鳳林 ~台湾鉄道+サイクリング~
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/張晉瑞・宋育玫
鳳林
鳳林自転車歩道のスローな旅
花蓮県鳳林鎮は2014年に台湾で初めて国際スローシティの認証を受けた街で、人口の約六割を客家の人々が占める客家の郷だ。鳳林のおすすめのアクティビティはサイクリング。台湾鉄道鳳林駅を中心に美しい田園沿いのコースを走る「鳳林自転車歩道」は、ゆったりした鳳林の空気を体中で感じるのにぴったり。沿道には客家の文化や伝統料理を楽しむことができるスポットも少なくない。スローでロハスな自転車の旅を満喫しよう!
台湾鉄道鳳林駅からレンタサイクルで各スポットへ路線:鳳林公園→復興路→清水渓→兆豊農場→永豊路→鳳林渓→鳳林公園
距離:約24㎞
※時間と体力を見て任意の地点から折り返しても可。
目次
鳳林駅
台湾鉄道鳳林駅の開業は1911年(明治44年)。鳳林鎮で特急が停車する駅は周辺地区の交通の要衝だ。現在の駅舎は2014年に完成した赤煉瓦タイルの壁と切妻屋根が特徴的な建物。鳳林に多く残る伝統的な煙草乾燥小屋「菸楼」をイメージした外観で地元文化を表現している。
鳳林自転車歩道
沿道スポット
菸楼のある田園風景
「鳳林自転車歩道」は鳳林地区を周回する自転車道。全長は約24kmで、沿道の大部分は緑豊かな稲田が続く田園地帯だ。田畑の合間を縫って自転車を走らせていると、沿道に屋根の最頂部に採光や煙抜きのための「越屋根(こしやね)」を持つ建物を見かけるだろう。これは「菸楼」と呼ばれる葉タバコの乾燥小屋建物。日本時代に日本人移民村「林田村」が置かれた鳳林は、葉タバコの重要な産地であったため、収穫した葉タバコを乾燥する菸楼が数多く建てられた。現在も30棟ほどの菸楼が残っており、保存状態の良い「徐家興菸楼」や「廖快菸楼」などは地元の歴史を伝える観光名所になっている。
徐家興菸楼
花蓮県鳳林鎮大栄二路と民有路の交差点
廖快菸楼
花蓮県鳳林鎮復興路79号
客家文物館
鳳林公園内に位置する資料館。館内では清代末期から日本時代初期にかけて鳳林に移住してきた客家人の歴史、文化関連の文物を展示している。実際に使用されていた衣服や農具、写真、民家の模型などを通して客家人の伝統文化にふれてみよう。
花蓮県鳳林鎮中華路164号03-876-2625
8:30-17:00、月曜定休
入館無料
客庄移民村警察庁
建物の前身は「林田警察官吏派出所」。平屋建ての日本家屋の派出所は1914年(大正3年)の「林田移民村」成立当初から100年あまりの間、鳳林の街を見守ってきた。戦後は改修をへて「客庄移民村警察庁」と改名されている。
花蓮県鳳林鎮復興路71号※内部非公開・外観のみ見学可
客家グルメ
如意亭美食館
鳳林公園のはす向かいにたつ地元の人に人気の食堂。客家料理のおすすめは、干した豆腐やイカなどを炒めた「客家小炒」、豚大腸・酸菜・生姜の酸味のある炒め物「薑絲大腸」、蒸し鶏の酒漬け「酔鶏」、蕨に似た山菜「過猫(クワレシダ)」の和えものなど。客家料理は濃いめの味付けで白いご飯が進む。サイクリングの後にたっぷり客家の味を楽しみたい。
花蓮県鳳林鎮中和路160号03-876-1060
11:00-14:00、17:00-20:00、月曜定休
煙草農家の宿
芳草古樹花園
煙草農家の菸楼を改造した民宿。敷地面積は3000坪あまりで、庭に佇む樹齢約200年の楠の大木が宿のシンボルとなっている。各客室は古民家の構造を良く残しており、なかでも大阪式菸楼の客室は建物の高さを生かした2階のある個性的な空間で人気となっている。
敷地内にはレストランとカフェも併設。宿泊客が朝食をとるレストランでは、一般客も本場の客家料理を堪能できる。カフェ「老樹舍咖啡」の人気ドリンク「擂茶拿鐵咖啡」は、客家伝統の茶飲料「擂茶」とコーヒーを合わせたオリジナル。コーヒーと穀物の香ばしさが口いっぱいに広がる優しい味わいが魅力だ。
民宿ではキャンプも可能な広い園内の散策や、茶葉と穀物をすり合わせて作る擂茶のDIYなど多彩な楽しみ方ができる。ゆっくりした時間が流れる古民家の宿で、スローシティ鳳林ならではの宿泊を体験しよう。
花蓮県鳳林鎮中和路71号03-876-0437
fangshuh.com.tw
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