青田街 歴史と文化の薫り漂う 注目スポット6選
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/陳伯瑋・台湾に行きたいわん!編集部
青田街
歴史と文化の薫り漂う 注目スポット6選
台北の人気観光スポット永康街の南、国立台湾師範大学と大安森林公園にはさまれた「青田街」は、日本時代は「昭和町」と呼ばれたエリア。静かな住宅街の中には、いまも日本家屋の家屋が多数残っている。近年は個性的なショップやギャラリー、カフェなども増え、ますます魅力的なエリアに進化中だ。今度の台北旅行では、歴史と文化の薫り漂う青田街で、ゆったり散策を楽しもう。
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目次
台北徠卡之家 House of Leica Taipei
ライカカメラの世界観を体感
2019年1月にオープンした「台北徠卡之家 House of Leica Taipei」は、ドイツに本社を構える老舗高級カメラメーカー「Leica(ライカ)」の台湾唯一の直営店。世界初の「ライカの家」として、オープン当初からカメラ愛好家に注目され続けているフラッグショップだ。
昭和の佇まいを残す日本家屋
青田街の静かな住宅街にひっそりと佇む平屋建ての和風家屋は、日本時代に衛生技師・岩瀨祐一博士が購入し、その後台北帝国大学(現在の台湾大学)教授の住居となり、戦後は台湾大学の管理下に置かれていた建物。正面は元の姿をよく留めており、菱形や丸形の窓も美しく、2023年には台北市の歴史建築に指定されている。
新旧が融合するリノベーション空間
館内は中庭を温室に変えたり、二重壁を設けたりしながら、歴史建築の構造を守りつつ、売り場スペースを確保。古い木枠の窓、ブランドカラーの真紅と黒の漆で塗装された商品棚、フォトピクセルをイメージした黒い石で装飾された壁が違和感なく溶け合い、新旧の時代が交錯するモダンなスペースを構築している。
ライカカメラの魅力的な世界観
玄関入り口側のスペースでは、カメラやレンズをはじめとしたプロ仕様の撮影機材のほか、こだわりの周辺機材を販売。奥のギャラリーでは写真展を開催している。もちろん、ギャラリーの見学のみの入場もOKだ。
ブランドの世界観に包まれる「台北徠卡之家」は、初心者からプロまで、多角的に「ライカカメラ」の魅力に触れられるスポットだ。
台北市大安區青田街6巷3號10:00-20:00
instagram.com/leica_camera_taiwan
Saturn Landing Turkish Coffee 永康店
異国情緒あふれるトルココーヒーを味わう
観光客でにぎわう永康街から東に1本入った金華街の静かな住宅街にたつ「Saturn Landing Turkish Coffee」は、本格的なトルココーヒーが味わえるカフェレストラン。食事メニューやスイーツも揃っており、ランチにもカフェタイムにも使い勝手の良いお店だ。
トルコの魅力が詰まった店内
トルコブルーの外観の店舗に足を踏み入れると、観葉植物が置かれた温室に迎えられる。壁際のひな壇に飾られたトルコ絨毯がエキゾチックだ。室内席も壁から天井までトルコブルーで彩られ、暖色系の温かみのある照明が落ち着いた雰囲気を醸し出している。
魅惑のトルココーヒー
トルココーヒーはトルコに伝わる独特な淹れ方のコーヒー。深煎りのコーヒー豆を極細挽きにしたコーヒーの粉と水と砂糖を「Cezve(ジェズヴェ、英語でIbriki)」という小鍋に入れ、熱した砂の上で泡が立つまで煮立てる。コーヒーの粉と一緒に入れたスパイスによって、異なる風味が味わえる。
リッチな甘さのスイーツ
トルココーヒーに添えられている白い粉をまとった小さなお菓子は、「土耳其軟糖(英語でTurkish Delight)」、トルコ語で「lokum(ロクム)」と呼ばれる伝統菓子。砂糖に澱粉のほか、ナッツや果汁などを加えて作られており、日本のゆべしを思わせるもっちりとした食感が楽しめる。
「土耳其果仁酥(Baklava)」は、オスマン帝国時代から続く伝統菓子。何層にも重ねた薄いパイ生地に、ピスタチオをはさんで焼き上げたパイ菓子で、表面のパリパリ香ばしいパイ生地とピスタチオ、最下層のシロップをたっぷり吸った柔らかい生地がリッチ甘さのハーモニーを奏でる絶品スイーツだ。
