陽明山 春探検!!
企画構成/鍾昀彤 文/劉宛昀 写真/陳正国
陽明山 春の山歩きを楽しもう
台北市郊外の陽明山国家公園の前身は日本時代の大屯国立公園(1937 ~ 1945) 。かつて「草山」と呼ばれた、大屯山・七星山・紗帽山・小観音山一帯を指し、台湾の国家公園の中でももっとも都心に近い場所に位置する。1927 年、台湾日日新報の読者が選んだ「台湾八景十二勝」にも入選。「台湾の箱根」とも呼ばれた。戦後、蔣介石により、明代の学者王陽明を記念するため陽明山に改称された。陽明山は四季折々の花が楽しめる台北の裏庭的存在。春の山歩きをより楽しくする、名所・名勝と近年人気のレストランをご紹介する。
台湾好行バス www.taiwantrip.com.tw陽明山国家公園 www.ymsnp.gov.tw
目次
人気スポット
二子坪
二子坪(アーズピン)歩道は全長1.8 キロ。大屯主峰と二子山の間にできたカルデラに位置する。道幅が広く、なだらかで歩きやすい。バリアフリーの歩道も設置され、車椅子・ベビーカーも安心。国家公園の歩道中、もっとも利用者に優しい歩道となっている。往復の所要時間は60-80 分。途中は東屋や芝生で一休みできる。
台湾好行バス北投竹子湖線「バスターミナル」で下車、「108 遊園バス」に乗り換えて「二子坪」で下車
陽明書屋
前身は、日本時代に官僚が利用した温泉別荘。蒋介石元総統が接待や避暑に利用した「中興賓館」が残る。現在は、国父孫文や蒋介石総統の遺品を展示する「陽明書屋」にリニューアルされている。
北投区中興路12 号+886-2-2861-9816
9:00-16:30、最終月曜休館
NT$50
台湾好行バス北投竹子湖線「陽明書屋」で下車
冷水坑
窪地地形の冷水坑(レンスイケン)。 もとは堰止湖だったが、湖水が減少して湖底が現れ、今日のような景観ができた。このエリアの泉温が周辺よりずっと低い40℃前後であるため、冷水坑と呼ばれる。公共の男女公衆浴場(裸湯)と無料の屋外足湯がある。乳白色の水をたたえる「牛奶(ミルク)湖」は必見。展望台からの眺めが美しい。
台湾好行バス北投竹子湖線「バスターミナル」で下車、「108 遊園バス」に乗り換えて「冷水坑」で下車。あるいはMRT 士林駅から小15 バスに乗車して冷水坑で下車
夢幻湖
七星山南東の山麓に位置する。標高は約800 メートル。成因には不明な点もあるが、いずれにしろ火山にちなむ窪地に水が堰き止められたとみられる。朝は霧に覆われ、いっそう幻想的。晴れた日には湖面に映る七星山の姿が素晴らしい。湖畔は、水生シダ類で希少種の台湾ミズニラが繁茂することから生態保護区に指定されている。傍らの展望台から眺めも絶景。
台湾好行バス北投竹子湖線「バスターミナル」で下車、「108 遊園バス」に乗り換えて「夢幻湖」で下車
竹子湖
海抜670 メートルの竹子湖(ジューズーフー)は、50 万年前には堰止湖で、現在の柔らかく肥沃な土地をつくりだした。海抜が高めであることから涼しく、土壌や水質もよいことから、戦前より蓬莱米やキャベツの栽培で名を広めた。現在、竹子湖は台湾北部でも有名なカラーの産地。毎年3 月から4 月にかけて竹子湖カラーフェスティバルが開催される。竹子湖路両側は花畑が続き、カラー摘みを楽しめる。
台湾好行バス北投竹子湖線「竹子湖」で下車(花の季節は専用バスあり)
擎天崗
海抜約770 メートルの擎天崗(チンテンガン)は溶岩台地。平坦な土地を利用して、日本時代より牧場が経営されていた。現在もこの台地には野生化して自然繁殖した水牛が20 頭余りいる。平坦な地形のおかげで周囲の山々を遠方まで一望できる。天気がいい時は大勢の人々がピクニックやハイキングに訪れる。
台湾好行バス北投竹子湖線「バスターミナル」で下車、「108 遊園バス」に乗り換えて「擎天崗」で下車
人気レストラン
Brick Yard 33 1/3 美軍俱楽部
