山線 三義 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

企画構成/朱佳雯 文/西野百合子 写真/宋育玫

三義

 

三義駅 客家の里で木彫芸術と日本時代の古跡を尋ねて

台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」、台中線の通称は「山線」という。台北から特急と普通車を乗り継いで二時間ほど。三義駅は、苗栗県内を通過する山線の最後の駅。自然豊かな山間部の客家の里は、住民の半数ほどが木彫産業に従事し、芸術性の高い精緻な木彫が、国内外の注目を集めている。

台湾鉄道三義駅下車後タクシーで勝興駅・龍騰断橋に到達。

 

 

三義  みどころ

勝興駅

勝興駅は、西部縦断鉄道最高点の標高海抜402.326メートルに位置する旧山線の駅で、苗栗県県定古跡。風情のある木造の駅舎は日本統治時代の明治三十九年(1906年)の建設。「虎牙式」と呼ばれる建築様式は魔よけの力があるとされ、そのためか二度の大地震でも被害を免れている。新線の開通に伴い旧線は廃線となったが駅は保存され、現在は観光用に開放されている。

勝興駅

苗栗県三義郷勝興村14鄰勝興89号
三義駅より車で10分。

 

木造駅舎

駅舎では鉄道関連のご当地グッズが売られていたり、線路に下りることもでき、大人も童心に戻って楽しめる。駅舎前のマスコットは記念撮影の人気者。駅のホームから「開天隧道(開天トンネル)」まで線路上を散策したり、日本時代の遺物を見学するのも興味深いだろう。

駅舎前のマスコット

駅舎前のマスコット

売店には鉄道グッズやおみやげがならぶ

売店には鉄道グッズやおみやげがならぶ

線路を歩いてみよう!

線路を歩いてみよう!

開天隧道(開天トンネル)

「開天」の字が読める

開天隧道(開天トンネル)

遠くに光る出口

 

勝興老街

駅のそばの老街にはレトロな客家料理店や土産物屋が並び賑わっている。老街にはレトロ調に趣向を凝らした装いの店も多く、雰囲気がある。

勝興老街

勝興老街
勝興老街

 

龍騰断橋

日本統治時代の1905年に建設された鉄橋・龍渓橋は、1935年の関刀大地震により橋脚を残し崩壊した。その後修復されることはなく、西側に新しい鉄橋が設置されたが、赤レンガの橋脚はそのまま保存された。元の完全な姿を見ることはできなくなったが、途切れた橋の橋脚が立ち並ぶ風景の特別な美しさにより景勝地となった。1999年の921大地震の際にはさらに一部の橋脚も崩壊した。龍騰断橋は歴史的遺産であるだけでなく、二度の大震災の記憶を今に伝える証人でもある。道路わきの公園として整備されているのでアクセス良好。見学もしやすい。

龍騰断橋

勝興駅より車で10分。

 

三義水美街

三義水美街は木彫老街とも呼ばれ、街道沿いに500メートルに渡って200店以上もの彫刻店が軒を連ねている三義の木彫芸術産業の中心的スポット。のんびり歩きながら、仏像や家具、現代的な芸術作品まで、様々な木彫作品を鑑賞できる。お土産に、手頃な小さい作品も人気。伝統的な客家料理を提供する店もあるので、ぜひ味わってみたい。

三義水美街

三義水美街

三義水美街

勝興駅より車で約6分、または徒歩約25分。

 

 

三義  グルメ

川味仙客家菜館

創業29年の客家料理店。今回の料理は、客家粄條、九層塔蛋(台湾バジルの卵焼き)、金針排骨湯(ワスレグサのスープ)、青菜。青菜は、過猫(クワレシダ)を酸味のある漬物と炒めたもの。灰汁はなく、独特の粘りがあり、美味。

川味先客家菜館
川味先客家菜館

川味先客家菜館

苗栗県三義郷水美街241号
平日11:00-14:00、17:00-20:00 休日11:00-20:00

 

世奇餅店

三義の名物を模した菓子が人気の世奇餅店。桐花餅の中身は鮮やかな緑色のパンダンリーフ餡(香蘭豆沙)と黄色のミルク餡の二重奏。龍騰断橋餅は優しいサツマイモ餡。木彫餅など変わり種もあり、選ぶのも楽しい。

桐花餅

桐花餅

龍騰断橋餅

龍騰断橋餅

世奇餅店

ばら売りで買えて便利

苗栗県三義郷水美街156号
9:00-19:00
 www.shi-chi.com.tw/

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

山線  泰安・后里・豊原・台中

山線

台中線の通称は「山線」といい、区間内にはそれぞれ異なる魅力の見どころが多い鉄道ファンに人気の区間。台中市内の泰安駅(旧山線泰安旧駅)・后里駅・豊原駅・台中駅へ途中下車の旅に出かけてみよう。

 

 

三義  途中下車の旅  マップ

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。