台湾ランタンフェスティバル in 台南
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/溫宏嘉・張晉瑞・視野創異行銷
台湾ランタンフェスティバル in 台南
2024年は、オランダ人が台南に上陸し、台湾最古の城砦「ゼーランディア城」を建造した1624年から400年の節目の年。台南市はこの特別な年に第36回台湾ランタンフェスティバルの会場となる。
メインテーマは「龍耀臺南 Glorious Tainan」。メイン会場は2か所で、台湾高速鉄道台南駅前の「高鉄燈区」は「栄耀臺南」をテーマにグリーンエネルギー、国際交流、伝統文化、歴史、台湾原住民族、客家、新住民などの要素を結合し、多元的・国際的な台南を表現。安平港周辺の「安平燈区」は「台南400年」をテーマに、オランダ、鄭氏政権、清、日本の統治を経てきた台南の歴史を振り返る。
また同時期には、月津港燈節、龍崎光節-空山祭、普済燈会、成功燈会、神農街燈会など、台南市内の各地でもランタンフェスティバルが開催される。台南の街を歩き、煌めくランタンの美しさとともに、台南の歴史と文化を体感しよう。
2023台湾ランタンフェスティバル
2024taiwanlanternfestival.org
高鉄燈区
会場:高速鉄道台南駅南側広場
会期:2024年2月24日~3月10日
交通:高速鉄道台南駅・台湾鉄道沙崙駅下車すぐ
安平燈区
会場:安平港・安平運河(安億橋~望月橋間)
会期:2024年2月3日~3月10日(2月9日の旧暦大晦日は休止)
交通:台湾鉄道台南駅からバス・タクシー
台南400年
台南市では「台南400年」を記念し、2023年から2024年末にかけて通常の年間イベントに加え、様々な関連イベントを開催する。2024年は伝統とクリエイティブな進化が共存する台南に注目しよう!
www.tainan-400.tw
目次
安平燈区
台湾海峡に面した安平は、1624年にオランダ人が上陸し、最初に拠点を置いた台湾最古の街。今回のランタンフェスティバルでは、安平港と安平運河周辺がメイン会場のひとつ「安平燈区」となり、ランタンの展示のほか、花火の打ち上げ、街頭芸人のパフォーマンスなどのイベントが登場する。
台湾鉄道台南駅からバス・タクシー・公共レンタサイクルで各スポットへ台南市バス大台南公車(日本語あり)
2384.tainan.gov.tw/newtnbusweb
台南市公共レンタサイクルYoubike
www.youbike.com.tw/region/tainan
必見スポット
大魚的祝福 Greetings from the Whale
安平漁人碼頭に隣接する港濱歴史公園にある大型インスタレーション。全長23m、高さ8mの巨大なクジラの口は展望台になっており、安平港を一望できる。腹部にはめ込まれた台湾島形のステンドグラスにも注目!
台南市安平區安億路(港濱歴史公園内)
安平漁人碼頭
安平運河入口に位置する安平港の埠頭。港を囲むように遊歩道が設置されており、漁船やヨットが並ぶ海の風景を眺めながらの散策や、夕陽観賞が楽しめる。
台南市安平區安億路
安平定情碼頭徳陽艦園区
「徳陽艦」の前身は1945年に進水した米国の駆逐艦「USS Sarsfield DD-837」。現在は台湾唯一の軍艦博物館として一般公開されており、実際に乗艦して艦長室や操舵室、主砲、甲板などを見学できる。
台南市安平區安億路115號4月-10月9:00-19:00、11月-3月9:00-18:00
NT$100
www.teyang925.com.tw
台湾鉄道台南駅(北站)から市バス19で「德陽艦」下車
億載金城
徳陽艦園区に隣接する「億載金城」は、清代の1874年に漢人が築いた洋式砲台。周囲を水堀に囲まれた四角形の要塞で、四隅に三角形の突端部「稜堡」を持つ稜堡式城郭だ。復元されたアームストロング砲が鎮座する城壁に立つと、往時の空気が色濃く感じられるだろう。
台南市安平區光州路3號8:30-17:30
