頭城・宜蘭・羅東 濱海自転車道 ~台湾鉄道+サイクリング~
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/陳正国・宋育玫
頭城・宜蘭・羅東
濱海自転車道で風を追う!
宜蘭県の海岸線を貫く「濱海自転車道」は、宜蘭を代表する自転車道のひとつ。約13.5㎞の「北段」と3.1㎞の「南段」からなり、全長は16㎞あまり。ビーチわきの防潮堤上部に位置しており、起伏も少ないため走りやすい。沿道では、美しい海岸や太平洋の大海原、季節の花々、小鳥や蝶などの動植物が観賞できる自然いっぱいのサイクリングコースだ。ひとりで気ままに、または家族や友人と、思い思いのサイクリングを楽しもう!
北段:竹安橋→宜蘭渓河口→南段:清水防潮閘門→利澤工業区北側(約16.6㎞)
※自転車道には商店がないため、水や軽食を用意してから出発しよう
目次
濱海自転車道 北段
永鎮海濱公園
濱海自転車道北段の別名は「壮圍濱海自転車道」。北は竹安渓河口にかかる竹安橋から南は蘭陽渓河口の東港まで、約13.5㎞を結んでいる。南に進むにつれて防風や防砂のために植えられたアダンやミフクラギなどの海濱植物が多くなっていく。
緑の中で自転車を走らせていると、風が運んでくる波の音と鳥のさえずりが何とも心地よい。竹安橋から約7.5㎞の「永鎮海濱公園」には展望台が設けられており、東屋で休憩しながら亀山島が浮かぶ太平洋の絶景を堪能できる。ビーチに降りて波と戯れたり、散策したりするのもおすすめだ。海の前で、思いきり自分を解放しよう!
宜蘭県壮圍郷壮濱路四段388巷
壮圍沙丘旅遊服務園区
永鎮海濱公園から約5㎞の地点に位置する「壮圍沙丘旅遊服務園区」は、モダン建築とアートが楽しめるスポット。約4.48haにもおよぶ広大な敷地には、森林や草原、可愛らしい丘、小川のような形の池などが広がっている。中心にたつビジターセンターは台湾の著名建築家・黄聲遠氏による設計で、砂丘の地形や砂の穴などを表現。
土地の傾斜や曲線を生かしたコンクリート建築は、斬新なスタイルながら不思議と周囲の自然に溶けこんでいる。地上の草地から続く小道を伝って建物屋上に上がると、美しい敷地内の風景を一望できる。
ビジターセンター内の砂丘を再現した展示ホールではアート映像作品を上映しており、建物と映像が織りなす幻想的なアート空間も体感できる。もちろん旅行情報やパンフレットの提供など、ビジターセンターとしての機能も充実。併設のベーカリーカフェでは焼き立てパンやコーヒーのほか、宜蘭の名産品も販売している。休憩やお土産探しにぴったりのスポットだ。
屋外アートエリアでは多彩なアート作品にも注目したい。2019年から開催されている冬季のアートイベント「宜蘭壮圍沙丘芸術節」で展示されたインスタレーション作品群が会期終了後も現地に残されており、自然の風景の中で国内外のアーティストが宜蘭壮圍の風土や文化を題材として制作したアート作品を鑑賞できる。
展示エリアは非常に広いので、ビジターセンターから自転車で気になる作品を探しながらアートめぐりを楽しもう。1.4㎞ほど南に進むと壮圍海岸に到着する。自転車道から海岸に降りると、砂浜には可愛らしいブランコが待っている。ブランコに腰掛けて大海原に浮かぶ亀山島と向かい合えば、忙しい日常が遠くに飛んでいくことだろう。
壮圍沙丘ビジターセンター
宜蘭県壮圍郷壮濱路二段196巷18号
03-938-2420
9:00-17:00(カフェは火曜定休)
東港榕樹公園
濱海自転車道北段の南側の終点に位置する公園。目の前に広がる蘭陽渓と宜蘭渓の合流地点の河口は「蘭陽渓口水鳥保護区」に指定されており、バードウォッチングの名所でもある。
