鶯歌・中壢 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

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鶯歌・中壢 台北駅から半時間の小さな旅

企画構成・文/朱佳雯 写真/汪正翔

鶯歌・中壢

台湾ならではの風情をじっくり感じるには各駅停車の旅が最適。車窓から海と山、田園と集落が織りなす風景が流れ、車内にはほのぼのとしたドラマが展開する。時間に縛られず気ままに途中下車すれば、そこには思いがけない出会いが待っている。

台湾の鉄道には百十年以上の歴史があるが、苦難の歴史を物語るように本島を一周する鉄路の輪が完結したのはごく最近のことである。台湾を周回する鉄路は西部幹線・東部幹線・北回線・南回線に分かれ、その他数本の支線からなる。列車の等級は普通車・復興号・莒光号・自強号に分かれるが、途中下車の旅には普通車・区間車あるいは復興号が便利で、料金もお手頃。

台湾鉄道
www.railway.gov.tw/tw

 

 

鶯歌駅

鶯歌(インガー)は新北市の西端に位置し、三峡区あるいは桃園市と隣り合っている。台北駅から普通車で半時間ほど。清代から窯業が勃興し、日本時代を通じて建材などに範囲を広げるとともに、台湾の重要な輸出産業に成長を遂げた。近年は大量生産から工芸品・芸術品の制作へとシフトし、陶磁器の里として、多くのツーリストが訪れるようになった。

鶯歌駅

 

鶯歌老街

「老街」と呼ばれる尖山埔路辺りは大勢の作家が工房を開いている。従来の生活陶器のほかに、現代的な新感覚の作品が多数を占めるようになり、街の装いも大きく変わった。週末には、大道芸人のパフォーマンスも登場して、まるで繁華街のような賑わいになる。

鶯歌老街

赤レンガの街屋建築がのこる鶯歌老街

老街にある「厚道飲食店」の人気メニューは鶏腿飯(鶏モモの唐揚げご飯)と排骨飯(豚の骨付き肉ご飯)。店内は1960-1970年代の台湾モードいっぱい。レトロに凝る店長が各地から集めた装飾品が星霜を感じさせる。

排骨飯

排骨飯

厚道飲食店
新北市鶯歌区育英街85号
+886-2-26777617
11:00-19:30、火曜定休

 

三鶯陶花源と鶯歌陶磁器博物館

新北市は文化政策の一環として、大漢渓の傍らに敷地32ヘクタールの三鶯芸術村を設け、「児童芸術教育」をテーマとした工房と展示スペースを立ち上げている。三鶯陶花源そばの三鶯陶花源は、広々とした緑地にサイクリング道・セラミックのオブジェ・水上ステージなどが展開する憩いの空間。

三鶯陶花源

広々して気持ちのいい三鶯陶花源

三鶯陶花源

大きな食器は巨人の落し物?

三鶯桃花源から足を進めると鶯歌博物館に至る。台湾では初の陶磁器をテーマにした博物館だ。陶芸の仕組みや歴史が学べるほか、多彩な作品が展示されている。陶芸教室が開催していれば、ぜひ粘土いじりに挑戦してみたい。博物館の後方にある陶瓷芸術公園は、大型のオブジェが多数たちならぶ愉快なスペースだ。

鶯歌陶瓷博物館

鶯歌陶瓷博物館

新北市立鶯歌陶瓷博物館
新北市鶯歌区文化路200号
+886-2-86772727
平日9:30-17:00 、休日9:30-18:00(最終入場は閉館30分前)
NT$80
www.ceramics.ntpc.gov.tw

三鶯陶花源
新北市鶯歌区館前路300号
+886-2-86782277

 

 

