品直銷中心

駅から徒歩4分ほどの楊梅農会(農協)直営スーパーでは、楊梅の特産品を販売している。マストバイのお土産は、暑気あたりやのどの渇きに効用があるとされる薬草「仙草」を使った商品や、楊梅秀才里産の茶葉で作られた「秀才紅茶」「秀才烏龍茶」など。散策の最後に立ち寄って、美味しいお土産を手に入れよう。

仙草茶、仙草ゼリーなどの仙草商品

仙草茶、仙草ゼリーなどの仙草商品

仙草茶餅

仙草茶餅

秀才烏龍茶、秀才紅茶、碳花紅茶

秀才烏龍茶、秀才紅茶、碳花紅茶

桃園市楊梅區大模街9號
8:00-18:00、土曜9:00-17:00、日曜定休

 

楊梅第一市場

午前中の早い時間に楊梅駅に到着できたら、駅から徒歩10分ほどの朝市に向かってみよう。公設市場の「楊梅第一市場」と隣接する復華街一帯は「楊梅市場」と呼ばれ、毎日早朝から昼頃にかけて買い出しにやってくる地元の人たちで大変にぎわう。

楊梅第一市場

楊梅第一市場

市場には、切り干し大根炒めを包んだ草餅「艾粄」、亀の形の赤い餅「紅龜粄」、豚バラ肉の塊肉を煮た「客家封肉」など、代表的な客家グルメが勢ぞろい。朝食に艾粄を食べながら、客家の食文化と朝市の活気を体感してみたい。

艾粄、紅龜粄

艾粄、紅龜粄

あめ色に輝く客家封肉

あめ色に輝く客家封肉

桃園市楊梅區復華街47號
6:00-12:00

 

好窩有花

「好窩有花」は、楊梅中学校の校長宿舎と教員宿舎を整備した文化施設「楊梅故事園区」内のカフェ。店が入居している瀟洒な洋館は、白壁の美しい佇まいから「小白宮」と呼ばれている。

好窩有花

好窩有花

1968年建設の建物は、もとは張芳杰校長が退職後に暮らした家だった。2階に飾られたお茶を楽しむ張校長の写真からは、かつての温かな家庭の空気が伝わってくるよう。

好窩有花

好窩有花

カフェの代表を務める華道家のAnnieさんは、家庭的な古い建物を季節の花々で彩り癒しの空間を作り上げている。花の要素を取り入れたカフェのメニューも注目だ。

館内では生け花教室や花をテーマとした展覧会も開催

館内では生け花教室や花をテーマとした展覧会も開催

店内のフラワーアレンジメントのほとんどはAnnieさんの作品

店内のフラワーアレンジメントのほとんどはAnnieさんの作品

人気の「好窩威風」はエディブルフラワー(食用花)とフルーツをデコレーションした華やかなシフォンケーキ。「花舞餅乾」は食べるのがもったいなくなる押し花のクッキー。

右から時計回りで好窩威風、花舞餅乾、玫瑰拿鐵、生薑黑糖拿鐵

右から時計回りで好窩威風、花舞餅乾、玫瑰拿鐵、生薑黑糖拿鐵

ドリンクのおすすめはバラの花びらのジャム入りのカフェラテにバラの花びらを散らした「玫瑰拿鐵」とショウガと黒糖のカフェラテ「生薑黑糖拿鐵」など。花と緑に囲まれた静かなカフェで忙しい日常をリセットしよう。

小白宮に隣接する張芳杰校長の宿舎跡

小白宮に隣接する張芳杰校長の宿舎跡

張芳杰校長

張芳杰校長

好窩有花
桃園市楊梅區中山路125巷12 號
10:00-17:00、火曜定休
ミニマムチャージ1人ドリンク1杯、満席時は席利用90分
facebook.com/bedofflowers21

楊梅故事園区
桃園市楊梅區校前路49號
10:00-17:00
入園無料

 

ひと足のばして

富岡 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

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楊梅 途中下車マップ

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。