台湾 Sweets 伝統を生かし進化中!
企画構成/鍾昀彤 文/鍾昀彤・劉宛昀 写真/宋育玫・視野創異行銷
台湾土産の定番となったパイナップルケーキやヌガーのほか、台湾にはその地方ならではの食材を使った甘菓子がある。今回は、老舗から新進気鋭のショップまで、オリジナリティーを誇る個性派スイーツを一気にご紹介する。意外な出会いが台湾の旅をさらに刺激的にしてくれるかもしれない。
目次
合興壹玖肆柒
店頭の赤い暖簾、古木と赤レンガがクラシカルな雰囲気を醸す菓子の専門店「合興壹玖肆柒(合興一九四七)」。1947年に台北市内の南門市場で「鬆糕(蒸しパン)」を看板に創業した「上海合興糕糰店」がルーツで、三代目の鄭匡佑・任佳倫の夫婦が、創業の地を離れ新規オープンさせた。節句の贈答用に重用されてきた伝統菓子のイメージを刷新し、若い人たちにも愛される新しい米菓子ブランドの構築に挑戦している。
新店舗は台北市大稲埕に位置する迪化街。新旧の歴史と文化が交錯する注目のエリアだ。かつてデザインの仕事に携わっていた経歴を生かし、新たな発想のもとにインテリアやパッケージデザインに力を注ぎ、斬新な中華のイメージを表現した。小ぶりで可愛い商品にこだわっているのも特徴の一つで、伝統文化にモダンアートを注入することによって、台湾の菓子文化に新風を起こしたともいえる。
「鬆糕(ソンガオ)」は中華スイーツの代表格で、一つひとつが白くてみずみずしい。白米を材料とし、蒸籠の中に積み重ねて蒸し上げる。現代風に餡の甘さを控え、すっきりとした味わいに仕上げている。そのほか、モクセイの香りがする「桂花條糕」、甘みと塩味がコラボするパイ「鹹甜酥餅」、休日限定メニューのヨモギ入りおにぎり「艾草米糰」など、それぞれシンプルに素材を活かした菓子がそろう。三代にわたって引き継がれてきた伝統の技法に若い創意が加えられ、中華スイーツの新世界を切り拓いている。
+886-2-2557-8060
11:00-19:00、月曜定休
www.hoshing1947.com.tw
菓實日
学生時代から洋菓子に興味を持ち始めたと曹羽君さんは、台北の有名フランス菓子店で修業を積んだうえで、デザイナーの高韞豊さんと「菓實日」をスタートさせ、パティシエとして独立した。店舗は萬華の住宅街の一角。台北でももっとも古い町は、歴史に育まれた文化が菓子作りへのインスピレーションを与えてくれるという。店舗の正面は、一面のガラス。さんさんと陽光が注ぎ店内を開放的な雰囲気にしている。窓際のカウンターに腰掛ければ、スイーツを味わいながら、街角の風景を眺めることができる。
お店自慢のオリジナルケーキは、フランス菓子らしい精巧な仕上がりのなかに台湾ならではの色彩を取り入れている。「紅亀」は、祭事に使われる「紅亀粿」(米と小豆の餡を使い、亀の甲羅の形に仕上げた伝統菓子)をヒントに生まれたオリジナルケーキ。表面は紅麹を加えたキイチゴのジャム、中の餡はアルコールの香りがほんのりと漂う黒紫米や小豆が材料。砂糖を抑えることで飽きのこない甘さに整えている。ボトムに使った抹茶クッキーも香ばしく、目で味わい、風味も口当たりも楽しめるムースケーキである。
最近お目見えの「パイン花時間」は、二日間焼き上げて花の形にしたドライパイナップルにパインを素材にしたムースを取り合わせ、ボトムのパイ生地には、ジャムがたっぷり入ったパイナップルケーキが使われている。この甘酸っぱさは、トロピカルスイーツならでは。「珍珠半糖去冰」は定番の人気商品。フランス菓子のサントノーレにパールミルクティーの風味を加えたもので、黒糖のシュークリームやアッサム、ホイップクリーム、黒糖カスタード、手作りのタピオカを組み合わせた欧風の菓子である。ムースケーキのほか、壁の棚に並んだカヌレやマドレーヌなども試してみたい。
+886-2-2305-5663