公園内には十数本の榕樹(ガジュマル)の木が植えられており、樹と樹の間にはハンモックが掛けられており、サイクリングやハイキングの途中で休憩するのにぴったり。ガジュマルの枝葉が作る木陰の下で水辺からのそよ風に吹かれていると、時間を忘れてしまいそうだ。ハンモックに揺られながら、のんびり時間を楽しもう。
宜蘭県壮圍郷廍後路
濱海自転車道 南段
「親水自転車道」とも呼ばれる濱海自転車道南段は、宜蘭県五結郷下清水エリアの海岸沿いを走る3㎞あまりの短いコース。南端の起点から緑に包まれた自転車道を北上していくと、冬山河の河口にある水門「清水大閘門(五結防潮閘門)」に到着する。水害や海流逆流を防ぐために冬山河の水量を調節する重要な機能を果たしており、2.5mあるゲートが20も並ぶ様子は圧巻の光景だ。清水大閘門から河口に向かっては視界が開けた雄大な風景が広がっている。冬山河と蘭陽渓が合流する河口の湿地帯は、釣りやバードウォッチングの人気スポットだ。
宜蘭県五結郷季水路
沿道グルメ
六合海鮮小吃部
新鮮な海鮮をリーズナブルな価格で楽しめる食堂。おすすめは季節の魚介類のほか、エビ玉子炒め「滑蛋蝦仁」、サクサク香ばしい牡蠣の唐揚げ「蚵仔酥」、茹でイカ「燙中巻」など。どれも家庭料理風のほっとする味わいだ。料理を注文すると醤油だれで煮込んだ豚そぼろご飯「魯肉飯」がサービスになるので満腹間違いなし。予算を伝えて料理を見繕ってもらうこともできるので、希望があれば相談してみよう。
宜蘭県壮圍郷壮濱路一段151号03-938-9116
9:30-20:30、火曜定休
食聚咖啡 GATHER Café
平日も満席になることが多い人気カフェ。緑と花にあふれた前庭から店内に入ると、若いスタッフと猫たちが出迎えてくれる。店内はこじんまりとした可愛らしい空間で、お天気が良い日にはテラス席で花を眺めるのも気持ちがいい。
ミルクレープやタルトをはじめとしたスイーツのほか、キッシュやパニーニなどの軽食も提供している。夕方にはほどんどのスイーツが売り切れてしまうので、スイーツがお目当ての場合は早めに訪問したい。
宜蘭県壮圍郷壮濱路二段277号03-938-5868
10:00-17:00、木曜定休
ミニマムチャージ:1人NT$150またはドリンク1杯
facebook.com/gather277
頭城駅
濱海自転車道北段の玄関口
宜蘭県北部に位置する台湾鉄道頭城駅は、濱海自転車道北段の玄関口。駅前の「頭城老街」と呼ばれる古い町並みには、清代から日本時代にかけて建てられた美しい建物が残っている。ご当地名物のタロイモアイスも人気だ。
濱海自転車道へは、駅前アーケード「沙成路」のレンタサイクル店で自転車を借り、自転車に乗って台2線道路を南下していくと、10分ほどで竹安渓下の北段起点に到着できる。時間に余裕があれば、駅から自転車で北に10分ほどの蘭陽博物館や烏石漁港にも、ぜひ足をのばしてみよう。
頭城老街
宜蘭県頭城鎮和平街
蘭陽博物館
宜蘭県頭城鎮青雲路3段750号
03-977-9700
9:00-17:00、水曜(水曜が祝日の場合翌日)・旧暦大晦日/元旦は休館
大人NT$100
lym.gov.tw
おすすめコース
頭城駅からレンタサイクルで濱海自転車道往復
北段起点までのルート:頭城駅→台2線→竹安渓を渡って最初の信号を右折→突き当りを右折→濱海自転車道往復→頭城駅
一般自転車1日NT$100から(店舗により異なる)
宜蘭駅
童話世界から始める旅