エキゾチックなトルコ料理
おすすめの「雞肉千層捲(Chicken Borek)」は、鶏ひき肉とチーズ、ヒヨコ豆を捏ねた餡を包んで焼き上げたパイ。バジルとローズマリーで味付けされており、ヒヨコ豆のペーストを添えていただく。付け合わせのサラダのニンニクを加えたヨーグルトソースも美味。
「高纖鷹嘴豆蕃茄燉牛肉(Orman kebabi)」は、角切りの牛バラ肉と野菜のシチューを煮込んだシチュー。ミネストローネに似ているが、フェンネルシードやコリアンダーシードなどのスパイスがエキゾチックな風味を添えている。
満席でなければ、席利用の時間制限も無し。トルココーヒーを片手に、ゆったりした時間に浸りながら、異国情緒あふれる午後のカフェタイムを楽しもう。
台北市大安區永康街75巷14-2號11:00-19:00
ミニマムチャージ1人1品、満席時は席利用2時間、サービス料10%
facebook.com/saturnlandingturkishcoffee
※飲食物や店内の商品・備品を移動させての撮影不可
※トルコ絨毯に上がる際は靴を脱いでから
※コーヒー占いは要予約(30分NT$1500)
Jack & NaNa COFFEE STORE
丁寧に淹れたコーヒーと過ごす午後
国立台湾師範大学にほど近い、青田街と和平東路の間の路地に佇む「Jack & NaNa COFFEE STORE」は、通りの表からは看板も見えにくく、うっかり通り過ぎてしまいそうな隠れ家カフェ。オーナーのJackさんは、無類のコーヒー好きが高じて2016年1月に臨沂街のコーヒースタンドを開いた。2020年7月に和平東路の店舗に移転してきてからも、こだわりのコーヒーが多くのファンを惹きつけている。
シンプルなインテリアの店内
店舗は入口も看板も観葉植物に覆われており、灯りの灯る店内をのぞかなければ、一見するとカフェとは分からないかもしれない。店内は木のインテリアがなじむ、白を基調としたシンプルなインテリア。ゲストは思い思いにコーヒーを楽しんでおり、客席には音楽とともに落ち着いた時間が流れている。
こだわりのプアオーバーコーヒー
提供するドリンクはコーヒーのみという潔さ。おすすめの「プアオーバーコーヒー」は、ハンドドリップコーヒーで淹れるコーヒーを指す。Jackさんは厳選した世界各地のコーヒー豆を自家焙煎している。豆のフルーティーな香りとうまみを引き出すため、焙煎は浅煎りが基本。豆ごとにミルを使い分けて挽き、1杯ずつじっくり丁寧に淹れ、最高の状態で提供する。
その他のおすすめ
コーヒーは、プアオーバーコーヒーのほかに、カフェラテやカプチーノ、アメリカンなどを用意。スイーツは、ティラミスとクリームチーズケーキがスタンバイ。メニューは不定期で更新されるので、現地でおすすめを確認したい。
コーヒーを心から愛するオーナーのJackさんのこだわりが詰まった静かなカフェで、ゆったり午後の時間を過ごそう。
台北市大安區和平東路一段157巷11號11:00-19:00、土曜・日曜13:00-19:00、水曜定休
ミニマムチャージ1人コーヒー1杯、満席時は席利用2時間
facebook.com/jacknanacoffee
※臨時休業はFacebook・Instagramで告知
※商業撮影・動画撮影不可
紫金園 DigniTea
阿里山の恵みを味わう台湾茶
台北市の和平東路に面したビルの1階に店を構える「紫金園」は、嘉義県阿里山に自社茶園を持つ茶葉店。茶園は時に雲海が広がる海抜約1200~1500mの山地に位置しており、夜明けに黄金色の光が山々に射し、空が深い紫から薄いオレンジ色のグラデーションに染まる美しい情景から「紫金園」の名がつけられた。
自社茶園の茶葉を自社工場で製茶
台北の店舗で取り扱うのは、もちろん自社茶園で栽培し、自社工場で製茶した茶葉。おすすめの阿里山烏龍茶は、半発酵・軽焙煎で、茶湯の「水色(すいしょく)」は淡く、奥深い香りとまろやかな風味が楽しめる。
