象山 台北医大商圈 もうひとつの信義区を歩く
企画構成/朱佳雯 文/朱佳雯‧劉宛昀 写真/宋育玫
MRT台北101駅と象山駅に近い台北医大と象山の一帯は、学生たちとホワイトカラーが庶民の生活空間と溶け合うエリアだ。交通至便で、グルメも多彩。台北中心部のビジネス街に隣接していながら、気軽に豊かな自然と触れ合うことができる。なかでも、夜景が名物の象山歩道は人気スポット。このエリアならではのビュースポットやレストランをめぐり、「もうひとつの信義区」を発見したい。
目次
周辺のスポット
象山
ゾウの頭に似た外観からこの名が付いた。近くにある獅山・虎山・豹山と合わせ台北「四獣山」をなす。海抜183メートルは決して高くはないが、市内の繁華街に近く、市街地を見渡すことができる眺望が人気の秘密だ。登山口は、MRT象山駅から歩いて数分と至便。歩道沿いに点在する展望台は絶好の撮影ポイントで、特に人気があるのが「六巨石平台」。林立する巨岩の背景に広がる台北盆地の景観は独特で、雲の上にそびえたつ台北101にレンズを向ける人も少なくない。「六巨石」からさらに登りつめると、山頂には「逸賢亭」があり、また一味違う眺望が待っている。
MRT象山駅より中強公園を経て信義路五段150巷22弄に入り六巨石まで徒歩約30分。永春高中や松山療養院にも登山口あり。
和興炭坑
信義路五段150巷471弄を約15分歩き、坂道を上がると和興炭坑だ。台北市内では数少ない炭坑跡で、日本時代の1936年に採炭が始まり、1965年まで続いた。2014年に観光史跡としてリニューアルオープンした。入口の歩道はトロッコ軌道になっており、壁に設けられた説明を読んでいくと、採炭について知ることができる仕組み。芝生を過ぎて控える「コウモリ洞窟」では、夕暮れ時に戻るコウモリたちを観察できる。そばにあるらせん階段を上がると、坑口に達し、内部はカンテラの灯りに照らされ、採掘の様子が再現されている。坂道そばのレンガ造りの建物は「樹屋」と呼ばれ、ガジュマルの木に覆い尽くされた独特の景観をみせている。
聯勤学校技術訓練センターから路地を入る。または藍5番バスで拇指山登山口下車後徒歩約15分。
周辺のグルメ
小凱悦南村小吃店
地元で人気の老舗
南村小吃店は「小凱悦」の名でも知られる。開店から40年以上の老舗。焼きそばには、腰のある手打ちの麺を使い、野菜たっぷりのシンプルな塩味が人気の秘密。特製の小皿料理もお薦めだ。口当たりの良い豚の頭部、歯ごたえのある牛の腱肉、ハチノス、豆干(台湾式の凍り豆腐)、昆布などの煮物を自由に選べる。自家製のニンニクペーストやゴマだれをかけたキュウリの和え物も好評とのこと。
台北市信義区莊敬路423巷8弄14号+886-2-2720-7388
11:00-14:30、17:00-22:00、日曜定休
赤初麺食
斬新な麺食
米麹を使って発酵させた「酒醸」(チューニアン)を使って辛味のある麻辣麺に仕上げた斬新なメニューが評判。「酒醸麻辣ラーメン」のスープには、果物を発酵させてつくった酒醸を加えてあり、スープの辛さをまろやかにしている。具は、火を通して柔らかくしたアヒルの血や豆腐、ゆば、エノキタケなどたっぷり。仕上げに歯触りの良い揚げゴボウを載せる。辛味のないラーメンやスープにニンニクを効かせたラーメンもスタンバイ。牛肉や牛の腱肉、豚肉、刺身などとの取り合わせもお薦めだ。
+886-2-2737-3803
11:30-14:30、17:00-21:00、日曜定休
※2017年11月末に閉店。
拾穂Bakery
温もりのある家庭料理屋
パン工房と欧風ビストロが融合したレストラン。友人の家で温かいもてなしを受けているような気分になれる店だ。料理はご主人が愛してやまない地中海スタイル。煮込みや漬け、焼き、乾燥といった伝統的でシンプルな調理方法を使い、自家製パンとさまざまな料理を取り合わせる。モーニングとランチのほかに、一品料理にも応じている。
食材は可能な限り台湾産を使用。クバラン黒豚は宜蘭で放牧されたバークシャーを使っており、霜降り肉のような柔らかさが特徴。塩と胡椒だけで焼き上げた豊かな旨味が、拾穂の看板メニューになっている。パンは、自家製のしょう油や手作りのジャム、台湾産のチーズと一緒に食べると、味が一層引き立つ。季節の果物と台湾製のヨーグルトを使ったフルーツレタスサラダも人気。
台北市信義区荘敬路391巷5号+886-2-2720-1356
8:00-22:00、火曜定休
現金/サービス料:10%/ミニマムチャージ:飲み物1点か料理1人前/予約:可
www.facebook.com/Gleaners.bakitchen/
渣男 Taiwan Bistro
山麓の台湾居酒屋
象山での夜景を楽しんだら、その麓にあるこの台湾風の居酒屋に立ち寄りたい。店主のトニーさんは米国ニューオーリンズに留学した経験があり、台湾に帰国後、金融・保険業界入り。2012年には中強公園のそばに「ニューオーリンズ・キッチン」を開き、人気を博した。
トニーは、和風の居酒屋やビストロ以外に、ちょっとお酒が楽しめる台湾風の食事処がないことに気づき、開店したのがこの「渣男」だ。「渣」は「かす」という意味だが、日々の暮らしの呻吟する庶民のための憩いのスペースをつくりたいという思いが込められている。
しかし店内は鉄窓の細工や更紗の灯籠など凝った体裁である。流れている1990-2010年代のスタンダードは30-40代の客たちのノスタルジーをかりたてる趣向。カウンターからは調理の様子が目に入り、おなじみの屋台の風景を思わせる。「滷味の盛り合わせ」「猪五花」「猪尾巴」「大腸包小腸」など台湾風のおつまみにあわせるアルコール類は、ビール・ワイン・ウイスキーのほかオリジナルのカクテルがオーダーできる。「癡情男子漢(ひたむきに愛する男)」は台湾薬用酒「維士比」に高粱を合わせたパンチのあるショットで、冒険好きにお薦め。
台北市信義区信義路五段150巷315弄12号+886-2-2720-9820
17:30-1:30
現金/サービス料:無/ミニマムチャージ:1人に付きドリンク1杯/予約:不可
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