建物全体が赤レンガと原木で構成されるBrickYard33 1/3 は、1950-1960 年には陽明山で生活するアメリカ軍人とその家族の社交場だった。20 年もの間放置されていたが、2016 年になって、アメリカンカントリースタイルのレストランに生まれ変わった。
荒れ放題となっていた古い建物の復元修復は一大工事だった。往時の華やかな姿を再現するために、台南から匠を呼び寄せて構造から建て直しただけでなく、嘉義の老舗業者から在庫の赤瓦を取り寄せ屋根を葺きなおした。
屋上のテラスは、周囲の山々が見渡せる抜群の眺望を誇る、絶景と美食が同時に楽しめる空間。当時軍人家族が泳いだプールは水遊びができる浅いプールに改造。庭にはヤマザクラのほかに、ラクウショウ、黄色い楓が植えられ、陽明山ならではの四季の彩りを添えている。かつてレコード、CD の製作を生業としていたオーナーは、庭先に小さなレコード館を設置。百年物のレコードプレーヤーを展示し、不定期にイベントを開催している。
レストランはパスタ、ハンバーガー、ステーキなどの欧風料理を提供。おすすめのアメリカ産Choice グレードのショートリブは、たっぷり二人分のボリューム。分厚い700 グラムの肉は柔らかくてジューシー。ヒマラヤ産ブラックソルト(黒色岩塩)をふりかけるといっそう味わいが増す。ドリンクは白ワインとシトラス系リキュールがベースのPearl Harbor 二人用カクテルと、陽明山の蓮の花を使用した爽やかな香りのフラワーティーがおすすめ。
台北市士林区凱旋路49 号+886-2-2861-8282
平日11:00-20:00(LO:19:00)、週末 10:30-20:30(LO:19:30)、無料参観時間帯 (屋外とバー): 平日11:00-11:40、15:00-16:30
カード: 可/ミニマムチャージ:NT$200 /サービス料:10%/予約: 可
好様秘境 VVG Hideaway
「すばらしい生活の共有」を志す好様グループは、台北市内に独特の美学をモットーとするショップやレストランを多店展開。2015 年には市街地から離れた陽明山を選び「好様秘境」をオープン。その名のとおり、周囲はひっそりとした山中の「秘境」。温室のような白い建物は壁から天井にかけて全面ガラス張り。自然光が降り注ぐ店内は緑で埋め尽くされている。温室の横では生活用品、古い雑貨、デザイン・アート関連書籍など、選りすぐりの商品を販売している。
定番デザート「キャロットケーキ」は、千切りにしたニンジン、砕いたクルミを使い、レモンクリームをサンドしたしっとり食感のケーキ。「ベリーのパブロバ(PavolovaCake)」は、メレンゲの上にサワークリームを乗せ、最後にラズベリー、イチゴを並べてカシスソースをかけた、女性好みの甘酸っぱいデザート。特製「紫芋ミルク」は、シロップ漬けの紫芋と牛乳を一緒に煮込み、焼いた紫芋をのせた、胃にやさしいドリンク。レモンと自家栽培のローズマリーを使った「ローズマリーレモンソーダ」は春夏にぴったりのスッキリ味。
台北市士林区菁山路136-1 号+886-2-2862-6488
平日11:00-20:00、週末11:00-21:00予約は平日3 日前、週末1 週間前がおすすめ
カード:可/ミニマムチャージ:1 人NT$400/サービス料:10%
草山行館
草山行館はかつての台湾製糖株式会社の別荘。大正年間に皇太子時代の昭和天皇の訪台に合わせて建てられ、戦後は蒋介石総統の執務室ともなった。現在は美術展の参観と食事ができるアートサロンとして利用されている。台北盆地を一望しながら、美食を堪能したい。
台北市北投区湖底路89 号+886-2-2862-2404
ギャラリー参観10:00-18:00、食事11:00-17:00、月曜休館
一般NT$30
台湾好行バス北投竹子湖線「草山行館(陽明山立体駐車場)」で下車
www.grassmountainchateau.com.tw
こちらもおすすめ
陽明山―春散歩マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。