鳳林 国際スローシティ

企画構成・文/楊善文 写真/宋育玫

鳳林 国際スローシティ

鳳林 国際スローシティ

台湾で初めてスローシティ(チッタスロー国際連盟)の認証を受けた花蓮県の鳳林は、スローフードやスローライフを前面に新しいツーリズムスタイルを確立してきた。開発を抑えつつ持続的な発展を目指すことによって、素朴な農村風景が愛でられ、多くのツーリストが訪れるようになった。日本時代から残る農家やご当地グルメが話題となり、サイクリストのメッカとしても知られるようになった今も、都会の雑踏とは無縁の静かな時間が流れている。

鳳林 国際スローシティ

 

スローシティの国際認証

スローフードが発端となったスローシティ運動は1999 年にイタリアのオルヴィエートに発祥した、その土地ならではの文化や伝統を守り、生活のリズムを変えずに地域経済を豊かにしていこうという取り組みだ。現在、世界30 か国の213 都市が認証を受けており、台湾では、花蓮県鳳林鎮と嘉義県大林鎮、苗栗県の南庄郷と三義郷の4か所が認証されている。

 

鳳林の煙草乾燥小屋(菸楼)

花蓮県鳳林一帯は日本時代からたばこ作りが盛んで、納屋ともいえる大きな乾燥小屋が当地の名物になっている。「菸楼」は、収穫した葉タバコの乾燥や保存のために作られたレンガ造りの建物。現在、鳳林には30 棟が残っており、なかでも徐家興・余相來・廖快家の三軒は保存状態がよく、地元の観光名所になっている。

鳳林の煙草乾燥小屋(菸楼)

 

 

鳳林 みどころ

1.花手巾植物染工坊

鳳林鎮文史工作協会が開設した「花手巾植物染工坊」は,台湾本島東部、鳳林(フォンリン) という集落を特徴付けるスポットだ。地元の女性たちが丁寧に仕上げた染め物や手工芸品を販売するほか、体験プログラムの予約も受け付けている。月桃やガジュマル、ジンチョウゲなど天然素材で染めた手拭いは思い出の一品になるだろう。仕上がりを待つ間に、レンタルサイクルで街中を散策してみたい。

花手巾植物染工坊

自分だけのオリジナルを作ろう!

花蓮県鳳林鎮中華路164 号(鳳林公園内)
+886-3-876-0905
8:00-17:00
染め物体験はNT$200 から、レンタル自転車は1日NT$100

 

2.客家文物館

鳳林は台湾東部でもとくに客家(ハッカ) の人々が多いエリアだ。客家文物館では、客家の人々が当地に移り住み、生活を築いてきた足跡を確かめることができる。かつて農民たちが使用した生活道具、福建伝統の民家の模型、農村の必需品だった笠やみのなども展示されている。館内では、退職した地元の校長先生が、ときに鳳林に伝わる故事や往時の暮らしぶりを語ってくれるという。

ボランティアガイドを務める元校長先生

地元の故事を語る元校長先生

客家移住の歴史を紹介する展示

客家移住の歴史を紹介する展示

花蓮県鳳林鎮中華路164 号(鳳林公園内)
+886-3-876-2625
8:30-17:00、月曜定休

 

3.明新冰果室

地元の人に人気のかき氷屋さん。小ぶりな構えながら、その名は内外に轟き、県外からもファンが押し寄せるという。昔ながらのかき氷と搾りたてのレモンジュースが看板メニュー。ピーナッツと小豆、花豆が楽しめる「招牌三豆冰」はボリューム十分。花豆と小豆の餡と歯ごたえのあるピーナッツがよくマッチし、練乳の濃厚な甘みがどこか懐かしい。レモンジュースは丸ごとの台湾レモンに練乳を少し加え、酸味と甘みがほどよく、暑気払いには最高の逸品。

明新冰果室

左:招牌三豆冰、右:レモンジュース

明新冰果室

懐かしい雰囲気の店内

花蓮県鳳林鎮新生街26 号
+886-3-876-4168
9:00-21:00

 

4.芳草古樹花園

日本時代に建てられた乾燥小屋を中心に煙草農家を民宿・レストランに再利用している希少な例である。敷地は三千坪を超え、中央には樹齢二百年余りというクスノキの大木が茂る。素朴な暮らしぶりが偲ばれる宿で一夜を過ごすもよし、レストランでは本場の客家料理が堪能できる。むき出しのレンガ造りからは、稲わらを混ぜて乾燥させた往時の工法も確かめることができる。異郷の地ながらどこか懐かしい、まさにタイムトリップできる空間だ。

本場の客家料理

本場の客家料理をぜひ味わって

樹齢二百年余というクスノキの大木

樹齢二百年余りというクスノキの大木

芳草古樹花園

居心地の良い空間でくつろげる

花蓮県鳳林鎮中和路71 号
+886-3-876-0437
10:00-14:00、17:00-20:00
www.fangshuh.com.tw

 

5.校長夢工廠

鳳林は小さな街だが、多くの人材を輩出している。当地出身で台湾各地の校長先生を経験した人は百人を超え、「校長之郷」という異名があるほどだ。鳳林が生んだ教育の先達を記念し、その活躍を記録しようと、2004 年に地方文史館が生まれた。日本時代に鳳林支庁長官の官舎として建てられ、鳳林中学校の初代校長を務めた張七郎氏の宿舎ともなった建物を改装したものである。地元のシニアや退職教師がボランティアとして郷土にまつわる語り部を務めている。

校長夢工廠

校長夢工廠

建物の前身は日本時代の鳳林支庁長官官舎

花蓮県鳳林鎮民生街16 号
+886-3-876-4779
8:30-12:00、13:30-17:00

 

6.林田山林業文化パーク

かつて台湾四大林産地と称えられた林田山は、1918 年にその歴史が始まり、1938 年頃から運搬施設も整い、出荷が本格化。労働者とその家族のために、宿舎や生活機能も備えられていった。戦後も好況は続いたが、台湾では1987 年に天然林の伐採が禁止され、林業は衰微する。しかし当地にはいまも日本時代からの施設が残り、ヒノキを使った宿舎群として台湾でも有数の規模をもつ。現在政府の手で公園としてリニューアルされ一般に開放されている。木造の建物や軌道の跡などレトロな雰囲気がインスタグラムなどで人気を集めている。

林田山林業文化パーク

古い日本家屋の旧宿舎

林田山林業文化パーク

材木を運ぶ鉄道も敷かれていた

林田山林業文化パーク

花蓮県鳳林鎮森栄里林森路20 号
+886-3-875-2100
9:00-17:00、月曜休園
http://culturalpark.forest.gov.tw/index.aspx

 

7.游翁ニラ臭豆腐

鳳林を代表するB 級グルメの一つ。きつね色に揚げた臭豆腐にニンニクのみじん切りと薄味のたれをかけ、新鮮なニラをたっぷりと載せていただく。しなやかで辛みのない鳳林産のニラに揚げたての臭豆腐がぴったり。脂っこさも抑えられ、歯ごたえも頼もしい一皿だ。

游翁ニラ臭豆腐

游翁ニラ臭豆腐

地元の人気店の味をお試しあれ

花蓮県鳳林鎮中正路二段20 号
+886-3-876-3469
11:30-21:30

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

花蓮 ~鳳林・光複・瑞穂~

花蓮 鳳林・光複・瑞穂

鳳林周辺には、楽しく遊べるスポットがいっぱい! 足をのばして、一泊だけではもったいない、この大きな土地の深い魅力に触れてみよう。

 

 

鳳林 スローシティ観光マップ

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。