NT$70
台湾鉄道台南駅(北站)から市バス19で「億載金城」下車
漁光島
時間があれば、漁光大橋で安平と結ばれた離島「漁光島」にも足をのばしてみよう。半月型に弧を描くビーチ「月亮湾」やビーチ後方の森林など、静かな離島の風景のなかで、スローな時間を満喫できるスポットだ。
台南市安平區漁光路台湾鉄道台南駅(北站)から市バス2(延駛三鯤鯓)で「濱海站」下車
安平古堡
オランダ人が1624年に建造を始めた台湾最古の城塞「ゼーランディア城」だった建物。園内には当時オランダ人が建てた70mあまりの城壁のほか、大砲や日本時代の建物も残っている。敷地内の1882年建設の「安平税務司公館」跡を利用した「熱蘭遮城博物館」では安平の歴史を紹介している。
台南市安平區國勝路82號8:30-17:30
NT$70
安平樹屋・英商徳記洋行
1867年に創立されたイギリス商社「徳記洋行」は、砂糖、茶葉、樟脳などの交易を行い、安平の五大貿易商に数えられた。商館建物は、白亜の壁とアーチが並ぶ回廊が印象的だ。隣接する「安平樹屋」と呼ばれる倉庫跡は、廃墟がカジュマルの樹に覆われた独特な景観で人気を集めている。
台南市安平區古堡街108號わき8:30-17:30
NT$70
安平老街
オランダ人が300年あまり前に最初に拓いた台湾最古の街道。狭い道の両側に老舗の商店や古民家が立ち並んでおり、路地散策が楽しい場所だ。蝦餅(エビせんべい)や蝦捲(エビのすり身揚げ)などが有名。
台南市安平區延平街
ゆったりカフェ
河岸咖啡
安平老街から安平漁人碼頭に向かって歩いていくと、安億橋のたもとに赤レンガの建物が見えてくる。この緑に囲まれた美しい和洋折衷の平屋は1926年(大正15年)に開設された安平税関だった建物。
現在は資料館兼カフェとして一般公開されており、事務所や居室に展示された当時の文物、古い写真、骨とう品などを見学できるほか、台南市の古跡限定グッズも購入できる。静かで趣のある空間で、ゆったりティータイムが楽しめる穴場スポットだ。
台南市安平區安平路97-15號10:30-18:00、月曜定休
参観無料、カフェ利用は別料金
NINAO Gelato 蜷尾家 経典冰淇淋
世界から注目を集めるソフトクリーム店「蜷尾家」が開いたイタリアンジェラート専門店。コンクリート打ち放しの店舗は、館内のいたるところに現代アートが飾られ、小さな美術館のような雰囲気が漂う。
毎日数種類用意するジェラートは、台湾産のフルーツや茶葉など、食材そのものの風味を生かした爽やかな甘さとなめらかなくちどけが楽しめる。
台南市安平區安北路720號11:00-18:00
ミニマムチャージ1人NT$50
ご当地グルメ&お土産
王氏魚皮店
ミシュランガイドのビブグルマンに推薦された超人気店。毎日早朝に台南七股から直送される新鮮な虱目魚(サバヒー)を使った料理が味わえる。おすすめは、開いたサバヒーの表面をカリッと焼き上げた「煎魚肚」、魚肉と牡蠣入りの海鮮粥「鹹粥」、身をしっかり留めた魚皮のスープ「魚皮湯」など。腸を揚げた「煎魚腸」など珍しい部位も味わえる。
台南市安平區安平路612號4:00-14:00、土曜・日曜4:00-15:00
阿財牛肉湯
牛肉スープ「牛肉湯」は台南で必ず食べたいご当地グルメ。店頭で切り分けたばかりの新鮮な生肉に熱々のスープを注ぐので、牛肉はとても柔らか。好みで玉ネギやショウガを加えた醤油だれを牛肉につけて食べても美味。
台南市安平區古堡街5號12:00-21:00
吉利號烏魚子
1935年創業の老舗からすみ店。野生のボラの卵を厳選し、通常の倍以上の時間をかけて「日陰干し」するからすみは、厚みがあり、驚くほどしっとりとした食感と深いコクのある味わいに仕上がっている。
台南市安平區安平路500巷12號10:00-20:00
www.karasumi.tw/?Lang=JP (日本語)
得意蝦餅
サクッと軽く揚がった蝦餅(エビせんべい)はエビの味と香りが濃厚で、食べだしたら止まらない美味しさ。より軽い食感の非油炸(ノンフライ)も選べる。
