タイペイ・アイ (台北戲棚) 伝統舞台芸能観賞
文/高田雅子 写真/宋育玫
タイペイ・アイ
伝統舞台芸能とふれあう 贅沢な夜を訪ねて
普通の観光もいいけれど、京劇などの古典芸能の公演も、気軽に楽しんでみたい――。そんな希望をかなえるべく、今回は初めて、京劇、雑技、管弦楽、台湾原住民による歌舞、戯曲などの中華伝統舞台芸能を常設劇場で公演しているというタイペイ・アイにやってきた。
公演鑑賞当日、夜七時半前に会場に到着。開場まで10分ほどあったので、入り口横の可愛らしい三太子(道教の神様・哪吒)のマスコットと記念撮影をしていると、日本語でスタッフからお茶のサービスがあった。聞けば、日・英・中・韓の4ヶ国語で対応可能とのこと。海外からの観客の多さがうかがえる。
七時半の開場時間に、案内に従ってエレベーターで公演の行われるホール階へ上がると、エレベーター前には伝統的な衣装をまとった布袋劇(袋状の布製人形を指で操作する人形劇)の人形が何体も飾られており、華やかな雰囲気。人形は購入もでき、他にも、チャイナ雑貨やアクセサリーなど、手ごろな価格のちょっとしたお土産や記念品にぴったりの品々が並んでいて、思わず立ち止まって真剣に品定めをしてしまった。
ホール入り口右手には、京劇の衣装と冠を無料で身につけられる記念撮影コーナーが設けられていた。男性用と女性用、好きなほうを選んでポーズをとると、気分は京劇役者。楽しい記念撮影となった。反対側の入り口左手では、実際に出演する花旦(若い女性役)が身支度をしており、普通の劇場の公演ではなかなか目にすることができない、京劇の化粧の仕方、女性の鬘の構成や装着法を間近で学ぶことができ、非常に興味深かった。
鑑賞当日の演目は京劇「西遊記」から、「鬧龍宮」。猿の王孫悟空が龍宮へ押し入って如意棒を無理やり譲り受けて来る、という物語だ。アクロバティックな動きによって進められていく物語を、舞台上手に控える伝統楽器の楽団が生演奏で盛り立てる。舞台左右に日・英・中・韓の字幕が出るが、字幕を追わなくても、役者の動きや表情で物語の筋は大体伝わってくる。役者のくりだす手をつかない連続宙返りなど迫力ある技の連続に、手に汗握る思いをしたり、コミカルな演技に笑ったり。観劇の時間はあっという間に過ぎていった。
終演後には、舞台を降りた出演者による観客の見送りや記念撮影会が催され、会場を去る最後の最後まで心に残るおもてなしを受けることができた。ぜひまた、違う演目の際に来場し、歴史ある伝統舞台芸能とふれあう贅沢な夜を過ごしたいと思う。
タイペイ・アイ(台北戲棚)
台北市中山区中山北路二段113号3階(台泥大楼 士敏庁)
+886-2-25682677
毎週月曜・水曜・金曜・土曜日20:00開演
月曜・水曜・金曜:NT$550(上演時間約60分)、土曜:NT$880(上演時間約90分)
www.taipeieye.com
タイペイ・アイ (台北戲棚) マップ
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