彰化 近代産業遺産と伝統文化の粋を訪ねる旅
企画構成/鍾昀彤 文/高田雅子 写真/宋育玫
台湾中西部に位置する彰化は、清代より台湾中部の政治経済の中心的役割を担う都市だった。歴史を彩ってきた近代産業遺産や伝統文化が、各時代の思い出を旅人に語りかけてくる。ゆったりと時の流れを感じて旅してみたい。
目次
彰化駅
大仏様の見守る街で歴史さんぽ
彰化駅は、彰化のランドマーク八卦山の大仏と、扇形車庫の最寄り駅。苗栗県の竹南駅から海岸線(海線)と台中線(山線)に分かれた台湾鉄道西部幹線は、ここで再び交わりひとつになる。
八卦山風景区
八卦山の大仏は、彰化市のランドマークで、最も有名な観光地といえる存在。高さ約22メートルの大仏は、穏やかな表情をたたえ、参拝者を迎える。展望台からは彰化市が一望でき、美しい夜景が見られるスポットとしても有名。
彰化市温泉路31号終日
参観無料
扇形車庫
日本時代の大正11年(1922年)建設。台湾で唯一現存している扇形車庫で、今も現役で使用されている。時折、すぐ脇を走る鉄道本線から、引込み線を通り車両が転車台に進入し、向きを変える様子を見ることができる。鉄道ファンは必訪。
彰化市彰美路一段1號火曜-金曜13:00-16:00、土曜・日曜・祝日10:00-16:00、月曜休館
参観無料
門の脇の守衛室で身分証(パスポート)を提示し、記帳のうえ入場。現役で使用されている施設なので、安全に注意し、作業施設に入らないよう注意しよう。
彰化芸術館(彰化公会堂)
創立は日本時代の日本昭和8年(1933 年)。当時は、映画上映、講演、祭祀など多元的に利用される彰化市民の文化活動の中心だった。2002年には、彰化県歴史建築に指定された。
彰化市中山路2段542号9:00-17:00、月曜・国定休日および展覧会準備期間は休館
art.changhua.gov.tw/
南北管音楽戯曲館
瀟洒な中国建築が美しい戯曲館は、伝統音楽戯曲「南管」と「北管」の研究・伝承・普及の役目を担っている。資料館では、南管と北管の歴史と発展について学ぶことができる。
彰化市崙平里平和七街66号資料展示ホール、図書視聴資料室:火-日曜日9:00-17:00、月曜・祝日休館
参観無料
魚市爌肉飯
爌肉飯は、「彰化三宝」に数えられる彰化の名物。ごろんと豪快に白米の上に鎮座する串刺しの大きな豚肉は、口の中でほろほろほぐれる柔らかさ。付近の爌肉飯店の食べ歩きもおすすめ。
彰化市華山路246号5:30-15:00、月曜定休
玉華珍餅行
小さな店に一歩足を踏み入れると、きな粉の香ばしい香りに包まれる。薄く柔らかい餅の中にたっぷり包まれているのは、小豆・胡麻・落花生の三種の餡。消費期限は二日。ばら売りも可。
8:00-午後(売り切れまで)
端倪生活
彰化駅わきの旧台湾鉄道職員宿舎を利用したカフェ。建物外観と内部ともに、ほぼ手が加えられておらず、往年の風情が残る。店内は、レトロな家具とトイアートが配され、芸術的な雰囲気。二階もあわせて、お気に入りの席を見つけてみて。
09:00-17:00
ミニマムチャージ:ドリンク1杯/人(抹茶ミルク・黒糖タピオカミルクティーは対象外)
員林駅
街の記憶をめぐる物語を探して
清代より発展してきた員林は、「員林有三多(員林には富豪、弁護士、銀行の三つが多い)」と言われるほど、台湾経済にとって重要な街。街の成長を見守ってきた古跡と、街の記憶を辿ってみよう。
興賢書院
前身は学問の神を祀る「文昌帝君廟」。現在の建物は1999年の921大地震による全壊後に再建されたものだが、正殿前に清代に置かれた貴重な御路石(龍階)が残っている。自習室として開放されている後方の棟で勉強している学生も多い。
彰化県員林市中正里三民街1号(員林公園内)7:00-21:00
警察故事館
日本時代、員林郡役場の公務員宿舎だった日本家屋に、警察の制服や帽子、銃、剣、警報機、各年代の写真など、実際に使用されていた警察関連資料が展示されている。警察帽をかぶっての、なりきり記念撮影が人気。
火曜-日曜9:00-11:30、14:00-16:30、月曜・祝日休館
参観無料
社頭駅
靴下の故郷で社会見学
社頭駅のある社頭郷の別名は「靴下の故郷」。地域の靴下の生産量は、国際化ととも減少したものの、一部の靴下工場は観光工場として生まれ変わり、地域の産業に新たな息吹を与えている。
SOXLINK靴下観光工場
靴下ぬいぐるみDIY、工場見学などが楽しめる観光工場。各時代の機材なども展示されており、靴下の製造過程を学ぶこともできる。希少な手回し靴下編機を実際に使って糸を織る体験ができるコーナーでは、糸が織りあがる速度にびっくり!
月曜-金曜9:00-18:00、土曜・日曜・祝日9:30-18:00
参観無料、靴下ぬいぐるみDIY NT$80から
www.soxlink.com.tw/
一足のばして行きたい観光スポット
台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」という。彰化のすぐ上、台中市の海線の駅、大甲・清水・沙鹿の途中下車の旅にでかけてみよう!
台中線の通称は「山線」といい、海沿いとは異なる魅力のある風景が広がっている。彰化のすぐ上、台中市内の泰安駅・后里駅・豊原駅・台中駅へ途中下車の旅に出かけてみよう!
集集線
社頭駅の二駅先、二水駅を起点とする全長約30キロの集集線は、台湾鉄道で最も長い支線。日本時代には蔗糖や材木の運搬、さらに発電所の発達により沿線は大いに栄えたが、後に衰退。1999年9月21日の921大地震では大きな被害も受けた。近年は懐かしい景色が残る観光路線として復活。気になる駅でぶらりと降りる、そんな小さな冒険が似合うエリアだ。
彰化 員林 社頭 観光マップ
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