深坑 ・ 猫空 台北近郊の里を歩く
企画構成/鍾昀彤 文/楊善文 写真/宋育玫・張家馨・邱欽煌・台北市政府
深坑 ・ 猫空
新北市の深坑区と台北市文山区の猫空はどちらも山間の個性派スポット。近距離なので、あわせて巡るのがおすすめ。清代、物産の集散地であった深坑には往時の商店街が残り、良水から作られる豆腐が名物になっている。台北市立動物園そばの猫空は、市街地にもっとも近い茶葉の産地であることから、銘茶の里として知られる。特に夕刻以降は、喫茶と夜景を楽しむカップルや家族連れが押し寄せる。
目次
深坑
深い山に囲まれたくぼ地の様子が「深坑(センケン)」という地名にも表れている。清代には水路を利用して、周辺地域の農産物を出荷した。日本時代に入ると、染料・茶葉・樟脳の集散地となった。現在も深い森が残り、良水が湧くことから、豆腐が名物となっている。
MRT文湖線木柵駅から指南バス660/679系統・欣欣バス666/819系統・台北バス795系統で「深坑」下車
永安居
深坑商店街の入口に位置する永安居は1915 年に完成した邸宅。清代乾隆年間に福建省安渓からやってきた黄一族が、子孫繁栄の願いを込めて命名した。中国から運び込んだ大量の木材や石材を使用した福建伝統の民家で、三合院風と呼ばれる様式を伝えている。
新北市深坑区北深路三段8 号+886-920912857
日曜、休日9:00-17:00、その他の時間は要申請
大人NT$60、子供NT$40
http://www.hty.tw/
王水成 水成館
地元民にこよなく愛される麻辣臭豆腐のお店。非遺伝子組み換えの大豆を使用し、ピリリと適度な辛味が箸を進ませる。しっかり煮込まれた麻辣鴨血もおすすめ。きつね色に揚がった酥炸豆腐は表面はカリッと、中はしっとり。口の中に大豆の香りが広がる。ぜひとろみのある豚肉のスープとセットで味わいたい。
新北市深坑街118 号+886-2-2662-9118
平日10:30-20:00、休日10:30-20:30、水曜定休
廟口石板臭豆腐
深坑廟門前の豆腐店。店長が石板でパリッと焼き上げ特製のたれを塗った揚げ臭豆腐に、お好みで台湾キムチ、キュウリの塩漬け、韓国キムチなどを添えていただく。味わいも多彩な人気の逸品だ。
新北市深坑区深坑街135 号月曜- 木曜10:00-20:00、休日10:00-21:00
古早厝人文豆腐美食
レトロな趣きの「古草厝」は深坑を代表する豆腐料理店。おすすめは蒸し臭豆腐と鴨血(アヒルの血を固めたもの)。トッピングにパクチーや煮干を散らし、だしをたっぷり含んだ臭豆腐はピリ辛風味。柔らかな鴨血とあわせるとご飯が進みそうだ。
新北市深坑区深坑街140 号+886-2-2662-2534
10:00-20:30
嘉義閣
老街で七十年以上の歴史を誇る老舗。名物の深坑豆腐は、豆乳自体に香りがあり、醤油などで煮炊きしたあとも柔らかく、独特の香ばしい風味が残る。多くの美食家が推薦する一品。
新北市深坑区深坑街58 号+886-2-2662-3888
10:30-20:00
阿珠芋圓
創業から25 年以上、地元民に愛されてきた名店。芋圓とはイモ類を使った団子のこと。おすすめはタロイモ、サツマイモ、小豆、緑豆の四色芋圓。シロップ、かき氷、各種トッピングと組み合わせいただく。夏は冷たいシロップを加えて暑気払いを。冬は温かいシロップで温まって。
新北市深坑区深坑街134 号8:00-21:30
北一緑豆沙牛奶
商店街の目印ともいえる大樹そばの「北一」は百パーセント果汁と緑豆ミルクが人気。香料や濃縮ジュースは一切不使用。やわらかく煮た緑豆をふんだんに使い、新鮮な牛乳とあわせた緑豆ミルクは優しい台湾の味。濃厚なランチの後の口なおしにもぴったり。
新北市深坑区北深路二段179-1 号10:30-20:30
Arc Cafe
2016 年にオープンした特色あるカフェ。打ち放しのコンクリートに大きな窓。観葉植物に天窓から陽光が降り注ぎ、谷間のオアシスといった趣きだ。厳選した豆を深めに焙煎し、こだわりのゲストにブレンドとストレートコーヒーを提供。あわせて軽食と手作りケーキもオーダーしたい。特におすすめはフランス製ブラックチョコで作るショコラフォンダンとスリランカ紅茶入りチーズケーキ。
新北市文山路2 段126 号金曜11:30-18:30、土曜・日曜11:30-20:00
猫空
