苗栗 ― 三義・銅鑼・南庄 ―
企画構成/鍾昀彤 文/高田雅子 写真/宋育玫
苗栗
三義・銅鑼・南庄を歩く
2016年に三義郷と南庄郷が「国際スローシティ」の認証を受け、県内に二つのスローシティを持つこととなった苗栗県は、豊かな自然と文化を生かしたスローツーリズムを推進している。2018年には廃線の軌道を利用した「旧山線レールバイク」の営業もスタート。緑の山里で思い切り深呼吸しよう。
スローシティの国際認証
スローフードが発端となったスローシティ運動は1999年にイタリアのオルヴィエートに発祥した、その土地ならではの文化や伝統を守り、生活のリズムを変えずに地域経済を豊かにしていこうという取り組み(チッタスロー国際連盟)。台湾では、花蓮県鳳林鎮と嘉義県大林鎮、苗栗県の南庄郷と三義郷の4か所が認証されている。
目次
旧山線レールバイク
三義の山里を彩る鉄道文化を体験
2018年には廃線の軌道を利用した「旧山線レールバイク」の営業がスタート。旧山線レールバイクの出発点である勝興駅は、以前苗栗三義から台中后里間を結んでいた台湾鉄道台中線の旧線区間「旧山線」の駅。レトロな木造駅舎と町並みが観光客に人気だ。レールバイクの路線は勝興駅から6号トンネル間を走る片道約6キロ。沿線には4つのトンネル、龍騰断橋などが次々と現れ変化に富んだ景色が楽しめる。
車両は4人乗りで、乗客はシートベルトを締め、前後車両と10メートルの距離を保つことと禁煙が義務付けられている。車両には日よけや荷物棚のほか、GPS と連動した音声ガイド、緊急通話システムも設置されており、快適に線路をめぐる旅を満喫できる。
苗栗県三義郷勝興村14 鄰勝興89号+886-37-878-599
www.oml-railbike.com
利用日の前にオフィシャルサイトを通じて予約したほうが安心。当日カウンター でQR コードを使いチケットを受け取れる。
苗栗三義
旧山線レールバイクで山中の絶景を堪能したら、三義駅近くの木彫街へ。三義郷は住民の半数ほどが木彫産業に従事する木彫の町。ぜひ、台湾で唯一の木彫がテーマの公立博物館「三義木彫博物館」に立ち寄って三義木彫芸術を鑑賞しよう。近隣の「丫箱寶」では木彫の町らしく木彫オブジェの色付けDIY ができるので、お土産作りに挑戦してみたい。
また三義は高湿度の丘陵地帯で藍の生育に適しており、藍染体験も楽しめる。観光農園を併設した民宿「卓也小屋」では、藍の原液の抽出をはじめ、すべての工程を園内で行っている。輪ゴムで布をくくり、次に布を藍液が入った容器に浸して布を染めると、くくり方の違いで違った模様が現れる。自分だけのオリジナル作品をお土産に持ち帰ろう。
三義木彫博物館
苗栗県三義郷広声新城88号
9:00-17:00、最終入場16:30、月曜休館
NT$80
ㄚ箱寶
苗栗県三義郷重河路176号
+886-37-872-076
平日9:00-17:00、休日9:00-18:00、DIY 参加は平日15:00まで、休日16:00までに入場。
入場無料、宝箱絵付けDIY 料金は商品の大きさによる。
dp-duckdiy.com.tw
卓也小屋
苗栗県三義郷双潭村13鄰崩山下1-5号
+886-37-879-198
9:00-22:00、体験教室: 9:00、10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00
体験教室料金: NT$300より
www.joye.com.tw
台湾鉄道三義駅から「卓也小屋」送迎バスで約10分。
客家グルメ
三義は、住民の9割を客家が占める台湾でも有数の客家の里として知られている。三義に来たら、ぜひ本場の客家料理を味わおう。
