産地直送　―台北レストラン4選―

企画構成／鍾昀彤　文／鍾昀彤・楊善文　写真／宋育玫

好處　Have a nice day

地元の食材を味わう

産地直送のレストラン

身体に優しく美味しい食事こそ、現代人が一番求めるもの。美食王国として誉れ高い台湾では、美食に対する創意工夫も多岐にわたり、「産地直送」が新しいトレンドとなっている。今回は、小規模の生産者が手塩にかけた新鮮で健康的な食材をそろえ、野菜をふんだんに使った養生・健康メニューで人気のレストランを特集する。

1号糧倉

上：海鮮燉飯、下：糧倉香猪脚

日本時代から残る「1 号糧倉」は台北市内八徳路の静かな路地の中にひそむ。戦中は食料備蓄倉庫として使われていたという、台北市では希少な和風木造倉庫だ。外壁には空襲時の弾痕がのこり、二階建ての老建築に神秘的な風情を漂わせている。古民家再生ブームのなか、「1 号糧倉」は2016 年に民間資本で修復が完成。「食」の精神を受け継ぐべく、個性派のレストランと生鮮スーパーを併せて一般開放するに至った。

1号糧倉

店内に入ると、高い屋根が印象的。木組みの梁や木編みの壁が倉庫として活躍していた往時を偲ばせる。一階は「樂埔滙農市場」。池上米・三星葱・シイタケ・醤油など、台湾各地から集められた産地直送の食材・食品がそろう。二階のレストラン「1 号糧倉」は、産地と食卓の直結がコンセプト。地産あるいは有機の食材を活用し、創意あふれるメニューを開発。2018 年ミシュラン推薦リストにも取り上げられた。看板メニューは「海鮮燉飯」。池上チャンピオン米に大甲産タロイモ、苗栗産ザーサイ、台湾白エビを組み合わせたピラフ風。「糧倉香猪脚」はニンジンで育てた豚・高山蜂蜜・旬の野菜を使用した豚足の炭火焼。ゆで鶏の定食「糧倉桂丁鶏腿飯」など、個性的なメニューも楽しめる。

糧倉桂丁鶏腿飯

1号糧倉

台北市松山区八徳路二段346 巷3 弄2 号
+886-2-2721-1689
スーパー9:00-21:00、レストラン11:30-14:30、18:00-22:00、月曜定休
ミニマムチャージ：NT$299／カード：可／サービス料：10％／予約：可
www.no1foodtheater.com.tw/

好處 Have a nice day

黒美人烤鶏

台湾大学近くのレストラン。玄関を入るとオリジナルデザインの生活用品が目に入る。続くビストロ風食事スペースは、近ごろ流行のインダストリアルな設計で、落ち着いた雰囲気。

馬祖の貝「淡菜」、基隆のエビ、宜蘭の「桜桃鴨」、台東の白米、屏東の「紅藜麦」と、台湾各地から送られてくる食材は個性的。シェフたちはこれらの素材からアイデアに富むメニューを創り出す。有機皮蛋（ピータン）を使った皮蛋豆腐サラダ、松阪豚のクランベリーソースのほか、三月の若い烏骨鶏に白豆や季節の野菜・台東米を詰めてローストした「黒美人烤鶏」もおすすめ。いろいろな食材のうま味がしみ込んだご飯が最後の楽しみに待っている。

パスタやリゾットもおすすめ

好處 Have a nice day

台北市羅斯福路三段283 巷14 弄30 号
+886-2-2363-8958
11:00-21:00
ミニマムチャージ：ドリンク一杯／カード：可／サービス料：無／予約：可
www.facebook.com/haveaniceday30/

「我愛你學田」農場レストラン

手前：烤蔬菜百匯、奥：鴨油炸薯條

瑞安街の路地にある「我愛你學田」は、かつて台湾の国会議員を務めた羅文嘉夫妻が、子供たちの成長を応援しようと開いた書店が始まり。やがてその店頭で週末市を開き、台湾各地の農産品や自製の米を販売するようになり、有機専門店「我愛你學田」が成立。現在はそうした地産の食材を生かして「農場レストラン」を併設している。

レストランでは、産地直送の新鮮食材を使って、五つ星クラスホテルでの勤務経験をもつ蘇彦彰シェフが腕をふるう。提供する料理は、大量のトマト・ニンニク・香料・オリーブ油とともに、旬の素材を生かした地中海風。「烤蔬菜百匯」はズッキーニ・ナス・パプリカ・玉ねぎなどにオリーブ油・花椒油に百香里・黒胡椒・ニンニク・エシャロットなどの香料を加えて焼き上げる。野菜そのものの風味と色あいが楽しめると女性たちに評判だ。「鴨油炸薯條」は自製の鴨油で米国産ジャガイモをからりと揚げた。「澎湖小巻」は澎産のイカを茹でて特製ソースでいただく。

澎湖小巻

店内は温かみのある雰囲気

我愛你學田

台北市大安区瑞安街222 巷2 号1 階
+886-2-2707-7003
11:30-21:30、月曜定休
ミニマムチャージ：ドリンク一杯／カード：可／サービス料：無／予約：可

百草三味

九宮格ランチボックス

「健康な飲食と調理」がコンセプトのレストラン。オーナーシェフの劉兆雄は脱サラして有機農業の道に入り、さらには料理人へと転身した。看板メニューは、契約農家直送の有機野菜と人工調味料不使用のスープを使用した自然派鍋「養身火鍋」。さらに、「一食で一週間分の野菜をとろう」をモットーに開発されたのが「九宮格ランチボックス」。有機野菜がたっぷりとれる弁当は、栄養士が厳密にカロリー計算。周辺のサラリーマンにも愛される天然美味の健康弁当だ。

百草三味