斉東街 ・ 済南路 ~日本時代の宿舎街を歩く~
企画構成/高田雅子 文/荘宝琳・高田雅子 写真/陳正国
斉東街・済南路
日本時代の宿舎街を歩く
台北市中正区は、日本時代に政治の拠点が置かれていた地区にあたる。官庁や教育機関の周辺には官僚や教員が暮らす宿舎も建てられていた。MRT忠孝新生駅ちかくの金山南路と杭州南路にはさまれた斉東街・済南路も日本家屋の宿舎が多く残る一角。日本情緒が漂う街角へ、文化施設にリノベーションされた古民家と美味しいものを訪ねるプチ散歩にでかけてみよう。
MRT忠孝新生駅から徒歩で各スポットへ
目次
日本家屋宿舎めぐり
台湾文学基地
日本時代、現在の斉東街周辺は「幸町」と呼ばれ、1920年代から1940年代に建てられた台湾総督府の様ざまな階級に属する職員の宿舎が並んでいた。「台湾文学基地」の建物も、この時代の日本家屋宿舎だ。済南路二段と斉東街にはさまれた敷地にたつ宿舎群は、台北市内で最も規模が大きく完全な形を残している。2014年から詩文を紹介する施設として利用されていたが、2020年に台湾の文学を紹介する施設にリニューアルされた。
館内は、台湾の文学を紹介する展覧エリア、作家が常駐して執筆を行う創作エリア、イベントエリア、カフェエリアに分かれており、多角的な視点で台湾の文学にふれられるようになっている。定期的に交代する常駐作家と読者が交流できる場としても期待されている。緑に囲まれた日本家屋の前に立つと、まるで昔の日本にタイムスリップしたような雰囲気が感じられる。現在は試営業を実施しており、正式オープンは12月末を予定している。
台北市中正区済南路二段27号02-2327-9657
10:00-18:00、月曜休館
入館無料
www.facebook.com/TaiwanLiteratureBase/
台北琴道館
「古琴」は、中国でももっとも早期の「撥弦楽器(はつげんがっき)」。古来、文人に必要な嗜みといわれた「琴・棋・書・画」の筆頭にあげられており、その歴史と意義に照らし、2003年にはユネスコ「口承及び無形の文化遺産」に認定されている。
古琴文化の博物館でもある「台北琴道館」では、教室や演奏会を通じ、アジア各地のアーティストたちとの交流を進めている。台北琴道館は展覧スペースであるとともに、国際的な音楽交流センターでもあり、古琴ファンには価値あるスポットだ。事前に予約すれば、古琴体験教室にも参加できる。
台北市中正区斉東街53巷11号02-2391-7536
10:00-17:00、月曜・火曜・祝日休館
入館無料
www.taipeiqinhall.com/about.html
※館内参観時は要靴下着用
台北書畫院
台北琴道館と同様、1930年建設の宿舍群に属し、敷地全体に日本時代の住宅地の面影がのこる台北市市定歴史建築。2018年3月より「中華古琴学会」の手で、「中華伝統美学展」が開催され、書画・扇面画・陶板画・彫塑のほか現代アート、デジタル映像が展示・紹介されている。併設の「書道講座」では、中国書道の真髄を学ぶことができる。書画に興味があれば、ぜひ立ち寄ってみたい。
台北市中正区金山南路一段30巷12号02-2391-6737
10:00-18:00(正午12:00-13:30休憩、最終入場17:00)、月曜・火曜・祝日休館
入館無料
www.taipeiqinhall.com/visitorinformation-taipei-shufa-art-center.html
※館内参観時は要靴下着用
美味しいものめぐり
巧之味手工水餃 済南店
開店前から行列のできる餃子専門店。キャベツ、ニラ、貝柱の三種の素材を選べ、いずれも皮はぷりぷり、餡はしっとりジューシーと評判。
とくに干し貝柱を使った「干貝水餃」は必食メニューで、貝柱のうまみが感じられる餡が絶品。海藻を練り込んだ緑の皮も色鮮やかだ。酸味と辛味がぴりっときいた酸辣湯や小皿料理と組み合わせて注文したい。
台北市中正区済南路二段6号02-2321-4693
11:00-21:00、日曜定休
金華香港焼臘快餐店
古くから続く斉東街の商店街にひっそり佇む隠れ家的食堂。1品100元前後で、ボリュームもあることから、地元の会社員御用達の店になっている。とくにランチタイムは満席を覚悟。人気メニューは豚の叉焼、鶏肉と鴨肉のグリルをその他のおかずと盛り合わせた「三宝飯」と広州風焼きそば「広州炒麺」。広州炒麺は具材をふんだんに使い栄養もたっぷりだ。
02-2393-9479
11:50–15:00、17:00–20:30、日曜定休
Caviar café+ brunch 魚子醬咖啡
シンプルでフレッシュなインテリアのカフェ。店名は看板犬の柴犬「魚子醤(キャビア)」に由来する。キャビアを目当てに訪れる人も多く、ペットファンにも人気のスポットだ。自家製の各種サラダは自然な風味たっぷり。バタースクランブルエッグ、ふわふわのジャムトーストとドリンクをセットで頼むことができる。窓にはのどかな街の風景が広がり、心地よいひと時が過ごせそうだ。
台北市中正区斉東街68号02-2322-1856
11:00-19:00、月曜定休
bit.ly/2Egwgg4
馥樺川菜
済南路二段わきの静かな路地に佇む老舗四川料理店。1983年の開店から40年近くに渡り近隣住民や会社員に愛されてきた隠れた名店だ。
初めての訪問なら、まずは看板メニューの「水煮牛肉」を注文しよう。深紅のラー油と大ぶりの唐辛子が表面を覆い、一見激辛のようだが食べてみると程よい辛さで、牛肉のやわらかさに驚く。牛肉の下にはモヤシ、キュウリ、セロリなどの野菜も隠れている。ご飯のお供には「麻婆豆腐」を。花椒と唐辛子のピリッとした辛さの奥に甘みも感じられ、白いご飯がどんどんなくなってしまう絶品だ。
さっぱりメニューの一番人気は、細かく刻んだエビとクワイなどの野菜を炒め、油で揚げて砕いたワンタンの皮を添えてレタスで包んでいただく「生菜蝦鬆」。インゲン豆と豚ひき肉をニンニクで香ばしく炒めた「乾煸四季豆」も食事に彩りを添えてくれる。
箸休めやデザートにおすすめなのが、優しい甘さの揚げパン「銀絲巻」。外側はサクッと香ばしく、中を割るとパン生地が麺状になっており、練乳をつけていただくとさらに美味。
台北市中正区銅山街11巷8号(済南路二段8巷の突き当り)02-2327-9896
11:30–14:30、17:30–21:00、火曜定休
サービス料:10%/予約:可
www.facebook.com/fuhuataipei
こちらもおすすめ
すぐお隣の永康街・青田街・龍泉街へも、足をのばしてみよう!
台北 潮州街 ~お散歩マップ~
斉東街 ・ 済南路 散策マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。