頭城 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/朱佳雯 文/西野百合子 写真/宋育玫
頭城駅 ゆったり、ほっこり。港町散歩。
台北駅から台湾鉄道東部幹線を北回りで瑞芳を越え、さらに南下していくと、進行方向左側車窓の海の向こうに、亀山島が見えてくる。そして宜蘭県に入り、自強号が最初に停車するのが、頭城駅。頭城は、頭城老街や蘭陽博物館、烏石港など、見どころの多い街だ。ゆったり散歩を楽しみながら、文化の香りあふれる休日を過ごしてみよう。
目次
烏石港スポット
蘭陽博物館
台湾北東部蘭陽平野に広がる宜蘭県。その最北端に位置する頭城鎮は、宜蘭県で最も早く開発された土地。蘭陽博物館では、原住民の暮らし、宜蘭県の自然、文化、歴史などを、豊富な資料で視覚的に学ぶことができる。博物館は、宜蘭県のランドマークである亀山島を模してデザインされており、池の水面に映える姿は海に浮かぶ亀山島そのもの。建築のスタイリッシュさから、TVドラマやCMなどの撮影にも度々使用されている。
9:00-17:00、水曜(水曜が祝日の場合翌日)・旧暦大晦日/元旦は休館
大人NT$100
台湾鉄道頭城駅よりタクシーで約3分。
または台北MRT円山駅より国光客運バス1877系統で約80分「蘭陽博物館」下車。
http://www.lym.gov.tw/jp/
烏石港
烏石港は亀山島へのクルーズツアー出発点。毎年3月から11月限定で観光船が運航されている。サーフィンのスポットとして、サーファーにも人気がある。港内には「烏石漁港直販センター」があり、新鮮な海鮮料理を楽しむこともできる。
台湾鉄道頭城駅よりタクシーで約5分。または台北MRT円山駅より国光客運バス1877系統で約80分終点「烏石港」下車。
文創頭圍園区
2011年より多目的文化展示空間として開放されている文創頭圍園区は、レトロな雰囲気が人気のスポット。日本統治時代に建築された台湾鉄道の旧駅長宿舎や旧職員宿舎などの日本式建築が補修改装され、ギャラリーやカフェなどとして利用されている。2014年の台湾ドラマ「巷弄裡的那家書店 Lovestore at the Corner」のロケ地としても有名。
台湾鉄道頭城駅下車後、徒歩で各スポットへ。または台北MRT円山駅より国光客運バス1877系統で約80分「頭城駅」下車。
日和図図
木の温もりが心地よい畳の和室に、台湾アーティストの作品がずらりと並ぶギャラリーショップ。展示販売されているアクセサリーや雑貨などは、いずれも各作者の感性を感じさせる。同じ棟のもう一方はカフェになっている。
宜蘭県頭城鎮站舍巷3号(頭城駅となり)11:00-17:30、水曜定休
https://www.facebook.com/hiyoritoto/
頭城老街散策
頭城老街は和平街を指し、「頭圍街」とも呼ばれる。清代には頭城の交通の要所として非常に栄えた。現在も、清代から日本統治時代にかけて築かれた数々の美しい建築物を見ることができる。
宜蘭県頭城鎮和平街
十三行・北門福徳祠
十三行の名称は、清代に水運の要として栄えたこの地に連なって建っていた十三軒の街屋に由来する。最も保存状態の良い「康家古宅」は、傍らに鎮座する清同治二年(1863年)建立の北門福徳祠と共に、宜蘭県県定古跡となっている。
十三行
宜蘭県頭城鎮和平街140、142号
北門福徳祠
宜蘭県頭城鎮和平街154号
李栄春文学館
日本統治時代に建設され、戦後は頭城小学校校長宿舎として利用されていた日本家屋は、2009年に頭城出身の作家李栄春の記念館として生まれ変わった。作品や関連資料が展示されている。
宜蘭県頭城鎮開蘭旧路4号9:00-17:00、月曜休館
新長興樹記
新長興樹記は、大正から昭和初期にかけて建築された赤煉瓦商館。中央部分のみが現存しているが、重厚な扉や壁に施された精緻な細工や描画のいずれもが、非常に美しい。
宜蘭県頭城鎮和平街121号
陳春記と源合成・南門福徳祠
頭城老街南端に位置する陳春記は、日本統治時代の大正建築。源合成は日本統治時代前期の建設。赤煉瓦造りの洋館は保存状態も良く、頭城老街を代表する建築物の一つとなっている。傍らに鎮座する南門福徳祠は、北門福徳祠と同年の清同治二年(1863年)建立。
陳春記
宜蘭県頭城鎮和平街51、53、55号
源合成
宜蘭県頭城鎮和平街57、59、61号
南門福徳祠
宜蘭県頭城鎮和平街44号
城隍廟
正式名称は頭城開成寺城隍廟。壮麗な四階建ての廟は、共に清代から続く仏教の古刹である開成寺と道教の城隍廟が合祀され、近年になって新しく再建されたもの。城隍神や観音菩薩などを祭っている。
宜蘭県頭城鎮新建里吉祥路1号
頭城 グルメ
龍記牛肉麺
行列必至の有名店。先に会計を済ませ番号札を受け取ろう。大ぶりの牛肉は、箸で持つとずっしりと重みがあり、食べごたえ十分。澄んだスープはしっかりとした味わいだが、油っぽさは感じられない。看板メニュー牛三宝麺(牛肉・ハチノス・牛筋)入りは開店すぐに売り切れる日も多い。
宜蘭県頭城鎮吉祥路13号(2018年現住所に移転)11:15-13:00売り切れまで、日曜定休(不定期で月曜、その他臨時休業については公式FBを参照
https://www.facebook.com/dragonbeef/
阿宗芋冰
宜蘭でアイスクリームといえばここ、というほど有名な阿宗芋冰の名物は、店名にもなっているタロイモアイス。人工香料や化学原料を一切使用しない優しい味わいのアイスは、さっぱり爽やかな風味。
宜蘭県頭城鎮青雲路3段267号9:00-21:00
一足のばして行きたい観光スポット
宜蘭県東北部に位置する礁渓は、台湾で唯一平地にある温泉地。泉質は透明無臭の弱アルカリ性の中性泉で、皮膚を滑らかにする「美人湯」。駅を降りれば、すぐ目の前に足湯がお出迎え。土産物屋やホテルが林立する昔ながらの温泉街は、気取らない雰囲気で散策も楽しい。台北からのアクセスも良く、日帰りで楽しめる。
清代、宜蘭市は噶瑪蘭廳城と呼ばれ、城壁外部にそって九芎樹(シマサルスベリ)が植えられていたことから別名を「九芎城」といい、宜蘭県の中心として大いに栄えた城郭都市であった。旧市街を中心に、今も各時代の息吹を感じさせる美しい旧建築が残る。ほとんどの観光スポットは徒歩圏内。ぶらり散歩にでかけてみよう。
頭城 途中下車の旅 マップ
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