夏がやってきた! いざ、 澎湖
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/張晉瑞・陳正國・視野創異行銷
夏がやってきた!
いざ、 澎湖
90の島々からなる澎湖群島は、台湾唯一の島が集まった県。玄武岩の特殊な地質景観、透明な海と真っ白なビーチ、渡り鳥やウミガメなどの希少な動植物が織りなす豊かな生態、伝統家屋の集落や廟が伝える歴史文化、獲れたての新鮮な海鮮グルメなど、魅力いっぱいの南国リゾートだ。観光のベストシーズンは4月から9月。いざ、澎湖の旅へでかけよう!
おすすめコース
1日目:台湾本島→澎湖本島
2日目:澎湖本島→西嶼
3日目:澎湖本島→台湾本島
台湾本島から:台北・台中・台南・嘉義・高雄の空港から国内線で澎湖本島へ
澎湖本島内:レンタサイクル・レンタルバイク・運転手付きレンタカーでの移動が便利
澎湖Travel(澎湖県政府観光サイト)
penghutravel.com
澎湖国家風景区管理処
www.penghu-nsa.gov.tw
目次
チェック! 澎湖
澎湖国際海上花火節
2003年から毎年開催されている夏の風物詩。会期中は夏の夜空を華やかな花火が彩る光景を求めて国内外から多数の観光客が詰めかける。
2024澎湖国際海上花火節
会期:2024年5月2日~7月30日
澎湖の菊とサボテン
澎湖諸島の土地は狭く痩せており、降水量も少ない。このような過酷な環境でも力強く縁が黄色のオレンジ色の花を咲かせる「天人菊」は、澎湖県の県花で澎湖本島の別名「菊島」の由来となった花だ。同じく澎湖諸島の各所に生育する扁平楕円状の茎を持つ「金武扇仙人掌」はウチワサボテンの一種。赤い果実はアイスクリームなどに利用され、澎湖名物のひとつになっている。
澎湖本島
馬公市
中央老街
漢民族が中国大陸から澎湖に移住しはじめたのは宋代と伝わる。明・清代になると馬公港を拠点に交易が栄え、日本時代に中央街は澎湖の商業の中心地として栄えた。戦後は経済発展に伴い都市開発計画が持ち上がったが、歴史的価値から中央街は保護・修復の対象となった。明・清代の面影が残る路地には清代に建てられた廟や古井戸などの史跡も残る。
澎湖縣馬公市中央街
天后宮
400年以上の歴史を持つ台湾最古の媽祖廟。古くは「媽宮」と呼ばれ、同じ発音の「馬公」が現在の馬公市の地名の由来となった。主神は航海と漁業を守護する海の女神・媽祖で、廟内に祀られた金面の媽祖像や高い芸術性を擁する彫刻や色絵などの装飾は一見の価値がある。
澎湖縣馬公市正義街1號7:00-19:00
篤行十村
日本家屋の宿舎が並ぶレトロなアートビレッジ。建物群の前身は日本時代に建てられた澎湖島要塞司令部と馬公重砲兵大隊の士官宿舍で、戦後は国民政府に接収され軍属の暮らす軍人村となり、「篤行十村」と改名された。
2007年に澎湖県の歴史建築に指定され、改修を経た宿舎群は書店や雑貨店、カフェ、アトリエ、宿泊施設などに生まれ変わっている。台湾の往年の歌謡曲が流れる路地を歩き、ノスタルジックな雰囲気を満喫しよう。
澎湖縣馬公市新復路2巷22號8:00-21:30
入園無料
dxsv.phhcc.gov.tw
風櫃聽濤
澎湖本島南部の風櫃半島の先端に位置する「風櫃聽濤(風櫃の波の音を聞く)」は、澎湖に来たら必ず立ち寄るべきと言われる有名スポット。海岸には玄武岩の柱状節理が長い時間をかけて波に浸食された海蝕溝が広がっており、その底に海蝕洞が形成されている。
満潮になると海蝕溝を伝って入り込んできた海水で洞窟の空気が圧迫され、海水が柱状節理の隙間から押し出される。この際にポンプ(風櫃)のような音がすることから「風櫃洞」と呼ばれるようになった。近年は、ユニークな形状の白亜の東屋がSNSの撮影スポットとして人気を集めている。
澎湖縣馬公市風櫃里
湖西郷
龍門社区
「龍門社区」は澎湖本島東南端に位置する集落。サンゴや貝殻の破片からできた純白のビーチが美しい「龍門沙灘」は、ぜひ立ち寄りたいスポットだ。
