拉拉山 巨木の森を訪ねる癒しの旅
企画構成/視野創異行銷 文/視野創異行銷 写真/張晉瑞
拉拉山
巨木の森を訪ねる癒しの旅
「拉拉山(ララサン)」は、桃園市南端の復興区と新北市烏来区の境界に位置する高山地帯の景勝地。現在の正式名称は「達観山」だが、台湾原住民泰雅族(タイヤル族)の言葉で「美しい」という意味を持ち、古くから親しまれている「拉拉(R`ra)」の名称がいまでも広く使われている。東南アジア最大級のヒノキの巨木の群生地である拉拉山は、タイワンクロクマやタイワンカモシカなどの希少な野生動物の生息地でもあり、豊かな動植物の生態系が残されていることから、1986年に自然保護区に指定されている。巨木が立つ森、高山の絶景を望む民宿、タイヤル族の文化と郷土料理、季節の果物など、魅力いっぱいの拉拉山にでかけよう!
1.台湾鉄道桃園駅または中壢駅から車で約2時間半
2.中壢客運桃園ターミナルから中壢客運バス5090、5091,5301で各スポットへ
※バスの本数が非常に少ないためチャータータクシーの利用をおすすめ
目次
拉拉山の自然
拉拉山巨木群環状歩道
拉拉山の海抜1500mから2130mのエリアに広がる「拉拉山巨木区」は、阿里山の神木と並び称される巨木群が佇む国有林。樹齢500年から3000年ほどに達するタイワンベニヒノキとタイワンヒノキの巨木が合計24本確認されており、観光客も遊歩道から間近に巨木を鑑賞できる人気スポットだ。拠点となる「拉拉山生態教育館」を出発して遊歩道を700mほど進むと、初めに1号巨木に迎えられる。4号巨木前の「杉木橋」広場までは平坦な道なので、子供やお年寄りも気軽に巨木の森の雰囲気が楽しめる。
杉木橋の先は「拉拉山巨木群環状歩道」。木道が左右に分かれており、右側の階段を登って行くと番号順に巨木をめぐることができる。木道の全長は約3.7㎞あり、すべて歩くと約3時間の道のりだが、短縮ルートもあるので無理のないように巨木めぐりを楽しもう。
階段の最初の突き当りに立つのは、樹齢最長の5号巨木。その先の9号巨木は貴重なタイワンヒノキだ。ここからは下り坂。体力と時間に余裕があれば、ぜひ「達観亭」のちかくに立つ、園内最大の幹周をもつ18号巨木も訪ねたい。ゆっくり歩きながら清らかな空気と神秘的な森の美しさを心ゆくまで堪能しよう。
拉拉山自然保護区
桃園市復興区華陵里11鄰205号
03-391-2142
6:00-17:00
拉拉山生態教育館
桃園市復興区華陵里巴陵207号
03-391-2063
8:00-17:00
recreation.forest.gov.tw/lang/JP/Forest (日本語)
林務局新竹林区管理処(巨木区管轄機関)
03-522-4163内線231(巨木区開園状況問い合わせ)
hsinchu.forest.gov.tw
※巨木区は2022年内に「拉拉山国家森林遊楽区」としてリニューアルオープン予定で、現在は遊歩道などの整備が進行中。出発前に開園状況を確認してからでかけよう。
山蘇的故郷
海抜約900mの「卡拉部落(Qara)」に位置する、体験型のレジャー農園。山間の細い道の奥にある、周囲を原生林に囲まれた土地はまさに秘境といった雰囲気だ。タイヤル族の一家が運営しており、敷地内に群生するシダ植物で、美味しい山菜として知られる「山蘇(オオタニワタリ)」が園名の由来となっている。
園内では「泰雅故事館」でタイヤル族の文化にふれたり、秘境生態ガイドツアーやタイヤル族の文化体験などのアクティビティに参加することができる。ガイドツアーでは、タイヤル族のガイドと原始林に残る狩人の小道を歩き、竹林や山蘇の群生地、美しい水しぶきを上げる徳倫瀑布など、山と渓流の美しい景色をめぐりながら、現地の動植物の生態やタイヤル族の伝統文化について説明を受ける。
なかでも興味深いのが、渓流沿いの巨大な岩の下にある「阿公的石穴(おじいちゃんの岩穴)」と呼ばれる洞窟だ。かつて狩人は何日もこの洞窟に隠れて熊や鹿などの獲物が通りかかるのを待ったといい、堅牢な岩の間に立つと、当時の様子が目に浮かぶようだ。文化体験では、弓矢や走縄(綱渡り)などにチャレンジできる。
桃園市復興区華陵里11鄰180-10号0927-396-620
秘境生態ガイド:1人NT$300(約90分・10人以上で要予約)
facebook.com/sunsulalasun
※宿泊、タイヤル族文化体験等の詳細は問合せ
巴陵古道生態園区
