汐止 ・ 七堵 ・ 牡丹 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/鍾昀彤 文/高田雅子 写真/宋育玫
西部幹線
台湾鉄道台北駅から普通列車の区間車に乗って西部幹線を北上していくと、沿線の風景は緑の色が濃くなっていく。汐止や七堵は台北市中心から1時間圏内と交通の便もよく、ベッドタウンとしても人気だ。牡丹は豊かな自然が残る。駅ごとに表情を変える車窓の景色を楽しみに出かけてみよう!
目次
汐止駅
時空を超えて、街の歴史を歩く
新北市の汐止は、かつて基隆河の水運で栄えた街。現在は台北へ通勤する人々が多く暮らすベッドタウンとなっているが、街のあちこちに清代から発展してきた街の記憶をとどめている。
汐止駅から徒歩で各スポットへ
忠順廟(旧汐止神社)
大通りに面して立つ赤い大鳥居が示すとおり、以前この場所には日本の汐止神社がたっていた。終戦後、現在の廟が建てられたが、境内には日本時代に奉納された石灯籠の一部や狛犬が残っており、台座に「昭和14年」などの奉納年や奉納した会社名が確認できる。
新北市汐止区公園路10 号
汐止老街
現在、汐止老街と呼ばれている中正路は旧名を「水返脚街」といった。基隆河の水運が盛んだった頃は、河岸の埠頭には貨物の中継地として多くの物資が集まり、街は大いに栄えた。いまでも、中正路には往時の栄華を偲ばせる赤レンガの伝統的な長屋建ての商家「街屋」が一部残っている。
新北市汐止区中正路
汐止紅亀店
「紅亀」は、赤い亀の形をした餅菓子。汐止紅亀店は、1887年に初代が通りで売り始めた紅亀が評判を呼び、店舗を構えるようになって100年という老舗。店内には紅亀のほかにも、パイナップルケーキなどの中華菓子や、廟や先祖への供物用の菓子など、多彩な商品が並ぶ。
新北市汐止区大同路二段599 号+886-2-2641-4339
8:00-21:00
www.0226414339.com.tw/index.html
七堵駅
木造駅舎と下町グルメを訪ねる
基隆市の七堵で、鉄道ファンならぜひ訪ねたいのが、日本時代の記憶を伝える木造駅舎。さらに七堵には、基隆の隠れたご当地グルメも多数。じっくりB級グルメめぐりを満喫しよう!
七堵駅から徒歩で各スポットへ
七堵旧駅舎(七堵鉄道紀念公園)
黒瓦が美しい木造の旧駅舎は日本時代に建設された。2007年の新駅舎への移転に伴い、旧駅舎は解体され、元の位置より北側数メートルの位置に移築する際、元の姿に忠実に補修が行われた。旧駅舎後方にはホームも再現されており、近隣の人々や観光客の憩いの場となっている。
基隆市七堵区光明路23 号
慶済宮
七堵地区で最も古い道教の廟。海の女神媽祖を祀っており、近隣の人々は親しみを込めて「七堵媽」と呼んでいる。廟の周囲には安くておいしい食堂や屋台が集まり、食事に訪れる人も多い町の中心部だ。
基隆市七堵区開元路92 号
七堵咖哩麺
うどんとモヤシの上に大きなカレーソースの塊という、インパクトのあるビジュアルのカレーうどん。カレーソースとだしをしっかりかき混ぜてから食べると、濃厚なカレー味が口いっぱいに広がる。麺にはこしがあり、食べ応え十分。厚揚げ豆腐をトッピングしてもおいしい。
基隆市七堵区開元路62 号+886-2-2456-9281
7:00-16:00
無名臭豆腐
七堵で絶大な人気を誇る臭豆腐の屋台。夕方になって街角に香ばしい油の香りが漂い始めると、臭豆腐を求めて常連客が次々とやってくる。カリカリに揚がった豆腐は、独特なにおいがほとんどなく食べやすい。初めて臭豆腐を食べる人にもおすすめ。
基隆市七堵区南興路64 号15:00-21:00
古早味粉圓冰
地元民おすすめの、タピオカドリンクの屋台。自家製・無添加という小粒のタピオカはもちもちした食感で、くせになりそうなおいしさ。ドリンクは、ミルクティーやレモンジュースなどが選べる。
基隆市七堵區自治街と開元路の交差点付近10:00-19:00(臨時休業や移動中の場合あり)
八方咖啡
オーナーは耳鼻咽喉科の先生というユニークなカフェ。こじんまりとした店内は、アットホームな雰囲気で、ついつい長居したくなる。オーナーの娘さんが毎日手作りしているスイーツは、どれもかわいらしく、優しい甘さ。看板犬のトイプードル「ドラさん」も、ご近所の人気者だ。
基隆市七堵区崇信街21 巷2 号+886 2 2455 7177
10:00-18:00、月曜定休
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牡丹駅
田舎の無人駅は鉄道ファンの聖地
新北市双渓区の牡丹は、かつて金山の町として栄えていた。現在は住人も少なく、牡丹駅も無人駅となっているが、豊かな自然と素朴な風景が残る。静かな集落を散策してみよう。
牡丹駅から徒歩で各スポットへ
牡丹彎(駅ホーム)
牡丹駅最大の特徴は、大きく美しい弧を描くホーム。ホームの彎曲角度は120度と台湾最大で、台湾の鉄道ファンの間では「牡丹彎」の別名でも知られている。列車と彎曲したホームの組み合わせを狙って、鉄道ファンが写真撮影に訪れる人気スポットだ。
撮影には花蓮方面下り1 番線ホームがおすすめ
牡丹老街
昔ながらの素朴な村の風景が残る古い街並み。2012年に公開された盲目の天才ピアニストの青春を描いた映画『逆光飛翔(邦題:光にふれる)』では、主人公の故郷として登場した。
慶雲宮
玉皇大帝を主神とする慶雲宮は、霊験が非常にあらたかであるとして双渓区牡丹里と三貂里の人々の厚い信仰を集めている。毎年旧暦9月19日には海の女神媽祖の巡航が執り行われ、村内外から多くの人々が集まり、普段静かな老街が大いににぎわう。
新北市双渓区牡丹里19 鄰下坑35 号
一足のばして行きたい観光スポット
牡丹駅手前の、九份方面のバスや平渓線への乗換をする観光客で賑わう「 瑞芳 」は、駅前ロータリー周辺や、駅前通り突き当りにある美食街には、様々なご当地小吃屋台が並び、B級グルメ好きにはたまらないスポット。そして、牡丹駅の次の駅「雙渓」は、かつて炭鉱業の発展と共に栄えた、山に囲まれた静かな田舎町。今回は、この二つの駅で途中下車してみよう。
牡丹駅の手前には、人気の猫村も! 途中下車して街猫に癒されよう!
汐止 ・ 七堵 ・ 牡丹 途中下車マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。