南の龍門漁港そばの「龍門閉鎖陣地」は2020年に完成した軍事文化資料館。もとは日本時代に建造された地下坑道で、澎湖の重要な軍事拠点だった。戦後は国民政府が接収し、機関銃・対戦車砲トーチカ、地下指揮所、レーダーサイトを増築し、現在の姿となった。見学は予約制ガイドツアーの参加が必要。
龍門沙灘
澎湖縣湖西鄉龍門村
龍門閉鎖陣地
澎湖縣湖西鄉龍門村龍門漁港わき
4-9月9:30、10:30、11:30、14:00、15:00、16:00、水曜休館
10-3月9:00、10:00、11:00、月曜・水曜・金曜休館
NT$50
longmen885.com.tw
※予約制ガイドツアー(約30分)
※参観日前日17時までに申込完了、当日は予約時間の10分前に受付完了
菓葉社区
地名の由来となった「菓葉」は、砂丘を覆う常緑樹の黄槿樹(オオハマボウ)の別名で、春と夏には黄色い花が砂丘を彩る。日の出観賞スポットとして知られており、朝日が海上の島々を黄金色に染める様子は絶景と評判だ。
菓葉のもうひとつの見どころは、かつて重要な建材としてカキの殻やサンゴを原料とした石灰を作っていた「菓葉灰窯」の建物。玄武岩を積み上げた独特の風情がある建物は歴史的価値が高いことから澎湖県の歴史建築に指定されている。古城のような外観は撮影スポットとしても人気がある。
菓葉灰窯インフォメーションセンター
澎湖縣湖西鄉菓葉村
9:00-17:00
南寮社区
赤い瓦の屋根とサンゴ岩を使った壁を持つ伝統家屋が数多く残る「南寮社区」では、ノスタルジックな路地散歩が楽しめる。家屋の多くはコの字型の「三合院」様式の建物で、なかでも清代に道教の法師が建てた「許返古厝」は、南寮を代表する古民家として知られている。
近年はアーティストが漁業の浮き球で創作したアート作品があちこちに置かれるようになり、可愛らしくカラフルなアートと古式ゆかしい伝統建築のコントラストが観光客の人気を集めている。
許返古厝
澎湖縣湖西鄉南寮村111號
奎壁山遊憩区
澎湖本島北西端の奎壁山と沖合約300mに浮かぶ赤嶼の間の潮間帯には、干潮の前後にのみ玄武岩の歩道が現れる。奎壁山のビーチからの眺めは「出エジプト」に登場する「モーセの海割り」を彷彿とさせる。安全に歩けるのは満潮後3時間から干潮後2時間まで。澎湖国家風景区管理処公式サイトで毎月の安全通行時間を掲載しているので、旅行前に必ず確認しよう。
澎湖縣湖西鄉北寮村開放時間:4月-9月6:00-18:30、10月-3月8:30-17:30
入場無料
www.penghu-nsa.gov.tw
※各月の安全通行時間は上記公式サイト(中国語版)旅遊指南・潮汐表を参照
※実際の開放時間は現地の状況による(特定日は延長有・強風など天候不良の場合は封鎖)
西嶼
西嶼郷
跨海大橋
白沙嶼と西嶼を結ぶ全長2494mの大橋。北側と南側にたつアーチ型のゲートは記念撮影スポットとして人気がある。
澎湖縣白沙鄉と西嶼鄉の間
漁翁島燈塔
1778年に建設された台湾最古の灯台。建設当時は「西嶼燈塔」といい、台湾と廈門(アモイ)間を航海する船の重要な目印となっていた。現在の灯台は1874年に英国人技師David Marr Hendersonの設計のもとに再建された建物で、入口には現在も「DAVID M. HENDERSON 1874」と刻印されたプレートが掲げられている。国定古跡。
澎湖縣西嶼鄉外垵村195號9:00-18:00、月曜休館
入場無料
大菓葉玄武岩
日本時代に埠頭を建設する際に土壌の中から発見された玄武岩柱状節理。火山が噴火した際に海水に達した溶岩流が急速に冷却されて収縮し、六角形の柱状となった地質構造が隆起してできた岸壁は澎湖ならではの景観だ。雨の後には水面に岸壁が映る幻想的な光景も見られる。
澎湖縣西嶼鄉二崁村
外垵漁港
漁翁島燈塔の東側に位置する漁港。丘に囲まれているため東北季節風の影響が少なく、天然の良港として発展してきた。丘の斜面にパステルカラーの民家が並ぶ様子は地中海を思わせる美しさだ。
澎湖縣西嶼鄉外垵村