中壢駅

鶯歌駅から西部幹線をさらに十数分南下すると、桃園市の中壢駅に着く。ここは台湾でもとくに民族地図が多様な地区で、福建系の閩南(ミンナン)人や客家(ハッカ)人のほか、大戦後、雲南省・浙江省・金門・馬祖などから渡来した住民が「眷村」と呼ばれる集落を築いたことで知られる。また台湾各地から先住民の移住がもっとも多い都市であるうえ、近年は東南アジア諸国から嫁いできた「新住民」も少なくない。

中壢駅

 

馬祖新村

中壢駅から、車で約10分進むと、龍岡地区にある馬祖新村に着く。当村は1957年、当時馬祖列島に駐屯していた陸軍第84師団の家族が住むために建造された眷村の一つ。現在は、特殊な眷村文化を残すためにリニューアルされ、不定期に展示会やバザールが開催されている。壁に残された往時の標語、コンクリート造りの屋根の低い家屋が、過ぎ去りし日の眷村の様子を語りかけてくる。

馬祖新村

馬祖新村

古いブロック塀

陸軍第一軍團分會

「陸軍第一軍團分會」の字が確認できる

 

馬祖新村
桃園市中壢区馬祖新村14-18号(龍岡路3段281巷より龍吉二街へ50メートル進む)
9:00-17:00、月曜休館
中壢駅からタクシーで約10分。または中壢駅前からの桃園客運112南バスで半時間、馬祖新村で下車。
入場無料
www.facebook.com/ArtMatsuVillage

 

忠貞市場

同様に龍岡地区にある忠貞市場も異国情緒が漂う。売られている食材や料理に雲南やタイ風のものが目に付くはずだ。大戦後の混乱からタイやミャンマー・ラオスの北部に国民党軍が残されるという悲劇が生まれた。1953年以降、これらの部隊は次第に台湾への帰還が許されたが、伴われた家族にあてがわれたのが桃園龍岡の忠貞新村だった。長きに渡りかの地で暮らしてきた彼らの生活習慣や宗教・飲食文化が受け継がれており、忠貞市場ではいまも、雲南名物を供する食堂が多い。なかでも、店の内外を多くの中華民国国旗が覆いつくす「国旗屋」は特に有名だ。雲南料理の「小雲滇」の名物は「大薄片(豚の頭の皮)」や「豌豆粉(エンドウ豆のゼリー)」などの和え物。そして「招牌紹子米線(ライスヌードル)」の紹子麺は、中国西北地方の麺料理で、太めと細めの麺が選べ、淡い酸味が食欲をそそる。

中華民国の国旗が覆いつくす「国旗屋」

中華民国の国旗がはためく雲南食堂「国旗屋」

国旗屋

店主張氏の父親も残留軍の兵士だった

国旗屋

国旗屋の国旗は父親の遺品に由来するという

小雲滇

左から時計回り:豌豆粉、大薄片、招牌紹子米線(小雲滇)

国旗屋
桃園市中壢区前龍街73巷19-1号
平日5:00-15:00、休日5:00-18:00

小雲滇
桃園市中壢区前龍街35号(忠貞市場内)
+886-3-4387492
6:00-21:00

 

中壢紅楼+House café

中壢紅楼は1910年に建てられた二階建ての洋館。現在は欧風レストラン(House Café)に生まれ変わっているが、展示スペースを併せ持つ史跡として知られる。紅楼は洋館ながら中国伝統の建築様式を取り入れた設計が特色。黒を基調にコンクリートと原木を組み合わせたシンプルな設計が食事のムードを引き立ててくれるだろう。

中壢紅楼+House café

中壢紅楼+House café
中壢紅楼+House café

House café since 1910
桃園市中壢区正大街32号
+886-3-2811910
11:30-22:00

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

湖口 ・ 新竹

新竹 湖口

桃園県の隣、新竹県も、台北からアクセスしやすく、日帰り旅行にぴったりのエリア。客家文化色濃い湖口老街や廟口の名物焼きビーフンなど、見どころもいっぱい!

 

 

鶯歌・中壢 途中下車の旅 マップ

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