集集線 懐かしい景色の中、新しい冒険にでかけよう
企画構成/朱佳雯 文/高田雅子 写真/宋育玫
二水駅を起点とする全長約30キロの集集線は、台湾鉄道で最も長い支線。日本時代には蔗糖や材木の運搬、さらに発電所の発達により沿線は大いに栄えたが、後に衰退。1999年9月21日の921大地震では大きな被害も受けた。近年は懐かしい景色が残る観光路線として復活。気になる駅でぶらりと降りる、そんな小さな冒険が似合うエリアだ。
台湾鉄道:
台北駅から台中駅を経由して二水駅での乗換えがおすすめ。
台湾高速鉄道:
台中駅で下車後、通路連結されている台湾鉄道新烏日駅へ乗換え、二水駅で集集線へ乗換が便利。
集集線:
駅ごとに下車してゆっくり楽しむなら一日乗車券(二水・車埕間90元)の利用がお得。台中駅、新烏日駅、二水駅等で購入可。
目次
車埕駅
集集線の終着駅である車埕駅。周辺には日本時代の木材業旧跡が残る。小さな山里の街に、往時の栄華の残り香を感じることができるだろう。木材業の街らしく、名物は木桶弁当。木桶は記念に持ち帰ることができる。
車埕駅 駅舎
「最も美しい小さな駅」とも呼ばれる車埕駅。現在の駅舎は921大地震で損壊後、日月潭国家風景区管理処により修復されたもの。素朴な木造駅舎と開放的なプラットホームを雄大な自然が囲み、のんびりした時間が流れる駅だ。
木業展示館
日本時代から続く南投の木材集散地であった車埕。旧製材所を再整備した資料館には当時のひきこみ線やクレーンなどが材木と共に展示されており、作業工程や現地の木材業の歴史を学ぶことができる。木材加工DIY体験コーナー、カフェや土産物販売所も併設。木工品のほか、農産品や茶葉で蒸し焼きにした卵といった珍味も購入できる。
月曜-金曜9:30-17:00、土曜・日曜・祝日9:30-17:30
車埕酒荘
梅の生産に携わる南投県水里郷農協が運営母体のギフトショップ。看板商品は梅酒。アルコール度数の異なる梅酒は飲み口や味わいも異なる。試飲して好みのものを選んでみよう。爽やかな甘みの梅ビネガーもおススメ。
南投県水里郷民権巷118号10:00-18:00
水里郷農会 真梅館
車埕駅となりにある、南投県水里郷農協直売所。梅製品、純粋蜂蜜、茶葉、醤油など、南投県の特産品を中心に取り扱う。農協ならではの品ぞろえと、手ごろな価格が魅力的。ついつい買いすぎてしまうかも。
南投県水里郷民権巷111号8:30-17:30
貯木池
かつて大量の原木が保存されていた貯木池。池のほとりにはクレーン小屋が、道路をはさんだ資料館側には、製材所と駅へと材木を運ぶ線路が残されている。池の周りの遊歩道には樹々が枝を伸ばし、のどかな眺めが広がっている。
水里駅
街を見下ろす高台に建つ駅舎は、薄桃色の壁が可愛らしい西洋風建築。プラットホームには旧式のY字型雨除け屋根が残され、懐かしい雰囲気がただよう。駅舎前の階段も、この駅の特徴の一つになっている。
水里蛇窯
山の中にひっそり佇む日本時代から続く陶器の里。「蛇窯」とは、陶器を焼く登り窯の一種。山の傾斜を利用し造られた窯が真っすぐ伸びている様子から「龍窯」ともいう。水里の蛇窯は台湾最古のもの。921大地震で倒壊したが、窯主が2000年に完全修復し、現在は陶芸文化園として観光客に公開している。現在も陶器の制作販売が行われており、観光客も茶碗制作などのDIYを楽しむことができる。陶製の芸術作品や茶器などの展示も見ごたえがある。
南投県水里郷頂崁村水信路一段512巷21号8:00-17:30、水曜定休
NT$150
www.snakekiln.com.tw/index.php
鵝肉大王
下町の熱炒店は、食事にも飲みにも使える食堂。店名の通り、ジューシーな鵝肉(ガチョウ肉)が絶品と人気を集め、地元民からも観光客からも熱い支持を集めている。一品ごとの量が多いので、様子を見ながら注文してみよう。
南投県水里郷民生路358号11:00-23:45
豆花松の豆乳プリン
手作りの豆乳プリンは、もっちりとした絹ごし豆腐のような食感。優しい豆の香りを残してつるりと喉に滑り込んでいく。お好みのトッピングを選んだら、夏はかき氷、冬はホットでいただこう。
8:30-18:00
集集駅
鉄道や林業が有名な集集線沿線にあって、実はバナナの産地として名高い集集鎮。集集産バナナは、もっちりとして味わい深く、かつては日本の天皇に献上されていた歴史を持つ。多彩な歴史を探す散歩に出かけてみよう。
