後壁 のどかな田舎の風景 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/張晉瑞・視野創異行銷

後壁駅木造駅舎

後壁駅

のどかな田舎の風景を巡る旅

台南市最北端の駅である後壁駅では、1943年(昭和18年)に建てられた木造駅舎が現役で使用されている。駅の所在地である後壁は良質な米の産地。天気の良い日は駅前で自転車を借りて、近隣の並木道やのどかな田園風景、ノスタルジックな古い街並み「菁寮老街」をめぐる小さな旅に出かけよう。

ドキュメンタリー映画『無米楽』の主人公4人と水牛の銅像 後壁

ドキュメンタリー映画『無米楽』の主人公4人と水牛の銅像

台湾鉄道後壁駅からバス、タクシー、レンタサイクルで各スポットへ

台南市公共レンタサイクルYoubike
www.youbike.com.tw/region/tainan

 

ドキュメンタリー映画『無米楽』

2004年公開。台南市後壁区に住み、水牛とともに昔ながらの米作りを行う農家の4人の老人が、過酷な暮らしを前向きに生きる姿を記録し大きな反響を呼んだ。2006年には主人公のひとりの黃崑濱氏が生産した「台農71号(益全香米)」が全国コンテストで優勝。菁寮と近隣が「台湾の米倉」として全国に名を馳せるきっかけとなった。

 

おすすめ観光スポット

菁寮国民小学

日本時代の1911年(明治44年)に開校した小学校。日本時代建設の校舎は1970年代に取り壊されたが、校舎裏の林には1931年(昭和6年)に設置された国旗掲揚台跡が残っている。戦後の1950年代建設の旧事務所と講堂も、日本式和洋折衷建築の特徴を色濃く引き継いでいる。

旧事務所 後壁

旧事務所

講堂

講堂

国旗掲揚台跡

国旗掲揚台跡

台南市後壁區菁寮里菁寮282號
台湾鉄道後壁駅から市バス黄6、黄6-1で「菁寮國小」下車

 

菁寮聖十字架天主堂

ドイツ人建築家ゴットフリート・ベームの設計により、1960年代に建設されたカトリック教会の聖堂。建物は4つの尖塔で構成され、それぞれの上部にキリスト教のシンボルである「十字架」「鳩」「雄鶏」「王冠」が掲げられている。円錐形の尖塔はアルミ板で覆われており、周囲の稲田に銀色に輝く4つのピラミッドのような尖塔が浮かぶように見える光景は地元のランドマークのひとつだ。

左から十字架を掲げた尖塔ハトを掲げた尖塔 後壁

左から十字架を掲げた尖塔ハトを掲げた尖塔

菁寮聖十字架天主堂 後壁

台南市後壁區墨林里菁寮294-1號
土曜・日曜・祝日10:00-16:30
台湾鉄道後壁駅から市バス黄6、黄6-1で「菁寮國小」下車

 

長短樹公園と粕面宋江陣廊道

長短樹公園 後壁

頂長社区は後壁区の典型的な農村のひとつ。「長短樹公園」は、2020年に地域の放置されたまま使われていなかった土地や建物を整備して誕生した公園だ。現在は地域住民の集会や趣味の講座の会場として利用されているほか、不定期で地元の青年団体主催による農村ガイドツアーやDIY教室、音楽会も開催されており、元の建物と緑地が溶け合った景観の美しさから、SNSの撮影スポットとしても注目を集めている。

イベント会場や休憩場所として利用されている公園の建物 後壁

イベント会場や休憩場所として利用されている公園の建物

公園内の宋江陣型をイメージした八卦陣

公園内の宋江陣型をイメージした八卦陣

公園裏から南85道路まで約200m続く「粕面宋江陣廊道」は、地元の信仰の中心である永安堂に伝わる「粨面宋江陣」を題材にしたモザイクアートの壁画が描かれたアートストリート。

石を使った色鮮やかなモザイクアート

石を使った色鮮やかなモザイクアート

「宋江陣」とは伝統的な廟の祭事にあたり、顔面に色鮮やかな隈取を施した人々が演武を披露しながら練り歩く民族技芸「陣頭」を指す。壁画に描かれた陣頭を行う際の儀式、使用する道具、役柄の種類、技の型などを通して、150年の歴史を持つ宋江陣の文化と歴史が学べるようになっており、非常に興味深いスポットだ。

粕面宋江陣廊道 後壁

台南市後壁區長短樹47號
facebook.com/tngtetree
台湾鉄道後壁駅から市バス黄6、黄6-1で「頂長短樹」下車、徒歩4分
※イベント開催はFacebookで告知

 

菁寮老街

清代から南部と北部を結ぶ交易の中継地として栄えてきた「菁寮老街」は、1950年代で時が止まったような街並みが残る小さな町。2019年に大ヒットした台湾ドラマ『俗女養成記(邦題:おんなの幸せマニュアル)』のヒロインの故郷として一躍注目を集め、2021年には続編『俗女養成記2』の放送にあわせ、老街全体が「後壁俗女村」として生まれ変わった。現在もロケ地の聖地巡礼に訪れる観光客が後を絶たない人気スポットとなっている。