三義木彫街にある「参代堂」では、客家料理に新しい概念を取り入れた食品ギフトを販売。木彫作品が置かれたレトロな店内では、本格的な客家料理が楽しめる。桂竹のタケノコをベースに、紅麹で煮込んだ豚肉をあわせた「客家小封」など、しっかり味の客家料理は白いご飯が進む。同じく木彫街の「九鼎軒」も、米食品を扱いながら庭園レストラン「居鳩堂」で自慢の味を提供している。
勝興駅近くの「十六份人文茶館」は、レトロモダンな美しい建物の中で客家擂茶を体験できる茶館。すり鉢に入れた茶葉や胡麻などの材料をすりこ木ですり、お湯を注いでいただく擂茶は、客家の食文化を代表するものの一つ。手作りの優しさと客家の風情を味わってみたい。
参代堂
苗栗県三義郷水美街283-1号
+886-37-875-070
平日9:00-20:00、週末9:00-20:30
ミニマムチャージ:無/サービス料:無/カード:可/予約:可
九鼎軒
苗栗県三義郷水美街118号
+886-37-875-366
8:00-19:00
www.jdsh.com.tw
十六份人文茶館
苗栗県三義郷勝興村勝興53号
+886-37-871-381
10:00-18:00、火曜定休
www.facebook.com/16hakka.teahouse
苗栗銅鑼
苗栗県南部に位置する銅鑼郷は、茶葉や菊花などの生産が盛んな山里。2017年7月に設立された台湾農林公司の「台湾農林銅鑼製茶工場」では、自然農法・有機栽培にこだわった茶葉を生産。広々とした屋内には伝統的な製茶器具が展示され、食事や喫茶を楽しむスペースも用意している。環境保護と生態教育にも力を入れており、体験教室も開設。
3月から11月初めには、茶園での茶摘みが体験できる。台湾らしい花柄の布をあしらった笠をかぶり、竹かごを腰につけた伝統的な茶摘みスタイルで茶葉を摘み、手揉み、焙煎を行う。完成した茶葉は持ち帰ってお土産に。
車で20分ほどの距離の大湖は有名な苺の産地で、毎年12月から4月ごろにかけて苺摘みが楽しめる。季節が合えば、製茶工場訪問の前後にぜひ立ち寄りたい。
台湾農林銅鑼製茶工場
苗栗県銅鑼郷九湖村132-16号
+886-37-987-358
平日10:00-17:00、週末10:00-17:30
台湾鉄道銅鑼駅からタクシーで約10分。
苗栗大湖酒荘
苗栗縣大湖郷富興村八寮灣2-4號
+886-37-994-986
平日9:00-17:30、週末9:00-18:00
苗栗南庄
苗栗県の東北に位置する南庄は、かつて林業と炭鉱業で栄えた町。赤れんがの建物が残る古くから続く商店街「南庄老街」は、南庄を代表する花「桂花(キンモクセイ)」の名を取って「桂花巷」とも呼ばる。キンモクセイのシロップが名物で、紫米と小豆の白玉ぜんざいにキンモクセイの花を散らした「桂花紫米紅豆湯圓」など、キンモクセイを使ったスイーツも人気だ。
南庄老街から車で10分ほどの「燕子陶」では観光客も陶芸体験が楽しめる。ゆったりした空気のなか、両手を使って陶土と語り合い、自分だけの作品を作り上げよう。
南庄老街
苗栗県南庄郷中正路
燕子陶
苗栗県南庄郷南江村19 鄰南江6-3号
+886-919-703-015
月曜・金曜10:00-18:00、土曜・日曜9:00-19:00、火曜- 木曜定休
www.yanzitao1995.com
台湾鉄道竹南駅から台湾好行バス仙山線5822で「南江観光農園」下車。または苗栗客運バス仙山線5822Aで「福南」下車後、徒歩約10分。
一足のばして行きたい観光スポット
苗栗県は、海側も楽しい!!鉄道遺跡と美しい風車の風景が広がる崎頂駅、迫力満点の巨大な神像にであう竹南駅にも出かけてみよう!!
苗栗三義・銅鑼・南庄 マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。