「巴陵古道」は、かつてタイヤル族が山間部の集落の間を移動する際に使用した道。現在、拉拉山自然保護区の入り口手前に位置する巴陵大橋のたもとから拉拉山旅客センターの間の約1.3㎞にわたって古道が再現されており、往時の面影をたどることができるようになっている。
巴陵大橋わきの小さなトンネル「巴陵1号隧道」を抜け、大漢渓にかかる吊橋「巴陵橋」を渡ると、その先に「巴陵2号隧道」が続く。トンネルの出口が古道のスタート地点だ。木道の階段を登って行くと、古道は山中に続いていく。沿路には、地質について解説する「地質館」、広葉樹林についての展示を行う「闊葉林館」、カブトムシや蝶などの昆虫を紹介する「胡蝶館」と「甲虫館」の4つの展示館があり、行楽客はここで豊富な標本や資料を通して拉拉山の自然と生態資源について学ぶことができる。
古道は緑の森に覆われており、時おり木々の間から尾根が続く山々の絶景も眺望でき、楽しく歩くことができる。なかでも地質館近くにある、樹々を見下ろして歩く空中縄橋は大人も子供も夢中になるだろう。古道のゴールは「拉拉山旅客センター」。
バスで訪問した場合は、ここを拠点に古道を往復するハイキングに出かけよう。チャータータクシー利用の場合は、旅客センターから出発して、「巴陵1号隧道」まで下るのがおすすめだ。
拉拉山旅客センター
桃園市復興区華陵里7鄰29号
8:00-17:00
展示館入館無料
拉拉山グルメ
拉拉人嘉美食荘
拉拉山で最も人気のあるレストランの1軒。店内は南側の壁一面がガラス張りとなっており、客席からどこまでも続く緑の山の絶景を一望できる。
看板メニューは山で放し飼いにした鶏を薪窯で焼き上げた鶏の丸焼き。ローズマリーなどのハーブとスパイスで味付けされ、皮はパリッと香ばしく、肉は柔らかくジューシーなローストチキンに仕上がっている。焼き上げる際に滴り落ちた鶏油を鶏肉につけて食べるとより風味が増す。ほかにも、猪肉、マス、山菜などを使った料理も豊富にそろう。2人分からのお得なセットメニューもおすすめだ。
桃園市復興区巴崚60-1号0967-153-876
11:00-19:00
facebook.com/lalafmaily
※鶏の丸焼きは前日までに予約
光明農場
拉拉山でも指折りの人気を誇るレストラン。道路に面してたつ赤レンガ造りの窯と薪の山が目印で、正面入り口から敷地内に入るとログハウス風の建物が並んでいる。天気がいい日はテラス席での食事も気持ちがいい。
こちらの名物は、放牧鶏を台湾原住民族が好んで使うスパイス「馬告」で味付けした鶏の丸焼き。レモングラスと山椒をあわせたような香りが鶏肉のうまみを引き立てており、絶品と評判が高い。このほかの料理は、山の幸を使ったタイヤル族の郷土料理が中心で、2人分からコースメニューも用意している。
桃園市復興区神木路198-8号03-391-2555
11:00-18:00、火曜定休
facebook.com/a033912555
拉拉山の宿
36号農場
フレンドリーな若いカップルが経営する民宿。本館はコンクリート打ち放しのモダン建築で、1階はおしゃれなカフェレストラン、2階は客室になっている。
本館のほかに2か所の別館があり、本館隣のログハウス風のコテージは、共通のリビングを挟んだ客室が2室あり、家族やグループでの貸し切りに最適。もうひとつは道路から100mほど下ったところにある2棟の山小屋風のロッジ。
どの部屋からも昼間は美しい山の風景、夜は満天の星が眺められ、居心地の良い時間を過ごすことができる。敷地内の農園では四季折々の野菜やフルーツを栽培しており、販売も行っている。
桃園市復興区華陵里8鄰36号03-391-2585
facebook.com/lalashen36
雲享棧
山の斜面に広がる果樹園に囲まれた静かな民宿。敷地内の斜面に敷かれた農業用モノレールが桃園や柿園を結ぶ光景は、このあたりの農地でよくみられるもので、民宿の特色にもなっている。
宿泊施設は農地の間に並ぶコテージやロッジ。敷地内を散策したり、テラスでお茶を沸かして美しい風景を眺めながらのんびりお茶を味わったりしながら、山の休日を満喫したい。
春は桜、夏は新緑、冬は雪が降ることもあり、四季それぞれの絶景も必見だ。夏の桃と秋の柿の収穫期にはフルーツ摘みも体験できる。
桃園市復興区華陵里14鄰巴崚156-5号03-391-2045
ysz.ego.tw
一足のばして行きたい観光スポット
拉拉山 観光マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。