菁寮老街 後壁

台南市後壁區墨林里
台湾鉄道後壁駅から市バス黄6、黄6-1で「菁寮國小」または「西菁寮」下車、徒歩で各スポットへ

 

金徳興中薬舖

清代に大陸から嘉義県斗六に移住してきた阮氏一族が18世紀に建てた店舗兼住宅の街屋形式の建物で、「阮家古厝」とも呼ばれている。6代目の主人が1875年に菁寮へ居を移したのち、斗六の建物は解体され、1910年に現在の場所で再建された。建物本体をはじめ、細部の彫刻や装飾などの保存状態も極めて良好で、非常に美しい建物だ。『俗女養成記』では、ヒロイン・陳嘉玲の実家として登場する。現在は一般公開されており、表の店舗と後方の住宅部を見学できる。

金徳興中薬舖 後壁

台南市後壁區墨林里菁寮191號
10:00-17:00、火曜・水曜休館
NT$50
facebook.com/tackywoman
※臨時休業は上記・後壁俗女村Facebookで告知

 

後壁好物直販所

菁寮老街 後壁好物直販所 後壁

後壁の地方創生を目指す「後壁好物直販所」では、金徳興中薬舖と同じ通りに建つ古民家を利用した店舗で、後壁の特産品や土産物の販売のほか、農業体験、後壁観光ガイドツアー、DIY教室などのイベントを開催している。厳選した地元の名品が一堂にそろっており、お土産探しに最適のスポットだ。

菁寮老街 後壁好物直販所

菁寮老街 後壁好物直販所 後壁

台南市後壁區菁寮里140號
0979-169-012
9:00-17:00
facebook.com/HoubiShop
※DIYや各種体験の詳細は要予約、詳細は問合せ

 

墨林文物館・藍染熊手作坊

墨林文物館・藍染熊手作坊

建物の前身は、日本時代に菁寮で唯一の医師だった梁耀明氏が開いた重仁診療所。2000年に資料館として整備され、2014年からは菁寮伝統の藍染め文化の紹介も行われている。館内では、かつての医療器具や農村の生活用品などの展示のほか、藍染商品の販売を行っている。週末に開催される藍染体験DIYも人気。

墨林文物館・藍染熊手作坊 後壁

墨林文物館・藍染熊手作坊 後壁

台南市後壁區墨林里菁寮217號
0917-517-435
Open:土曜・日曜10:00-17:00(12:00-13:00休憩)
入館無料・DIYは別料金
facebook
※藍染めDIYは予約を推奨
※イベント開催や臨時休館はFacebookで告知

 

茄芷工坊

菁寮老街 茄芷工坊 後壁

「茄芷袋」は、近年は日本でも「漁師バッグ」と呼ばれ人気を博している菁寮生まれの台湾の伝統的な手提げ袋。昔はい草で編まれていたが、現在は多くがナイロンメッシュ製。赤・青・緑の三色の組合せのバッグはレトロで可愛らしく、お土産にぴったり。

菁寮老街 茄芷工坊

菁寮老街 茄芷工坊 後壁

台南市後壁區菁寮里73號
8:00-17:00
facebook

 

歩穀農創館

菁寮老街 歩穀農創館 後壁

2023年1月にオープンした「歩穀農創館」は、後壁農会(農協)が開いた特産物直売センター。モダンなインテリアの館内では、後壁産の米や野菜などの新鮮な農作物をはじめ、後壁や他県市の農協が販売する調味料や菓子類などの加工食品を手ごろな値段で購入できる。

菁寮老街 歩穀農創館

また、藍染めやい草を使った製品、茄芷袋などを集めたコーナーもあり、館内をくまなく歩けば、きっと気に入ったお土産が見つかるだろう。カフェスペース「歩穀吧」で販売している後壁産の農産物を使ったソフトクリームもぜひ味わいたい。

菁寮老街 歩穀農創館 後壁

台南市後壁區墨林里菁寮346號
9:00-17:30
facebook

 

富貴食堂

富貴食堂 後壁

看板メニューの「割稲飯(稲刈り飯)」は、むかしの農民が互いに助け合って稲刈りを行った際に、皆でおかずを田んぼに持ち寄り、白いご飯の入った丼を片手におかずを分け合って食べた風習に由来する伝統の味。一番人気の「焢肉飯」は、甘めの豚角煮と白いご飯の組み合わせが絶妙だ。無料のお茶とスープのサービスがあるのもうれしい。

富貴食堂

台南市後壁區菁寮里7-2號
11:00-13:00、土曜・日曜11:00-14:00、月曜・火曜定休
facebook.com/FuGueiShiTang
※臨時休業はFacebookで告知

 

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後壁 途中下車の旅マップ

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。