台南市安平區安平路123號10:00-19:00、土曜・日曜10:00-20:00
台南市中心
赤崁楼
1653年にオランダ人が建設した「プロヴィンティア城」跡。300年あまりの間に幾度も改築され、現在は中華風の外観になっているが、厚い壁やアーチの跡などに建設当時の面影が残っている。
台南市中西區民族路二段212號8:30-21:30(最終入場21:00)
:NT$70
台南孔子廟
建設は鄭氏政権時代の1665年。台湾最古の孔子廟で、清代に学舎として使用されたことから「全台首学(台湾の最高学府)」とも呼ばれている。赤レンガ色の壁に囲まれた敷地に15棟の建築物が現存している。
台南市中西區南門路2號屋外園区8:30-17:30、大成門内9:00-17:00
屋外入園無料、大成門内NT$40
国立台湾文学館
1916年(大正5年)に落成した旧台南州庁は、建物中央に背の高いマンサード屋根、玄関に円柱を配した華麗な西洋風建築。日本時代に官公庁を数多く設計した建築家・森山松之助氏の代表作のひとつに数えられる。
台南市中西區湯德章大道1號9:00-18:00、旧暦大晦日と元日・月曜休館(祝日の場合は開館)
参観無料
台南市美術館1館
1931年(昭和6年)に落成したアール・デコ様式の特徴を持つ建物で、前身は台南州技師の梅澤捨次郎氏が設計した旧台南市警察署。本館裏に現代風の別館が増築されており、新旧の建築の融合とアートが同時に楽しめる。
台南市中西區南門路37號10:00-18:00、土曜10:00-21:00、旧暦元日・月曜休館(祝日の場合は開館)
NT$200(1館・2館共通)
台南市美術館2館
日本人建築家・坂茂氏が設計を担当した白亜の美術館。五角形が重なる建築デザインは台南市の樹「鳳凰木」の花がモチーフだ。展示は台南や台湾の芸術家の作品が中心で、カフェやミュージアムショップも充実している。
台南市中西區忠義路二段1號10:00-18:00、土曜10:00-21:00、旧暦元日・月曜休館(祝日の場合は開館)
NT$200(1館・2館共通)
台南林百貨
1932年に日本人の林方一氏が開いた、台湾で最も早期にエレベーターを設置した百貨店のひとつ。昭和レトロなエレベーターや屋上の神社跡など、昭和初期の面影が残る店内で、センスの良い台湾の商品に出逢える。
台南市中西區忠義路二段63號11:00-21:00
藍晒図文創園区
旧司法宿舎をリノベーションした文化施設。西門路に面した藍色の壁に白いラインで3Dアートが描かれた廃墟が目印だ。敷地内の宿舎群にはMIT(メイド・イン・台湾)のクリエイターズグッズ・ショップやカフェなどが入店している。
台南市南區西門路一段689巷12號屋外園区12:00-21:00、店舗は各店ごとに異なる
入園無料
神農街
清代に五條港と呼ばれた地区の中央に位置しており、当時は台南の商業の中心として賑わっていた。現在は古い建物が並ぶ路地に個性的なショップやカフェが集まるアートスポットに変身を遂げている。
台南市南區西門路一段689巷12號
府城普済燈会
台南市の中心部に位置する寺院「普済殿」で2013年から開催されているランタンフェスティバル。普済殿の門前から国華街一帯に市民が思い思いの絵を描いた丸いランタンが無数に掲げられ、素朴な路地を華やいだ雰囲気に染める。
レトロ甘味店
明治町冰淇淋
2024年の「台南400年」を記念し、1919年(大正8年)建設の公務員用宿舎「赤崁東街宿舍」で、台中の有名アイス店「宮原眼科」が2023年8月22日から2024年9月25日までの400日限定で展開するポップアップストア。
予約制の和室サロン「冰淇淋沙龍」では、パフェ・ドリンク・チョコレートサンドバタークッキー・ピーナッツのセットが味わえる。奥の販売コーナーでは、台南の土地にインスパイアされたオリジナルアイスを単品またはパフェ・ドリンク・ピーナッツのセットで販売している。
晴れた日は屋外で日本庭園を眺めながらアイスを食べるのも気持ちがいい。隣接する建物2階「冰杯博物館」のアイスカップのコレクションとギフトショップの台南限定商品も必見だ。
