客家村の 茶の旅
企画構成/視野創異行銷 文/視野創異行銷 写真/視野創異行銷
客家村の茶の旅
台湾の客家人の先祖は17世紀に海を渡って台湾にやってきた。主な居住地域は、北・中部の桃園・新竹・苗栗・台中、南部の高雄と屏東の六堆、東部の花東縦谷で、このうち桃園・新竹・苗栗は総人口に占める客家人の割合がもっとも高く、人口も密集している。
客家人グループの発展は、居住地域の産業と密接に関係してきた。客家の集落には、茶、柿、仙草など多彩な特産品があるが、なかでも19世紀中ごろから盛んになった茶産業は、客家人の生活と切り離せないものだ。2021年放送の台湾ドラマ『茶金』は、1950年代を背景に客家人の茶商一族の物語を描き、台湾で一大フィーバーを巻き起こした。ドラマのロケ地は人気観光スポットとなり、多くの観光客を客家集落に惹きつけている。
桃園龍潭と、2022年末に開館したばかりの「台湾客家茶文化館」で客家人と茶の物語を訪ね、続いて桃園、新竹、苗栗の山間の美しい景色と素朴な集落を歩き、客家の郷の魅力を見つける旅に出かけよう。
目次
客家人と茶の物語にふれる
桃園龍潭
台湾客家茶文化館
新しく開幕した「台湾客家茶文化館」は桃園龍潭に位置している。建物は丘のようになだらかな緑の斜面とガラス張りの明るく透明な通路を持つエコ建築で、遠くの山々と緑の草原を背景に、茶園の風景に溶け込んでいる。広大な園内は、「文化展示」と「産業体験」をテーマに、展示ホール、お茶の試飲室、レストラン、ホリデーマーケットなどのエリアに分かれており、レクリエーション施設が充実している。
天井から日光が降り注ぐロビー「天光大庁」を抜けると、メイン展示エリアが待っている。常設展「客庄四季(客家村の四季)」では、客家村の生活風景をリアルに再現。生活用品の展示に体験型の展示を組み合わせ、客家の食文化をくわしく紹介している。特別展では客家語の台湾ドラマ『茶金』の人気シーンのセットや衣装を展示しており、観光客に記念撮影の場を提供するとともに、台湾茶の黄金時代を再現している。
観覧後は外廊下を進み、異国情緒に満ちた「六国茶室」に向かおう。ここでは個室で茶園の風景を眺めながら東西の異なるスタイルの茶席が体験できる。「福爾摩沙茶館」では、カウンターで淹れたての台湾茶、かき氷、スイーツなどを提供しており、リラックスした午後のティータイムが楽しめる。また館内には製茶工場も併設しており、間近で製茶の過程を見学できる。
台湾客家茶文化館は、小人国、六福村などの多彩なアトラクションがそろうテーマパークや、本格的な客家グルメを存分に味わえる三坑老街に隣接している。三坑自然生態公園で湖と山の風景に足を止め、四季折々の花が美しさを競う石門水庫風景区で遊覧船やサイクリングでダム湖を巡ったりしながら、休日のレジャーを思い切り楽しもう。
台湾客家茶文化館
桃園市龍潭區高原路768號
03-471-0855
9:00-18:00、月曜休館
https://www.hakkatea.tw/zh-TW
松山空港・MRT景安駅から台聯客運バス5350で「臺灣客家茶文化館」下車
台湾鉄道中壢駅から新竹客運バス5653で「臺灣客家茶文化館」下車
◆世界客家博覧会◆
世界初の客家文化がテーマの博覧会。「Travel to Tomorrow」をメインテーマに、客家の音楽、文学、工芸、美食、服飾などで客家の新しい姿を表現する。会期は2023年8月11日から10月15日。メイン会場は桃園空港MRT桃園体育園区駅(A19)。
客家村の小さな旅
桃園大渓