14:00-20:00、月曜定休、予約:不可
www.kajitsu.com.tw
※現在は店舗非公開・通販のみ対応
郭元益的家 House of Kuo
開業は1867年。150年にわたり、伝統の味を守り続けている。婚礼や祭事に使われてきた中国菓子の老舗だが、暮らしの変化にあわせ、最近では経営を多角化をはかり、軽食とスイーツのレストラン「郭元益的家」を開いている。
築80年以上の古民家を改築した店舗は、家庭の温みを残すために、古い窓枠や赤レンガの塀をそのまま利用。古くから使われていた木製の菓子型はインテリアのポイントに。食器からも懐かしい雰囲気が漂う。
おすすめのスイーツ「巧糕仔」は、緑豆やゴマ、ピーナッツなどを使ったらくがん風のペーストをチョコレートでコーティングした中洋折衷。さらに自慢のマカロンは糖分控えめで、天然色素を使ってカラフルに仕上げており、アズキやサツマイモ、ナツメ、緑豆の餡との組み合わせが斬新だ。
台湾伝統の菓子を進化させた創作スイーツといえば、ミルクヌガーを入れたチョコレートらくがん「牛軋黑巧克力」、黒糖ヌガー入りタピオカティーらくがん「珍珠奶軋」などがある。いずれも八角形をしているのは、台湾の慶事の習慣を踏襲したものという。
「迷你冰沙餡餅」は、緑豆とタチナタマメ(白鳳豆)の餡を使った創業当時からの看板商品の一口サイズ版。ジューシーな台南産パイン「金鑽鳳梨」を使ったパイナップルケーキも見逃せない人気の定番商品。店内では、25種類の中から5種類をチョイスできる盛り合わせ「五味俱全(點心拼盤)」が好評だという。
台北市士林区文林路526号+886-2-2833-8377
8:00-21:00
カード:可/ミニマムチャージ:ドリンク1杯または料理1品/予約:可
www.facebook.com/HOK.house.of.kuo
※閉店しました。
涼食帖 Bling House
台湾の伝統市場でよく見かける「涼糕(リャンガオ)」は、市民の多くが子どものころによく食べた懐かしい菓子。涼菓子専門店の「涼食帖」は、天然の食材を使った皮と餡を使うことで昔ながらの涼菓子に創意を加え、新しい風味を作り出した。涼菓子はタピオカを主な材料に作られる。冷やした後のもちもち感は夏向きのスイーツ。
「花生小涼」は小さなサイコロ状の透き通ったお菓子で、黒蜜がよく合う。奥行きのある風味がお好みなら、餡入りがお薦め。人気の「黒糖地瓜」は、その名の通り黒糖とサツマイモがコラボした銘品。桃で甘みを加えたカモミールティーやソーダ類との相性もよく、あわせてオーダーしよう。
※安和店は営業終了
台北市信義区忠孝東路五段8号 統一時代百貨台北店B2F+886-2-2729-9699(デパート代表電話)
平日11:00-21:30、金曜-日曜11:00-22:00
https://www.facebook.com/blinghousetw/
Is Taiwan is chocolate 品台湾手作甜品
台湾の個性が光るチョコレートの専門店。丁寧に仕上げた手作りチョコレートのシリーズは、フランスとベルギー産の素材を使って、匠の技が小さな芸術品のように仕上げている。
人気商品は、鶏の爪をイメージした「巧克滷.鶏爪造型巧克力」。見た目は鶏の足(もみじ)を煮込んだ庶民の味「鶏爪凍」そのものだが、実は欧州のチョコに台湾バジル、ニンニク、トウガラシ、油ネギを取り合わせたという、台湾ならではの逸品で、土産物として人気がある。
台北市大同区酒泉街10巷11号+886-2-2586-5733
10:00-21:30
ミニマムチャージ:NT$120/予約:平日のみ可
www.istaiwan.com.tw
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