九份 再発見 路地の奥に続く旅
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/陳正國
九份再発見
路地の奥に続く旅
台北から鉄道やバスを乗り継いで約1時間。山の斜面に広がる小さな街「九份」は、19世紀末に金鉱が発見され、20世紀半ばまで金の採掘で繁栄を極めた街だ。1970年代に鉱山が閉山すると街は衰退したが、1989年公開の映画『悲情城市』の舞台となったことで、九份は再び観光地として注目を集めるようになった。2000年代には人気アニメ映画『千と千尋の神隠し』の風景を思わせると日本人観光客の人気も集めるように。階段に赤いランタン並ぶノスタルジックな街の路地の奥まで歩いてみよう。
1 MRT府中駅・西門駅・北門駅から台北客運バス965で「九份老街」下車、徒歩で各スポットへ
2 MRT忠孝復興駅から基隆客運バス1062で「九份老街」下車、徒歩で各スポットへ
3 台湾鉄道瑞芳駅から台湾好行バス・黄金福隆線で「九份」下車、徒歩で各スポットへ
※基山街の711わきから老街へ→散策後は豎崎路階段下のバス停「九份派出所」からバスで台北方向へ
台北客運965
bit.ly/3Cux9Mu
基隆客運1602
bit.ly/3ROheyg
台湾好行
taiwantrip.com.tw
目次
カフェ&老街
淂藝洋行
お茶の香り漂う古民家カフェ
観光客でにぎわう基山街の商店街「九份老街」から一段下がった輕便路は、人通りが少なく静かな路地。かつて軽便鉄道の線路が走っていた道は平坦で歩きやすく、老街とはまた違った路地散歩が楽しめる。
輕便路に面した「淂藝洋行」は、築100年あまりの建物をリノベーションした古民家カフェ。食事メニューは牛肉の赤ワイン煮「紅酒牛肉」やベーグルのブランチが人気で、「鐵觀音」や「凍頂烏龍茶」をはじめとした自家製の台湾茶のほか、コーヒーなどのドリンクも多彩。デザートには特製台湾茶ソフトクリームがおすすめ。美味しい台湾茶と緩やかな時間に浸りたい。
新北市瑞芳區輕便路226號02-2406-1312
月曜10:00-17:00、木曜11:00-21:00、金曜-日曜10:00-21:00、火曜・水曜定休
ミニマムチャージ:1人NT$90
https://www.facebook.com/dayeatteahouseJIUFEN/
九份老街
必食グルメを食べ歩き
老街散策の楽しみといえば、ご当地グルメの食べ歩き。魚のすり身団子・豚肉餡入り団子・イカ団子・肉団子入りのスープ「綜合魚丸湯」や、紅麹で味付けした豚肉と筍をでんぷんの皮で包み揚げ焼きした「紅糟肉圓」は定番の軽食。
柔らかい草餅で切り干し大根炒めを包んだ「菜圃米」やフライドオニオンが香ばしいタロイモ餅「芋粿」など、日本にはない珍しい味にもチャレンジしたい。たくさん歩いたら、弾力のある芋団子と緑豆、小豆を合わせたかき氷「芋圓綜合冰」を食べて休憩しよう!
張記伝統魚丸
新北市瑞芳區基山街25號
10:00-19:00
金枝紅糟肉圓
新北市瑞芳區基山街112號
9:00-19:30、土曜・日曜9:00-21:00
阿蘭草仔粿
新北市瑞芳區基山街90號
9:00-18:00、土曜・日曜9:00-20:30
阿柑姨芋圓
新北市瑞芳區豎崎路5號
9:00-20:00、土曜・日曜9:00-21:00
注目スポット
九份金礦博物館
金鉱と街の歴史を訪ねる
1991年に元金鉱労働者の曾水池氏が、金鉱の歴史を伝えるべく自宅を改装して開いた私設博物館。博物館入口わきの展示室では、鉱夫が実際に鉱山で使用していた道具や、鉱山で掘り出した様々な種類の鉱石を紹介。実物の軽便鉄道のレールの一部とトロッコを使った坑道再現コーナーでは、鉱夫に扮しての記念撮影が人気だ。
上階の実演コーナーでは、金鉱石を砕いてすり潰し水銀と合わせた合金を作り、加熱して金を取り出す混汞法(アマルガム法)と呼ばれる製錬作業の実演と解説を行っている。
時間があれば、周辺スポットを巡るガイドツアーに参加してみよう。博物館の入口に面している輕便路は、かつて瑞芳、九份、金瓜石を結んでいた軽便鉄道「瑞芳軽鉄金瓜石線」の線路跡。ガイドツアーでは輕便路を歩き、五番坑道跡や古民家などを巡りながら、鉱山と街の歴史を学ぶ。
ガイドコースで出逢う「九份」の風景は、観光客でにぎわう老街や豎崎路とは全く異なる表情を見せる。ガイドツアーで街を歩けば、より九份への理解が深まり旅が趣深いものになるだろう。
新北市瑞芳區頌德里石碑巷66號02-2496-6379
16:00-24:00(予約制)
大人NT$120、学生NT$100、敬老・児童・障がい者NT$80(入館料に館内ガイド料込)
jioufen-goldore-museum.mystrikingly.com
※昼間・夜間の各ガイドツアーの内容と料金は公式サイトを参照
※予約・問い合わせは電話、メール、Facebookページから(中国語・英語)
※入口は昇平戲院わきから西に200mの輕便路の看板が目印
豎崎路
赤いランタンが灯る石段
豎崎路は山の斜面に沿って九份の街を南北に貫く石段の小道。傾斜の急な階段の両脇に並ぶ、レトロな茶芸館や土産物屋の軒先に赤いランタンが吊るされた、郷愁溢れる光景で知られる九份のメインストリートだ。斜面に位置する茶芸館や食堂は眺望がすばらしく、昼間は手前に鶏籠山、遠く海上に浮かぶ離島の基隆嶼まで見渡せる。夕方になるとランタンに灯りがともり、石段全体が幻想的な雰囲気に包まれる。
新北市瑞芳區豎崎路
昇平戲院
街の栄枯盛衰を見守ってきた劇場
石段の中ほど、豎崎路と輕便路が交差する広場にたつ劇場。この場所に前身となる「昇平座」が建てられたのは1934年(昭和9年)のこと。金の採掘で繁栄を極めた九份にふさわしい、2階建ての最新式の設備を持つ劇場で、毎日のように映画や新劇、歌仔戯(台湾オペラ)などが上演され、瑞芳や金瓜石からも軽便鉄道で観客が押し寄せ立ち見も出る盛況ぶりだったという。
1971年に鉱山が閉山されると九份の人口は減少し、軽便鉄道のレールも撤去されると街全体が衰退。劇場も1986年に閉鎖され長らく放置されていたが、2010年に修復工事を経て多目的空間として再生した。1960年代の劇場の様子を再現しており、九份や金瓜石に関係する映像作品の上映も行っている。レトロな切符売り場や売店、華麗な劇場空間は撮影スポットとしても人気。
新北市瑞芳區輕便路137號9:30-17:00、土曜・日曜9:30-18:00、毎月第一月曜(祝日の場合は開館)・旧暦大晦日・旧暦元旦休館
無料
bit.ly/3Tu9yTx
ひと足のばして
九份 観光マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。