麺、どうぞ！―「台湾麺」の新世界 3選―

麺、どうぞ！―「台湾麺」の新世界―

企画構成／鍾昀彤　文／鍾昀彤・劉宛昀・楊善文　写真／宋育玫

麺、どうぞ！

台湾麺　ただいま進化中！

白いご飯が主食ながら、台湾は麺食（小麦文化）も多彩。かつて「麺館」といえば、素朴な食堂が主流だったが、近年台北には内装にこだわる店舗が登場。牛肉麺やワンタン麺といった中国伝統の麺類をベースに、風味や調理に工夫を凝らし、独自の「麺道」に邁進する若い店主たちも増えてきた。家庭の味であるおなじみの麺が、驚きの味わいに進化を遂げている。

BON Meingerda & Dumpling

店名もモダンなカフェタイプの「麺館」は、「麺疙瘩」と「水餃子」の専門店。「麺疙瘩」も麺類の一種で小麦粉をこねて団子状にした「すいとん」風。おなじみの餃子も「麺食（北方小麦文化）」の仲間だ。フランス語で「おいしい」を意味する「BON」は店長の愛称とのこと。彼は両親から調理の技を受け継ぎ、伝統の麺疙瘩をベースに新しい工夫を加えることで独自のメニューを編み出した。小ぶりの店内は明るく快適で、ドライフラワーと木製のテーブルが落ち着きと温かみを演出する。大きな窓に面するカウンターは一人で気軽に利用できる。町の景色を眺めながらの一杯にぴったりのスペースだ。

主なメニューは麺疙瘩、乾麵疙瘩、パスタ風疙瘩。海鮮、肉そぼろ、豚肉味噌などの伝統風味以外に、イタリア風味も人気がある。期間限定でタイ風、韓国風も登場する。「豆乳鶏起司白醤麺疙瘩」はパスタ風の人気商品で、一般のものより小ぶりだが、コシのある麺疙瘩にチーズホワイトソースをあえ、鶏のから揚げを添えた逸品。

豆乳鶏起司白醤麺疙瘩

もう一つのおすすめ「紅焼肉蕈菇青醤麺疙瘩」は、オリーブオイルとバジルソースを使用し、カシューナッツと麺疙瘩を炒め合わせたもの。「紅焼肉」は豚トロをからりと揚げている。

小皿類も多彩。「紹興酔鶏」は地鶏もも肉の紹興酒漬けで、前菜に最適。キュウリの冷菜「涼拌小黄瓜」は甘酸っぱさのなかに花椒（ホアジャオ）の辛味がアクセントになっている。

紅焼肉蕈菇青醤麺疙瘩

紹興酔鶏

BON Meingerda & Dumpling

台北市大安区復興南路二段128 巷3-2 号
+886-2-2706-9276
11:30-14:30、17:30-21:30、木曜定休、火曜不定休(FB 参照)
現金のみ／予約: 可
www.facebook.com/BONMEINGERDA

大師兄銷魂麺舖

一見カフェのように見えるが、その実体は激辛牛肉スープと激辛麺の専門店。大師兄は店長の幼名。激辛鍋で成功した店長は、大勢でつつく鍋を一人でも楽しめる激辛麺料理に変身させた。

だしは激辛味とあっさり塩味のだし二種から選べる。「清燉半筋半肉湯」は、牛の大腿骨を8 時間煮込んでコクを出したスープに、スライスしたバラ肉と牛筋の塊をトッピング。人気の「麻辣半筋半肉湯」は、数十種の漢方と数種の高級唐辛子を加え8 時間以上煮込み、繰り返し濾して上澄みだけを使う。

清燉半筋半肉湯

麻辣半筋半肉湯

特製ラー油は漢方、野菜、牛脂をゆっくりと炒め合わせて作る。醤油だしは調整済みのラー油が程よく配合され、一滴も残さず飲み干してしまう美味しさ。「銷魂麺」は、手延べ麺に伝統的な揚げ葱、黒酢、醤油など特製ソースを加え、さらにラー油を混ぜ合わせている。シンブルだからこそ、魂の入った看板メニューだ。

銷魂麺

自慢の特製ラー油はすべての小皿料理にも使用。おすすめの「蛋腸馬卡龍」は、数量限定のマカロン形「基隆蛋腸（腸詰の玉子豆腐）」。麺とラー油のギフトセットも販売している。

蛋腸馬卡龍

麻辣滷豆皮

お土産に袋麺を

map-大師兄銷魂麺舖-01

忠孝店
台北市延吉街137 巷6-1 号
+886-2-2711-6806
月曜- 木曜11:30-14:30、17:30-21:00、金曜- 日曜11:30-14:30、17:30-21:30
現金のみ／ミニマムチャージ：セット1 人分／予約: 可
www.facebook.com/masterspicynoodle02

好麺

MRT 台北小巨蛋駅付近の路地裏にひっそりとたたずむ「好麺」。店長が台湾伝統麺料理の発展を願って創業した。定番メニューの「霸王級鮮蝦餛飩」は、新鮮な豚肉と漁港直送のバナメイエビを使った大粒のワンタン。手打ち麺は、カツオだしスープ麺でも四川風あえ麺でも、コシを失わない。食後のデザートには、コーヒーと台湾茶のほか、水を一滴も加えずに作った超濃厚パンナコッタがスタンバイ。