台南市中西區忠義路二段233巷2號10:30-18:30、土曜・日曜・祝日10:30-20:00
和室サロン:ミニマムチャージ1人1セット、席利用60分、サービス料10%、要予約・靴下着用、12歳未満入場不可
テイクアウト:予約不要
facebook.com/meijiscoops
※日本語メニューあり
旭峯號之僾果鮮
日本時代に建設された古民家の風情ある佇まいが「映える」と、SNSで人気に火が付いたフルーツジュース店。注文を受けてから作るフルーツジュースと台南のフレッシュミルクを使ったソフトクリームのどちらも美味しい。
台南市中西區中山路79巷6號9:30-17:30、火曜定休
台湾鉄道台南駅から徒歩・バス・タクシー・公共レンタサイクルで各スポットへ
ひと足のばして
十鼓文創園区
「十鼓文創園区」はアジア初の打楽器をテーマとした国際芸術村。もとは1909年(明治42年)に台湾製糖株式会社が建設した車路墘製糖所だった場所で、7.5haにおよぶ広大な敷地に22棟の倉庫やタンクなどが残されている。
2005年に経営を引き継いだ打楽器パフォーマンスグループ「十鼓撃楽団」は、古びた製糖工場をスチームパンクの世界を思わせるレトロモダンなアート基地に生まれ変わらせた。
2021年には「魔法工廠(魔法工場)」と名付けたファンタジーな魔法学園をイメージした空間が登場。羽の生えた本が飛び交う書棚、巨大なタンク内のカフェなど、絵になるスポットが目白押しだ。
スカイウイング、ジップライン、天空歩道などのアトラクションも充実しており、家族で1日中楽しめる。3つの劇場で披露される打楽器パフォーマンスもぜひ鑑賞したい。
台南市仁德區文華路二段326號10:00-20:20、土曜・日曜9:30-20:20、夜間17:30-20:20
NT$459、夜間17:30以降入園NT$260
tendrum.com.tw
1.台湾鉄道保安駅から徒歩15分
2.台湾鉄道台南駅・台湾高速鉄道台南駅から市バス紅3で「十鼓文創園區」下車
奇美博物館
台湾の企業グループ「台湾奇美集団」の創設者・許文龍氏が建造後、台南市に寄贈した博物館。敷地面積は9.5haにおよび、ヨーロッパの宮殿のような美しい建物に西洋の作品を中心とした、美術品、楽器、兵器など、貴重なコレクションが収蔵されている。
台南市仁德區文華路二段66號9:30-17:30(最終入場16:30)、水曜・旧暦大晦日休館
NT$200
www.chimeimuseum.org
1.台湾鉄道保安駅から徒歩15分
2.台湾鉄道台南駅・台湾高速鉄道台南駅から市バス紅3で「奇美博物館」下車
月津港燈節
台南市は2012年から毎年旧暦1月15日前後に台南市鹽水区の月津港でランタンフェスティバル「月津港燈節」を開催している。「月津港」はかつて大陸の福建やアモイと交易をおこなう商船が必ず立ち寄った港で、清代には台湾四大商港のひとつだった。
当時、港わきの「橋南老街」には多くの商家が立ち並び、街は隆盛を極めた。月津港の北側に鎮座する「護庇宮」は400年あまりに渡り港を見守ってきた街の信仰の中心だ。
ランタンフェスティバルの会期中は、月津港親水公園をはじめ、寺廟や路地を台湾国内外のアーティストが手がけるアート作品やランタンが華やかに彩り、街全体が光の美術館となる。
月津港燈節
会期:2024年1月27日~3月3日(予定)
会場:月津港親水公園と周辺
交通:台湾鉄道新営駅から市バス棕幹線、棕1・2・3・4・6で「護庇宮」下車
facebook.com/yuejinlanternfestival
月津港親水公園
台南市鹽水區橋南街4號
護庇宮
台南市鹽水區水正里中正路140號
橋南老街
台南市鹽水區橋南街
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※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。