台南 西海岸の旅 ~塩作りの里を訪ねて~
企画構成・文/楊善文 写真/張家馨
台湾の古都と言われる台南。美食や史跡の探訪に飽いたら、西部の海岸線に足をのばしてみよう。一般に「西浜」と呼ばれるこの地区は、河口に豊かな生態を育む潟湖が広がり、三百年を超える塩作りの歴史がある。地場の食材をいただきつつ、当地の人々が紡いできた物語に耳を傾けてみたい。
台湾好行バス「台江線」で七股塩山・台湾塩博物館などのスポットへ。台湾好行バス台江線: http://jp.taiwantrip.com.tw/line/13?x=3&y=2
目次
おすすめコース
一日目:
老塘湖芸術村(1.5hr) 七股塩山(2hr) 井仔脚瓦盤塩田(1.5hr) 北門潟湖(0.5hr) Vanaheim愛荘園
二日目:
Vanaheim愛荘園生態ツアー(2hr) 地利小食+農業体験(3hr) 馬沙溝浜海遊憩区(1.5hr)
寄り道スポット
1. 北門嶼軽食風味餐庁
素朴な木造建築と一面のガラス窓が心地よい環境を作り出しており、塩田の風景を楽しみながら午後のひとときを過ごしたい。北門地区の散策プランについても気軽に相談してみよう。
台南市北門区永隆里北門3-5号+886-6-786-0303
2. 万味珍海産
将軍区の有名な海鮮レストラン。カニの甘みが余すところなく味わえるカニ粥、小骨の心配がないサバヒー(ミルクフィッシュ)の蒸し物、獲れたてのカキで作るカキ料理がおすすめだ。
台南市将軍区長沙里126号+886-6-793-1452
3. 「彼緹娃」観光菓子工場
一つの家族が力を合わせて創業した観光菓子工場。アートなケーキ作りや慶事に配るギフトセットがテーマである。見学者は菓子作りの実際を学びながらケーキのデコレーションにチャレンジできる。看板の「マンゴーミルクケーキ」は台南お土産コンクールで優勝した逸品だ。
台南市佳里区民安里同安寮1-1号+886-6-723-6328
9:00-17:00
4. 七股ビジターセンター
この夏2017年にオープンしたばかり。そのおしゃれな外観と広々としたスペースが、撮影スポットとしてSNSなどで注目を集めている。
台南市七股区塩埕里52号
一日目 台南の原風景と塩田の歴史
台南市北西部にある学甲区は、サバヒーの養殖で知られる素朴な地域だが、ここに「老塘湖芸術村」が誕生している。村内に一歩入ると、俗世と隔絶された現代の桃源郷を思わせる。
芸術村は「指画」の大家、匡進福が設立した。「指画」とは、指で描く中国伝統の画法である。幼い頃から武侠映画が好きだった匡氏は、中国古代の町に憧れ、その台湾版を作ろうと思い立った。二十年をかけて台湾全島から古民家の廃材を集め、養殖プールを池に作り変えながら、少しずつレトロな建物を建てていった。いままだ三割の完成というが、すでに古色蒼然とした古代の町に入り込んだかのような雰囲気に包まれている。
「老塘湖」から台南市道176号線を進むと七股に至る。ここには清代に設置された「七股塩場」が残る。1980年代に職人の高齢化、コスト増などにより生産を停止したが、塩業文化とその歴史を残そうと「台湾塩博物館」が設立されている。
今ではすっかり観光名所となった七股塩場。ここでもっとも目を惹くのは、六階建てほどの高さに達する塩の山。積み上げられた塩の重さは四トン近くに達し、長年放置されていたため表面が固まって、砂漠に屹立する巨岩のように見える。設置された階段を登り塩山の頂きに立てば、周囲の風景を一望できる。園内では塩干し、塩起こし、水車踏みといった塩作りの作業が体験できる。
さらに台湾の製塩業に触れたいときは、三百年の歴史がある北門区の「井仔脚瓦盤塩田」へ足を運ぼう。北門ビジターセンターで自転車をレンタルし、南15線に沿って自転車道を井仔脚、北門潟湖まで走る。夕暮時には、塩田に夕霞が照り映え、息をのむほどに美しい。
老塘湖芸術村
台南市学甲区豊和里美豊49-26号
+886-6-783-3800
8:00-18:00
NT$80(旧暦春節NT$100)
七股塩山
台南市七股区塩埕里66号
+886-6-780-0511
3月-10月9:00-18:00、11月-2月8:30-17:30
NT$50、体験料金は公式HP参照
cigu.tybio.com.tw
井仔脚瓦盤塩田
台南市北門区井仔脚興安宮脇
+886-6-786-1629
自転車レンタル一回NT$100(銭来也サイクル)
8:30-12:00、13:00-17:30
二日目 マングローブで湿地ツアー
北門潟湖にも近い「Vanaheim愛荘園」は西浜の滞在先にお勧めの立地だ。広々とした敷地には六キロに及ぶビーチと枯木がたつ池を擁し、散策用の木道が設置されている。シオマネキ、トビハゼや水鳥など潟湖(せきこ=ラグーン)ならでは動植物を観察することができる。
木道は500メートルと700メートルの二本。モクマオウが混じる緑のトンネルを抜け、海風を感じながら、枯れ木と池が作るラグーンならではの景観を楽しむことができる。渓流の南側にあるマングローブでは、小型の筏で湿地ツアーに出ることができる。夜はモンゴルのパオのような白いテントに宿泊。天窓から星空を見つめ、ロマンチックな一夜を過ごそう。
旅の締めくくりは、北門と七股の中間に位置する将軍区へ。清代の名将軍「施琅」が、その武功により皇帝から下賜されたことに由来する土地だ。将軍漁港では新鮮なシーフードを満喫し、競りの様子を見学できる。将軍街の農会(農協)も訪ねてみよう。Uターン組の蔡仕霖と徐麗敏がリノベーションした「農会サービスセンター」では、地元の農産物や海産物がゲットできるほか、併設のレストラン「地利小食」では旬の野菜を使った郷土料理を提供している。あわせて将軍区が誇る無農薬農業も体験してみよう。
きめの細かい砂浜と夕景が自慢の「馬沙溝浜海遊憩区」も当地の人気スポット。毎年夏に開催される「一見双鵰」芸術祭には、多くのアーティストが生き生きとした砂の彫刻を出展する。近くの七股塩山の塩の彫刻とあわせて鑑賞したい。
Vanaheim愛荘園
台南市北門区双春73-11号
+886-6-786-5355
9:00-18:00 (宿泊を除く)
大人NT$150、子供NT$100、宿泊平日NT$2,280より、休日NT$2,660より(入場料、朝食、夜間ガイド、遊覧船込み)
www.facebook.com/vanaheim.love.manor
地利小食
台南市将軍区将富里将富48号
+886-6-794-5571
10:00-21:00 (定休日不定、要予約)
www.facebook.com/jiangjyundelicious
馬沙溝浜海遊憩区
台南市将軍区平沙里140号
+886-6-793-1155
一足のばして行きたい観光スポット
古くて新しい、古都台南を歩いてみよう!! カフェ・ホテル・デパートなど、リノベーション建築めぐりもたのしい!
台南 西海岸の旅 マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。