グランピング ― 勤美学 山那村 CMP Village ―

企画構成・文/朱佳雯 写真/宋育玫

勤美学 山那村 CMP Village

グランピングの風情たっぷり

勤美学 山那村 「苗栗」でグランピング!

台湾本島西北部に位置する苗栗県はかつて「猫裏」と称され、「山城(山の中の町)」という別称も持つ。この数百年の歴史を経て、県内十八郷鎮に、客家・閩南(福建)・原住民といった異なる民族の暮しと文化が交錯し融合した。

香格里拉楽園(シャングリラパーク)は1990年の創立。欧風花園を主体に、多くの遊戯施設を具える。2012年に経営管理を引き継いだ勤美グループは、地元の風土や手作りの精神を駆使し、旅客に大自然を五感で感じ取ってもらおうと2016年末、グランピングという宿泊スタイルと地元の風土や手作りの精神を結びつける計画を立ち上げた。現在苗栗の持つ美学と文化的エネルギーを総動員して三年計画を展開中。パークの将来に期待が高まる。

ゆったりと一日を過ごす

ゆったりと一日を過ごす

What is グランピング

グランピング(glamping)はglamorousとcampingという二つの言葉を組み合わせた新語で、現在世界で大流行中の宿泊スタイルである。Glamorousは魅力いっぱいという意味。従来のキャンプとはまったく次元が異なり、大自然の環境の中で、地元文化を代表する課程を体験し、安全で快適な施設を堪能しようというアクティビティである。

MAP

苗栗県造橋郷豊湖村1鄰乳姑山15-3号(香格里拉楽園内)
高速鉄道苗栗駅からタクシーで香格里拉楽園まで約5分、料金約NT$200元
cmpvillage.tw
 参加者は予約が必要。詳細はhttp://cmpvillage.tw/classesで確認。(現在は中国語のみ)

 

 

一泊二日のミニ旅行

「勤美学」では毎週三回から四回、一泊二日ツアーを企画している。毎回35人から50人が参加し、宿泊客は「村民」と称される。一日目の午後二時に「山那村」に入村(チェックイン)し、レクチャー・ガイドツアー・歓迎行事を経て星空のもとで夕食やアクティビティ。二日目は地元の朝食をいただいたら、手作り教室を体験し、正午に卒業(チェックアウト)となるシステムだ。

 

 

Day

ガイド

入村するとまず村長のレクチャーを受ける。苗栗および香格里拉楽園の歴史および勤美学グループの理念や構想を学んだら、「山那村」の「入村証」を受け取り、入村する。

村長の解説を聞きながら、細長い遊歩道を歩くと「五葉松教室」に至る。アブラギリと五葉松に囲まれた一角で休息を取り、苗栗産の手揉み紅茶と客家風の餅菓子をいただく。地場の材料で建てられた「大地窯」と可愛い有機の棚田・生態池を観察したら、孟宗竹・桂竹で作成された巨大な装置芸術「情天幕」の前へ。「情天幕」はかつて瀬戸内国際芸術祭にも出展された建築家王文志の作品。村民はこの中で、きままに坐り、竹製の網を通して降り注ぐ陽光を浴びる。嵌め込まれた鉄片は、45年の歴史を持つ勤美グループの最も重要な事業である「鋳鉄事業」を代表するものだ。

建築家王文志の装置芸術の作品「情天幕」

建築家王文志の装置芸術の作品「情天幕」

情天幕のなかで日光を浴びる

情天幕のなかで日光を浴びる

客家風の餅菓子体験

客家風の餅菓子体験

村内の遊歩道

村内の遊歩道

 

野外での朝食

二日目の朝は鳥たちの囁きとともに始まる。テントの外は一面の緑だ。再び「五葉松教室」あるいは傍らの「松林平台」まで歩いて、地元の食材を駆使したお粥とサラダ、そして杏仁茶・ジュース・コーヒーの朝ごはんタイム。まさに大自然の中で受け取る自然の恵みである。

朝食を食べながら山那村の景色を一望

朝食を食べながら山那村の景色を一望

 

手作り工房

毎回手作り体験の内容は異なる。「勤美学」では地元の匠たちと提携して、さまざまな体験課程を用意しており、旅客はその内容を見てから、宿泊時期を選択できる。朝食後は、そのまま「五葉松教室」でパイナップルジャム作りにチャレンジ。先生役は、Uターンを果たした若き職人たち。こうした活動を通じて地元の人たちと交流できるのも魅力の一つだが、苗栗ブランドをPRする目的もあるという。

「五葉松教室」のパイナップルジャム作り体験

「五葉松教室」のパイナップルジャム作り体験

 

 

Night

星空のディナ―&ナイトツアー

入村当日の夕刻は、村民たちが野外のテーブルを囲む。シェフはかぼちゃ・仙草・紅棗・紫蘇など地元の食材を縦横に活用して季節のセットメニューをつくる。「山那村」の夜は更けゆくとともに、星空のもとで賑やかな交流が始まる。食後は村長の案内で探検ツアー。夜間の山林の中には嬉しい出会いが待っているそうだ。

山那村の夜景

山那村の夜景

 

 

施設

テント&森林浴所

「山那村」は大型テントが展開する小さな村落だ。キャンプサイトにはデンマーク「Nordisk」製および英国「Lotus Belle」製のハイクラスなテントが15も並び、大きな花が開いたようだ。一つのテントに二人から四人が宿泊できる。それぞれのテントで風情やインテリアが異なるが、いずれもエアコン・ミネラルウォーター・マットレス、そしてコンセントも完備。これぞ、まさにグランピングだ。

キャンプ内の一隅

キャンプ内の一隅

「森林浴所」はアーティストの陳建智がかつての売店を改装した。外観はインダストリアルな雰囲気で、廃棄されたランプシェードを手水鉢にリニューアルするなど人間の暮らしと自然が見事に融和している。村民はこの緑の中で洗顔やシャワーをすませることができる。洗面用品やタオルなどが完備し、グランピングは手ぶらでも安心。

森林浴所

森林浴所

 

 

香格里拉楽園

「山那村」から暫し下ると、香格里拉楽園の遊戯施設がみえてくる。三十年近い歴史をもつ遊園地で、クラシカルな風情が漂う。園内にはキュートな「挙牌小人(看板を掲げるこびとたち)」など多くのオブジェがたち並ぶ。編織の手法で創作された作品は、大人も子供も中で遊ぶことができると人気を集める。

香格里拉楽園内の編織作品

香格里拉楽園内の編織作品

メリ—ゴ—ランド

メリ—ゴ—ランド

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。