二崁聚落
1989年に台湾で最初に伝統集落保存区に指定された「二崁聚落」は、歴史や伝統文化に興味がある人は必ず訪れたいスポット。赤レンガ色の屋根に白い壁の中洋折衷の瀟洒な古民家が連なる集落は、まるで100年前の澎湖にタイムトリップしたような雰囲気だ。現在も村民が生活しているが、一部の建物は飲食店や雑貨店になっており、建物のタイルや彫刻などの美しい装飾を間近に鑑賞できる。
石畳の路地を歩いていて、香が天日干しされている光景に出逢ったら、その店舗「二崁傳香」を覗いてみよう。手作りの「澎湖三宝」と呼ばれる天人菊(テンニンギク)、艾草(ヨモギ)、山芙蓉(タイワンヤマフヨウ)を原料にした伝統的な香は、蚊よけのほかに魔除けにも効果があるとされる二崁聚落ならではのお土産だ。
二崁聚落保存区
澎湖縣西嶼鄉二崁村
二崁杏仁茶
澎湖縣西嶼鄉二崁村36號
9:00-17:30
二崁傳香
澎湖縣西嶼鄉二崁村15號
8:30-19:00
ご当地グルメ
小萍的店
澎湖名物の「小管麵線」は、小ヤリイカ入りのスープで素麺に似た麺をいただく温かい麺料理。西嶼の鯨魚洞近くに店を構える「小萍的店」では、絲瓜(ヘチマ)や海菜(アオサ)をプラスしたバージョンも人気がある。
澎湖縣西嶼鄉小門村11-3號10:00-16:30、水曜定休
洪家炸粿
「炸粿」は、米粉を溶かした衣とキャベツとニラのみじん切りを絡ませて揚げたかき揚げに似た料理。なかにカキを入れたタイプは台湾本島でよく見る「蚵嗲」とよく似ているが、澎湖では上に狗蝦(アカエビ)をのせるのが特徴だ。甘い醤油だれや唐辛子だれをつけていただこう。
澎湖縣馬公市東衛里8-36號12:00-17:30
玉冠嫩仙草
「仙草」は暑気払いに効果があり、酷暑の台湾の夏に欠かせない薬草。行列ができていることが多い「玉冠嫩仙草」の一番人気の「翡翠嫩仙草綜合冰」は、仙草茶のかき氷に仙草ゼリー、芋団子、タピオカ、小豆などをトッピング。仙草そのもの味と香りが楽しめるかき氷だ。
澎湖縣馬公市民福路32號10:00-22:00、水曜定休
正一食品
澎湖特産ピーナッツバターの濃厚な風味にバターのまろやかさをプラスした「奶油花生酥」は、カリッとしたクッキーのような食感のピーナッツ菓子。パッケージもレトロで可愛い!
澎湖縣馬公市惠安路6號8:00-19:30
06-927-3008
facebook.com/zhengipeanut
※奶油花生酥は12:00からの販売。予約で売り切れるため、訪問前日までに公式FB・電話で予約が確実
水月堂
「黒糖糕」は、日本時代に沖縄出身の日本人が開いた菓子店が澎湖に伝えた「アガラサー」を改良した黒糖蒸しパン。しっとりと弾力があり、甘さ控えめで、冷やすとより風味が増す。現在は澎湖を代表するお土産となっている。
澎湖縣馬公市惠安路17號7:30-21:30
澎福古棗味
「炸棗」は落花生や小豆の餡を包んだ揚げパン。日常のおやつとして愛されているほか、澎湖の住民が廟に参拝する際に供え物や慶事の引き出物に欠かせないおめでたいお菓子でもある。
澎湖縣湖西鄉湖西村157-3號06-992-2422
9:30-12:00、15:00-17:00、不定休
※訪問前に営業有無の確認をおすすめ
夏の味覚・バフンウニ
毎年7-8月に解禁される馬糞海膽(バフンウニ)は澎湖の夏の味覚。刺身のほか、炒飯や茶わん蒸しも人気。
離島めぐり
本島の周囲に浮かぶ大小様々な離島はどの島も魅力的。時間が許せば、ぜひ1日は離島の旅に出かけよう。本島からの日帰り旅行はツアーの利用が便利。離島へ渡る快速艇のチケットやツアーは出発する埠頭のビジターセンターにある船会社の窓口で予約できるほか、ホテルや民宿でも手配できる。
吉貝嶼
白沙島の北方約5.5㎞に位置する全周約13㎞、面積約3.1㎢の澎湖北海最大の島。南端の「吉貝沙尾」は、海水によって蓄積されたサンゴや貝殻で形成された「砂嘴(さし)」が約1㎞にわたって続く白いビーチで、吉貝嶼最大の見どころとなっている。