日本人観光客に人気の金萱茶は、軽焙煎のものは花の香気が、中焙煎のものは濃厚なフルーツ香が感じられる。ストレートでも甘みのある紅茶や、茶葉そのものの味わいが楽しめる青茶も美味しい。
健康茶・佳葉龍茶
健康に気を配っている人は、佳葉龍茶(ギャバロン茶)を試してみよう。ギャバロン茶とは、生の茶葉を酸素を遮断した環境下に置き、γ-アミノ酪酸(ギャバ)の含有量を高めた烏龍茶。独特の甘みがあり、健康茶として人気がある。
安心の茶葉選び
茶園のある阿里山のイメージを取り入れたモダンなインテリアの店内では、茶葉のほかに美しい茶器や香も販売している。スタッフの応対も親切で居心地がよく、日本語記載のパンフレットがあるのもうれしい。気になる茶葉は試飲が可能なので、茶葉の特徴を確かめながら、自分好みの茶葉を見つけよう。
台北市大安區和平東路一段185號10:00-19:00、日曜・月曜定休
dignitea.com.tw
春豬工作室 Harui Studio
生活を楽しく彩る革製品
「春豬工作室」は、国立台湾芸術大学を卒業後、日本で3年かけて皮革加工技術を学んだ創業者の小鳥さんが開いた皮革工房。味わいのあるバッグや小物を見つけたいなら、台北市青田街に足を運んでみよう。
アットホームな可愛い店舗
静かな路地に建つ住宅の白く塗られた塀の門をくぐると、観葉植物の緑に迎えられる。木枠のガラス引き戸を引いて中をのぞくと、そこはコンパクトでアットホームな空間。棚に置かれた作品の数々をはじめ、作業台に無造作に置かれた工具や色とりどりの糸もインテリアの一部のような可愛らしい雰囲気だ。
ハンドメイドの皮革製品
革製品はすべてハンドメイド。ヨーロッパ産の高品質な皮を使用した作品のラインナップは、革鞄から革財布、小物入れ、革靴などバラエティ豊か。布や防水紙など、革と異素材の組み合わせた作品もセンスが光る。
なかでも古着の青い柔道着の布は、柔道を嗜む小鳥さんの夫を通じて出逢ったもので、独特のこなれた風合いが革のバッグと見事に調和している。
温かみのある作品たち
どの作品もデザインや色遣いに温かみがあり、小鳥さんのやさしい人柄が感じられるよう。使い込むほどに味わいが増す革製品は、毎日を楽しくしてくれそうだ。
台北市大安區青田街12巷12-2號10:00-18:30、月曜・日曜定休
facebook.com/haruistudio
※日本語での対応OK
※毎週木曜、金曜、土曜に皮革加工体験教室開催(要予約)
蒙藏文化館
モンゴル・チベット文化にふれる
青田街の住宅街を歩いていると、ひときわ目を引くチベットの伝統的な建築様式を取り入れた鮮やかな色彩の建物にであう。ここが、台湾で唯一のモンゴルとチベットの文物を専門に収蔵・展示している公立資料館「蒙藏文化館」だ。入口で氏名と入場時間を記名すると無料で入館できるので、ぜひ参観してみよう。
特別展
1階と2階南半分は特別展のコーナーで、内容は不定期に更新される。テーマはモンゴルやチベットの芸術、工芸、文化、仏教な度幅広く、非常に興味深い。公式サイトで特別展に合わせたイベントを告知していることもあるので、訪問前にチェックしたい。
常設展
2階北側半分の常設展では、モンゴルの遊牧民の移動式住居「ゲル」の実物を見学できる。天幕の中に置かれた家具や装飾品に想像力が掻き立てられる。相互体験型のゲームやパネル展示もあり、楽しくモンゴル文化に親しめるスペースだ。
チャンキャ・ホトクト7世記念館
3階は1949年に成都から台湾に渡ってきたチベット仏教の化身ラマのひとりであるチャンキャ・ホトクト7世の記念館で、千年以上の歴史を持つ法具「咕嚕秋旺普巴杵(Guru Chowang)」をはじめとした、貴重な文物が彼の遺品とともに展示されている。
また、館内の教室では映画祭や音楽会などのイベントも開催されており、文化交流の場ともなっている。
台北市大安區青田街8巷3號9:00-17:00、月曜休館
入館無料
mtcc.moc.gov.tw
※フラシュ・三脚の使用不可、動画撮影不可
※児童は大人の付き添いが必要
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※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。