大渓は桃園で最も早くに発展した地区。河川交通で栄えた当時は多くの豪商が生まれ、競い合うように建てられた豪勢な邸宅は台湾で最も有名な町並みを形成している。大渓では大渓老街(旧市街)で伝統建築を鑑賞し、地元のB級グルメに舌鼓を打ち、木製玩具や豆干等の土産物を買おう。
大渓老街の喧騒を離れ、車で20分ほどの山間部に佇む製茶工場跡の「大渓老茶廠」は、人気ドラマ『茶金』のロケ地。1926年に建設された旧工場は1956年の火災により消失したが、その後再建された。現在も少量ながら製茶も続けられている。1階では製茶機器・文物・歴史資料を展示しており、ギフトコーナーでは茶葉や茶器を販売している。
おすすめコース:大渓老街→大渓老茶廠
大渓老街:高速鉄道桃園駅から台湾好行バス「大溪快線」で「大渓老街」下車
大渓老茶廠:バスターミナル「大溪總站」から桃園市バス5104で「大渓老茶廠」下車
新竹関西
関西は、田舎の静かな客家村。小さな集落には、伝統市場、老街の赤レンガ造りの「街屋」と呼ばれる商家の建物、築100年を数える羅屋書院、茶の香が漂う古い製茶工場、昔の生活を留める渡南古道など、語りつくせないほどの物語がある。
なかでも渡南古道は、「樟之細路(クスノキの細道)」古道の一部で必ず訪れたいスポット。古道の出口ちかくの「石店子老街」は、独立書店や複合式カフェ、植物染め工房など、趣のある店が増えてきている注目の老街だ。
1936年創業の「錦泰観光茶廠」は、関西にわずかに残る二軒の製茶工場のうちの一軒。炭で焙煎する烏龍茶と客家の酸柑茶が主要製品で、関西の茶産業の隆盛がしのばれる大型の製茶機械が並ぶ工場は、いまでは観光工場に生まれ変わっている。
おすすめコース:渡南古道→関西老街→錦泰茶廠→羅屋書院
台北バスターミナルから國光客運バス1820Aで「關西鎮公所」下車
新竹北埔
北埔は台湾に開墾にやってきた客家移民の集落。伝統的な客家の要素を色濃く残す北埔には豊富な開墾史と旧跡が息づいている。山間の集落の静かな通りには古い民家、老樹がよく似合う。老街周辺には清代、日本時代の建築が多く残り、見学できる歴史建築もある。
北埔老街からほど近い南埔社区は、にぎやかな老街とは異なり、伝統的な農村風情が息づいている。小さな農村だが、100年の歴史を誇る水車、様々な物語をもつ用水路、客家の古民家「金鑑堂」、環境に優しい農業など、見どころが多い。古民家「錦繡堂」裏手の「古農具展示館」では、伝統的な農村の暮らしに触れながら農家生活を体験できる。
おすすめコース:北埔老街→南埔社区
台湾鉄道竹北駅・高速鉄道新竹駅から台湾好行バス「獅山線」で「北埔老街」下車
苗栗銅鑼
三義郷の北に位置する銅鑼は有名な油桐の花の景勝地。毎年5月の見ごろには大勢の花見客が訪れ、九華山へ向かう「天空歩道」からは山を染める油桐の花を眺めることができる。住民の多くが客家人の銅鑼には「台湾客家文化館」があり、近隣の「銅鑼茶廠」、九華山と観光ルートを形成している。
「銅鑼茶廠」は、茶園での茶摘み体験ができる観光製茶工場。製茶工場内部は広大な空間をうまく利用したシンプルなしつらえで、飾られた古い製茶器具がモダン建築と絶妙に溶け合っている。1階のカフェでは、異なる気候、土壌、湿度が育んだ様々なお茶とスイーツが味わえる。
おすすめコース:台湾客家文化館→銅鑼茶廠→天空歩道
公共交通機関が少ないため、高速鉄道苗栗駅からチャータータクシー利用をおすすめ
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