また、沖合に築かれた玄武岩を利用した漁業のわな「石滬」の数は澎湖最大の80個あまりに上ることから「石滬の故郷」としても知られている。バナナボートやシュノーケルなどのマリンスポーツに最適な海の楽園で、宿泊して楽しむのもおすすめ。
香香冰店
澎湖縣白沙鄉吉貝村182-13號
10:00-20:00
吉貝へのアクセス
白沙島赤崁碼頭から快速艇で約20分
目斗嶼
吉貝嶼から北に7㎞の澎湖群島最北端に位置する全周843m、面積わずか0.0244㎢の小島。ランドマークの「目斗嶼燈塔」は島で唯一の大型建造物。目斗嶼の周囲は水深が浅く、暗礁が多いうえに潮の流れも急な海域で、かつては海難事故が頻発していた。
船の運航の安全を守るために1902年(明治35年)に完成した灯台は、灯台本体も目を引く白黒の縞模様で警告標識の役割も担っている。玄武岩がむき出しになった孤島の美を満喫しよう。
目斗嶼燈塔
澎湖縣白沙鄉目斗嶼島
※内部非公開
目斗へのアクセス
吉貝嶼から快速艇で約20分(目斗嶼上陸ツアーに参加が必要)
桶盤嶼
澎湖群島で最も発達した玄武岩柱状節理の地形を持つ島。「桶盤」の名は、島の南側の海岸線に沿って切り立った玄武岩の石柱の崖が続く様子が海から見ると伏せた桶のように見えることに由来する。
南西の海岸の海蝕台地は、海底火山の噴火口の周囲が海水に浸食されて窪み、中央が突出した同心円状になっており、水面に浮かぶ蓮の花のような姿から「蓮華台」と呼ばれている。荒涼とした美しさをたたえる独特な風景を堪能できる島だ。
桶盤地質公園
澎湖縣馬公市桶盤嶼
桶盤へのアクセス
南海ビジターセンターから快速艇で約20分、埠頭から徒歩で各スポットへ
虎井嶼
桶盤嶼のすぐ南に位置する島で、玄武岩の断崖絶壁が聳え立つ様子は桶盤嶼とよく似ている。面積は澎湖群島で7番目に広く、虎井港周辺の低地をはさんで東西が高台になっている。
西側の高台には北緯23.5度の北回帰線が通過しており、港から続く追日大道の終端にたつ記念碑は島に上陸した観光客が必ず訪れる記念撮影スポット。崖下の海は透き通る美しさで「虎井澄淵」と称えられる。島に猫がたくさんいることから、近年では「猫島」としても人気。
虎井嶼遊憩区
澎湖縣馬公市虎井嶼
虎井へのアクセス
南海ビジターセンターから快速艇で約25分、埠頭からレンタルバイクで各スポットへ
望安郷
澎湖本島から南に約15㎞離れた望安郷は19の島々で形成されている。なかでも最大の望安島は馬公から快速艇で30分ほど。埠頭から車で約6分の「花宅聚落」は300年あまり前に漢人が移住して開いた集落で、「一顆印(ひとつの印鑑)」式と呼ばれる三合院建築が軒を連ねている。現在も50棟ほどの美しい石造りの古民家が保存されており、望安最大の観光スポットとなっている。
また、望安はアオウミガメの産卵地として知られており、埠頭近くの「澎湖望安緑蠵亀観光保育中心」では保護されたアオウミガメにあえるほか、ウミガメの生態や保護活動について理解を深められる。
花宅聚落
澎湖縣望安鄉中社村
澎湖望安緑蠵亀観光保育中心
澎湖縣望安鄉東安村1-4號
9:00-17:00
NT$50
望安へのアクセス
南海ビジターセンターから快速艇で約30分、埠頭からツアーバスまたはレンタルバイクで各スポットへ
七美郷
七美嶼は単独で七美郷を形成する澎湖群島最南端の島。北東端に位置する「雙心石滬」は、玄武岩とサンゴ礁を利用して建造された石垣で、満潮時に石垣の囲いの中に入り込んだ魚が干潮時に取り残される仕組みになっている。
石滬は澎湖のあちこちで見られるが、七美のものは2つのハートが重なる形がとくに美しく、澎湖のシンボルのひとつにも数えられる。このほか、波に削られて台湾本島のような形となった「小台湾」と呼ばれる海蝕台地も必見だ。
澎湖縣七美鄉七美へのアクセス
南海ビジターセンターから快速艇で約90分、埠頭からツアーバスまたはレンタルバイクで各スポットへ
澎湖 観光マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。