米所　台東県池上でおかわり！

企画構成・文／楊善文　写真／宋育玫・張晉瑞

伯朗大道

台東県池上

台湾本島東部を南北に走る平野部は「縦谷」とも呼ばれ、その南端にあたるのが台東県池上郷だ。池上は台湾を代表する米所で、「池上米」の名は内外に広く知られる。豊かな土壌と清らかな水量に恵まれた田園地帯を訪ね、素朴な人々の営みや自然との触れ合いを満喫してみよう。

今回は、テレビコマーシャルで人気を集めた伯朗大道（ブラウンロード）、大坡池で体験する蓮の葉採り、動物たちとの出会いが待つ農園とともに、池上のほくほくのご飯と特産のコーヒーを紹介する。温泉リゾートにも足を運び、スローライフを味わってみたい。

台東県池上

見渡す限りに
広がる稲穂の波

気温差が大きく日照時間が短いため、池上米は南方にありながら晩生で、香りも旨味も高い米に育つ。二期作で、夏なら5 月-6 月、冬なら11 月-12 月が収穫期。この時期に合わせて訪れると、風に揺れる黄金の波が観賞できる。冬の収穫が終わると、コスモスや菜の花が咲き乱れ、四季を通じてさまざまな彩りに包まれる。

池上ではサイクリングがおすすめ。「池上環圳自転車道」を走ると、両側に電線も建物もない一帯に出会う。「伯朗咖啡」（ミスターブラウンコーヒー）のテレビＣＭ撮影地として知られ、「伯朗大道」と呼ばれる。金城武の映像で有名になった「金城武樹（金城武の木）」というアカギも見ることができる。周辺に雄大な山稜と見渡す限りの水田が広がる中、ゆっくりとサイクリングを楽しみたい。

池上環圳自転車道

「大坡池」は伯朗大道からもほど近い自然の池で、台湾最大規模の蓮池として知られる。夏季には、竹の筏に乗って蓮畑に分け入り、蓮の葉や花を採取するアクティビティが人気だ。

大坡池

池上といえば
「お弁当」と「コーヒー」

池上米といえば、「池上飯包」が連想されるほど、特産のご飯をつめたお弁当は台湾随一の人気を誇る。地元の人たちが池上米と干肉・煮梅を竹の葉で包んだおむすびを駅のホームで売ったのが始まりで、時代の進歩とともに、チャーシューや豚のスペアリブ、漬物を加えて木箱に収めたスタイルが定着した。

池上飯包博物館

台９線道路沿いには「池上飯包博物館」がたち、文化の伝承とともに道の駅の役割を果たしている。２階の展示室では「池上飯包」の歴史が弁当の模型とともに紹介され、１階では、伝統菓子のほか玩具や詰めたての池上弁当が販売されている。博物館入口には引退した車両が置かれ、中でお弁当を食べながら鉄道の旅の気分を味わうことができる。

池上飯包博物館

池上はまたコーヒーの産地としても知られる。大坡池そばの「No.9 GourmetCoffee」は、コーヒー鑑定士とハンドドリップの専門家が共同経営しており、厳選したアラビカ種をオリジナルのハンドドリップで淹れたひきたての一杯を堪能できる。口の中いっぱいに香りが満ち、苦みや渋みのない後味が特徴。ショップは赤レンガに金属製のインテリアを組み合わせたインダストリアル風で、窓の外にはみずみずしい水田が広がる。至福のひと時が過ごせそうだ。

No.9 GourmetCoffee

極上の一杯を楽しもう

池上飯包博物館
台東県池上郷忠孝路259 号
+886-89-862-326
8:00-21:00

No.9 Gourmet Coffee
台東県池上郷慶豊村6 鄰56 号
+886-89-862-035
平日8:30-18:00、週末8:00-21:00
ミニマムチャージ：NT$160 ／人

自然と文化に浸る
温泉リゾート

池上のほぼ中央に位置する「日暉国際渡假村」は、美しい山脈とどこまでも広がる田園に囲まれている。ゲストがこの美景を心ゆくまで堪能できるように、低層タイプの建築スタイルを採用しているのが特徴だ。

日暉国際渡假村

119 室の客室では、池上に湧く炭酸水素塩泉を楽しむことができる。プライベートヴィラは102 室。各棟にガーデンやプライベートプール、ガゼボ、リビングルーム、ベッドルームをそなえ、静かなプライベートリゾートを満喫できる。広々とした中庭と、中央山脈と海岸山脈に育まれた天然のわき水を使用した屋外プールも魅力のひとつ。ほかにも屋外温泉・自然公園やラグジュアリーなキャンピングカーなど豊富な施設がそろう。

温かみのあるインテリアの客室

キャンピングカー

リゾートからは1 日に2 便、池上の観光ポイントや「台糖牧野渡假村」、「客家文化園区」などをめぐるトロッコ列車風の自然観察自動車「池上捷運天牛号」が運行している。台糖牧野渡假村は、かつての国営製糖工場。400 ヘクタールを誇る広大な敷地に140 ヘクタールの草食動物牧場やキャンプ場、レストランなどの施設を整備。園内を散歩していると野生の生き物にも出会うなど、あるがままの自然が残っている。客家文化園区は伝統の三合院邸宅を中心に台湾東部の客家文化を伝える施設。年末から旧正月にかけては花づくしの多彩なイベントが展開される。