集集駅 駅舎
総ヒノキ造りの優美な駅舎は、921大地震により壊滅的に破損してしまった日本時代建設の駅舎を、同じ建築法で再建したもの。2017年1月には駅施設および駅前広場の再整備が完成し、さらに快適に旅行を楽しめるようになった。
Jijibanana観光工場
DIY体験やバナナ製品製造過程の展示などを通して、楽しくバナナについて学ぶことができる観光工場。バナナチョコレートなど、集集産バナナを使ったスイーツが絶品。試食ができるのでどんどん試してみよう。戸外の生態園では、鑑賞用から食用まで、数多くの見たことがない種類のバナナに、びっくり! カフェコーナーあり。
9:00-17:00
入場無料・有料のDIYは要予約
www.jijibanana.net
明新書院
清代の光緒八年(1882年)に建立された書院には学問の神である文昌帝君が祀られており、往時は私塾としての機能も備えていた。以前の建物は921大地震により損壊したが、現在は修復を終え再公開されている。
南投県集集鎮東昌巷4号6:00-21:00
軍史公園
駅からほど近い静かな公園には、台湾の軍で実際に使用されていた本物の戦車や戦闘機、ロケットなどが展示されている。近づいて見上げると、存在感に圧倒される。航空機や軍事機器に興味がある人は必訪。
武昌宮
921大地震により倒壊した本殿が永久保存されている震災遺跡として、全国に名を知られる。倒壊した本殿の中から信者によって救い出された主神上帝公神像は、日々髭が伸び続けているとされ、霊験あらたかであると崇められている。
集集市区サイクリングロード
集集鎮の市街地を中心に、市内の観光地を巡るサイクリングロード。平坦なコースなので、のんびり観光を楽しむことができる。線路と並んで走る区間では、列車と並んで風になれるかも。
名前のない麺屋さん
小さな路地にひっそり佇む麺屋には、名前がない。メニューもない。供されるものは肉そぼろ麺、ワンタン、豚肉の醤油煮込みなど、いたってシンプルだが、懐かしい美味さがある。地元っ子に愛される人気店だ。
9:00-17:30、土曜定休
二水駅
集集線の始点駅であり、台湾鉄道西部縦貫線との交差駅でもある二水駅。景勝地を巡ることができるサイクリングロードが人気だ。天気が良ければ、駅前の貸自転車屋で自転車を借りてサイクリングを楽しんでみたい。
蒸気機関車陳列場
二水駅の北側には、蒸気機関車の陳列場が設けられ、CT278と345の二台の蒸気機関車が展示されている。うち日本製のCT278は「蒸気の女王」と呼ばれる優美な機関車。270型機関車は台湾に数台しか現存せず、たいへん貴重なものだ。
二水老街の古い町並み
現在駅前から伸びる光文路と員集路の交差点あたりから、街の成長と共に発展した二水老街。彰農米糧、英源医院旧跡など、日本時代に建設されたレンガ造りの美しい大正バロック建築が残されている。
謝東閔故居(家政中心)
実践大学付属の家政中心敷地内奥に、台湾初の副総統を務めた謝東閔が学校に寄贈した旧宅が保存されている。家政中心の三階には、優れた人格者として二水の人々に敬愛されていた謝東閔の遺品や資料の展示もある。
彰化県二水郷光化村光化二巷5号
二水観光サイクリングロード
二水駅を起点に、集集線の線路沿いを濁水駅まで全長約15キロで結ぶサイクリングロード。季節の花や緑が心地よい田園風景を眺めながら、観光名所を巡ることができる。走行距離は体力と相談して、無理のないように楽しもう。
一足のばして行きたい観光スポット
日月潭
山を越えたすぐ先は、台湾有数の観光スポット日月潭がひかえている。日程に余裕があれば、ぜひ足をのばしてみたい。
集集線から
集集線終点・車埕駅からシャトルバスに乗車し、日月潭(水社ビジターセンター)までは約30分。
台湾本島中部の雲林県は農業大県であるとともに、宗教民俗文化のメッカとしても知られる。北港の朝天宮は媽祖廟として篤い信仰を集め、地方工芸の発展を支えてきた。元宵節になると朝天宮は工夫を凝らした眩い灯篭で飾られる。そのため北港は「灯篭の故郷」とも呼ばれている。
集集線から
集集線二水駅で西部幹線に乗り換え南下、斗六駅から台湾好行バス北港虎尾線で北港・虎尾へ。
集集線 マップ
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