台北に直近の茶処として発展してきた猫空(マオコン)は、ロープウエイの開業を機に、有数の観光スポットへとその風貌を一変させてきた。とくに近年の注目は、喫茶をさらにグレードアップさせた茶葉料理のレストラン、そして欧風のカフェの登場である。猫空はその眺望の良さが愛でられて、夜景を売りにした茶芸館で人気を集めてきたが、その多様化が一気に進みつつある。
MRT文湖線動物園駅から徒歩でロープウェイ「動物園駅」へ
猫空ロープウェイ
文山区にある猫空ロープウェイは、台北市が初めて設けた公共交通機関としての観光ロープウェイ。総距離4.03 キロ。台北市立動物園前を起点に動物園内駅、指南宮駅、猫空終点までを結び、料金も手軽。一般ゴンドラは八人乗り。五人乗りで、全面ガラス張りの床から山を俯瞰できる水晶ゴンドラは特に人気。
毎月の最初の月曜9:00-21:00火曜- 木曜9:00-21:00、金曜・国定休日前日9:00-22:00、土曜・国定休日 8:30-22:00、日曜・連休最終日8:30-21:00
www.gondola.taipei
強 風・豪雨・地震の場合は運行見合わせ。事前にMRT 各駅案内所に確認のこと。
樟樹歩道
ロープウェイ猫空駅から徒歩5 分の近距離にある樟樹歩道は、全長約1.2 キロ。かつて農作物の運搬に使用された道は全体的に平坦で、どの年齢の人でも歩きやすい。道中、遠くに広がる山々や眼下に広がる茶園のほか、牛車、炭焼き窯、豚小屋、穀物倉庫など、伝統的な農家の施設にも出会える。冬茶の収穫が終わると、茶農会が緑肥としてルピナスを栽培するため、毎年3 月初旬には満開のルピナスの黄色と茶樹の緑色が織りなす景色が広がる。
ロープウェイ猫空駅を出て、標識に従って歩道入口まで歩く
台北市茶葉普及センター
特産の鉄観音茶や包種茶の普及活動とともに郷土の生活や産業の紹介を行っている文化教育施設。館内には製茶の工程や茶葉の展示室のほか、茶芸体験コーナーが設置されている。平日は団体のみガイ
ドを受け付ける。週末はボランティアによる無料ガイドツアーを実施中。
+886-2-2234-0568
9:00-17:00 、月曜定休
指南宮
主神に八仙の一人「呂洞賓(仙公)」を祀ることから、別名「仙公廟」。儒教・仏教・道教の三教を合祀する。台湾道教の聖地と目され、堂々たる伝統的な中国宮殿スタイルを誇る。精巧な彫刻と華やかな色彩が色を添え、文化史上も高い存在価値をもつ。
台北市万寿路115 号+886-2-2939-9922
猫空ロープウェイ指南宮駅で下車後、徒歩約5 分
阿義師大茶壷茶餐庁
茶芸とともに茶葉料理が楽しめるレストラン。20 年以上の歴史を有し、現在は三代目が熟練の技で茶葉を利用した様々な創作料理を編み出している。岩茶燻製鶏、茶葉煮込み豆腐、海老の茶葉揚げ、鉄観音茶葉アイスキャンディーなど、いずれも茶の香りが楽しめる逸品。五行小饅頭、茶葉ケーキ、茶葉キャンディーなど、猫空ならではの土産物もそろう。
台北市文山区指南路三段38 巷37 号+886-2-2939-5615
10:30-22:00、月曜定休
邀月茶坊
山腹に点々と展開する簡素な東屋。邀月茶坊は24 時間営業の観光茶園。自然環境を生かした喫茶や食事の空間とともに緑の景色が愛でられ、終日市民でにぎわう。茶葉を皮に練りこんだ鉄観音小籠包、キンモクセイと茶葉が香る鶏の紹興酒漬けなどの特製茶葉料理が銘茶とともに堪能できる。
台北市文山区指南路三段40 巷6 号+886-2-2939-2025
24 時間
猫空茶屋
猫空ロープウェイ終点出口から徒歩一分。地産の鉄観音茶や包種茶などの土産物を販売している店内は、可愛らしいアレンジ。茶葉の中に埋めて二日以上煮込んだ茶玉子と芳醇な台湾茶ソフトクリームは、SNS で人気の猫空グルメだ。
+886-2-2936-6066
10:00-21:00、月曜定休
Café巷
猫空の人気カフェ。店内は居心地のよいアットホームな雰囲気。大きな窓からは山の景色が一望できる。一番人気は2 人用の欧風アフタヌーンティーセット。地産の茶葉で作ったドリンクとスイーツが楽しめる。山歩きの足休めに、午後のひとときをのんびり過ごしたい。
台北市指南路3 段38 巷33-5 号+886-2-2234-8637
平日10:00-21:00、休日10:00-22:00、月曜定休
一足のばして行きたい観光スポット
深坑 お散歩マップ
猫空 お散歩マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。