台湾鉄道宜蘭駅は、駅周辺に設置された宜蘭出身の著名絵本画家幾米(ジミー・リャオ)の作品世界を表現した公共芸術が人気を集めている。キリンが顔をのぞかせる駅舎から足を踏み出せば、駅前広場の「丟丟噹森林」の九芎樹(シマサルスベリ)の森を駆け抜ける幾米作品「星空」の蒸気機関車に迎えられる。
「幾米公園」では、幾米作品「星空」や「向左走・向右走」などの主人公たちと記念撮影をすることもできる。駅周辺には歴史建築やカフェなども多いので、サイクリングの前後に立ち寄りたい。
おすすめコース
宜蘭駅からタクシーまたは台湾好行バス壮圍沙丘線で「保安宮」または「永鎮濱海遊憩区」下車、レンタサイクルで濱海自転車道往復→レンタサイクル店→宜蘭駅
一般自転車1日NT$150から(店舗により異なる)
台湾好行バス
taiwantrip.com.tw
羅東駅
濱海自転車道南段の最寄り駅
濱海自転車道を南から攻めるなら、台湾鉄道羅東駅からバスかタクシーでレンタサイクル店が並ぶ「冬山河親水公園」へ。自転車を借りて冬山河の水辺の風景が楽しめる「冬山河自転車道」を経由して直接濱海自転車道北段を目指すもよし、濱海自転車道南段の起点から全線制覇を目指すもよし、体力と時間に応じてコースを決めよう。時間があれば、冬山河親水公園で水遊びや遊覧ボートで水上散策を楽しんだり、対岸に位置する昔の街並みを再現した「国立伝統芸術中心」で台湾の伝統芸能や工芸に触れたりするのもおすすめ。
冬山親水公園
宜蘭県五結郷親河路二段
8:00-22:00
国立伝統芸術中心・宜蘭伝芸園区
宜蘭県五結郷五濱路二段201号
03-950-8859
9:00-18:00
大人NT$150
px-sunmake.org.tw
おすすめコース
羅東駅からタクシーまたは台湾好行バス冬山河線で「冬山親水公園」下車、レンタサイクルで濱海自転車道往復→羅東駅
ルート1.冬山河親水公園→台7丙線→季水路→濱海自転車道南段→濱海自転車道北段→冬山河親水公園
ルート2. 冬山河親水公園→冬山河自転車道→台2線→濱海自転車道北段→冬山河親水公園
一般自転車1日NT$150から(店舗により異なる)
台湾好行バス
taiwantrip.com.tw
一足のばして行きたい観光スポット
台北駅から台湾鉄道東部幹線を北回りで瑞芳を越え、さらに南下していくと、進行方向左側車窓の海の向こうに、亀山島が見えてくる。そして宜蘭県に入り、自強号が最初に停車するのが、頭城駅。頭城は、頭城老街や蘭陽博物館、烏石港など、見どころの多い街だ。ゆったり散歩を楽しみながら、文化の香りあふれる休日を過ごしてみよう。
宜蘭県東北部に位置する礁渓は、台湾で唯一平地にある温泉地。泉質は透明無臭の弱アルカリ性の中性泉で、皮膚を滑らかにする「美人湯」。駅を降りれば、すぐ目の前に足湯がお出迎え。土産物屋やホテルが林立する昔ながらの温泉街は、気取らない雰囲気で散策も楽しい。台北からのアクセスも良く、日帰りで楽しめる。
清代、宜蘭市は噶瑪蘭廳城と呼ばれ、城壁外部にそって九芎樹(シマサルスベリ)が植えられていたことから別名を「九芎城」といい、宜蘭県の中心として大いに栄えた城郭都市であった。旧市街を中心に、今も各時代の息吹を感じさせる美しい旧建築が残る。ほとんどの観光スポットは徒歩圏内。ぶらり散歩にでかけてみよう。
羅東の街は、日本統治時代には林業関連の産業が発達し、宜蘭の商業の中心地として栄えた。現在は、家族で一日中楽しめる観光地として人気を集めている。街のあちこちに残る街の記憶を感じながら、ゆったり歩いてみよう。
頭城・宜蘭・羅東 濱海自転車道マップ
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