香山 ・ 崎頂 ・ 竹南 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/朱佳雯 文/西野百合子 写真/宋育玫
新竹市の最も南にある台湾鉄道香山駅。今回の旅はここから始まる。日本式木造駅舎の残る香山駅を過ぎると、鉄道は苗栗県へと進んでいく。苗栗県で最初に鉄道を迎えてくれるのは、鉄道遺跡と美しい風車の風景が広がる崎頂駅、迫力満点の巨大な神像にであう竹南駅。香山 ・ 崎頂 ・ 竹南 ― 風車が回る風の街の、途中下車。
目次
香山駅
香山は小さいながらも歴史のある街。時間が許せば、地元の人々の生活を感じながら、のんびり散策してみよう。海岸沿いの湿地で見る夕日もおすすめだ。
香山駅 木造駅舎
日本統治時代の昭和三年(1928年)に開設された香山駅は新竹市の市定古跡。典型的な「入母屋造式」の木造建築駅舎は2014年に元の様式を踏襲して全面改修されたが、往時の雰囲気を感じることができる。
天后宮
天后宮は明代永暦十五年(1661年)創建と伝えられ、台湾で最も古い媽祖廟の一つとされる。現在の廟は大正十一年(1922年)に再建されたもの。静かな空気が漂う、美しい小さな廟だ。
新竹市香山区中華路五段420巷191号
崎頂駅
無人駅のホームに降り立つと、豊かな緑と新鮮な空気が体を包む。田舎に帰って来たような、懐かしい雰囲気が漂う。
老衢観海
崎頂駅からすぐの景観台「老衢観海」。「老衢」とは、崎頂の旧地名「老衢崎頂」に由来する。景観台から周囲を見渡すと、足元には、鉄道と風車と海の美しい風景が広がっている。
崎頂子母トンネル
景観台から500mほど進むと、昭和三年(1928年)に建設された旧線路跡のトンネルがある。トンネルには、第二次大戦時の空襲時に受けた弾痕も残る。緑に埋もれたような雰囲気が、映画「千と千尋の神隠し」のトンネルに似ているというファンも多い。
竹南駅
風車が並ぶ海岸の漁港や巨大神像を擁する廟など、見どころの多い竹南駅。台湾鉄道縦貫線は、ここから彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれてゆく。
五穀宮
台北から自強号に乗って約一時間半。竹南駅に着くと、ホームから巨大な赤銅色の神像が目に入る。駅でもらった地図を片手に、のんびり歩くこと5分。五穀宮の門前に立てば、高さ約47メートルの主神・五穀先帝(神農)が圧倒的な存在感でこちらを見下ろしてくる。しかし表情は愛嬌があり、ほのぼのとしている。中国南方式の宮殿建築も優美。こじんまりとした廟だが、彫像や装飾の細工にも見どころが多い。ひとつずつ、ゆっくりと鑑賞するのもいい。
苗栗県竹南鎮五谷街16号
龍鳳宮
駅から車で10分、華麗な衣装をまとった巨大女神像が目の前に現れる。龍鳳宮の主神にして、航海を守護する海の女神媽祖だ。媽祖像としては台湾一の高さ約41 メートルを誇り、「大媽祖」と称される。ぜひ後殿三階に上がって、足元から参拝してみよう。足元から見上げる媽祖像は、空に浮かんでいるようで迫力満点。近づくと、よりその大きさが実感できる。正殿内に沸く龍泉井の水は百病を癒す霊験豊かな仙水とされ、参拝者は自由に飲むことができる。
苗栗県竹南鎮龍安街69号
龍鳳漁港
竹南は風力発電が盛んな土地だ。龍鳳漁港の帆船を模した景観橋からは、海辺に立ち並ぶ白い巨大風車とうららかな浜辺、そして素朴な漁港を一望できる。漁港では週末に直売所が設けられ、新鮮な海鮮を求めて観光客が数多く訪れる。
グルメ
香香意麺
意麺は、台湾の伝統的な卵ちぢれ麺。ニンニク風味の肉そぼろが香ばしい。小碗35元と値段も手ごろな庶民の味だ。
苗栗県竹南鎮民族路90号5:30-14:30
清涼冰
真っ白な綿綿冰(綿菓子かき氷)はシャーベットのようにきめ細かく、さわやかな甘みはどのトッピングとも好相性。
苗栗県竹南鎮中山路105号8:30-22:00
一足のばして行きたい観光スポット
台北駅から台湾鉄道に乗って1時間ほどでアクセスできる 新竹 エリア。美しいレンガ造りの大正式建築が残る湖口老街は、客家文化の息づくレトロタウン。ハイテクタウンとビーフンが有名な新竹駅では、廟口で名物の焼きビーフンに舌鼓!古跡めぐりやグルメめぐりが楽しめる湖口駅と新竹駅をめぐる旅にでかけよう!
香山 ・ 崎頂 ・ 竹南 途中下車の旅マップ
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