宜蘭 ―太平洋に臨む漁業基地―

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宜蘭 ―太平洋に臨む漁業基地―

文/楊善文 写真/陳正国

宜蘭

宜蘭県は蘭陽渓下流域に形成された肥沃な蘭陽平原にあり、太平洋の大海原に面し、豊かな自然と物産を育んできた。近年は、雪山トンネルの開通で台北から車で一時間余りと近くなり、週末には多くの家族連れが訪れるようになった。

2017年初め、五結郷の国立伝統芸術文化パークがリニューアルを終え、伝統文化体験スポットとして注目を集める。今回は、当文化パークを起点に、漁業基地として栄える蘇澳鎮から南澳鎮へと南下する。繁華な港町、そして静かなビーチ、紺碧の海を臨む宜蘭南部の旅だ。

宜蘭

 

亀山島

亀山島

亀山島

台湾本島東北部の沖合約10キロに位置する離島。海亀が浮かんでいるように見えることからこの名がある。面積は約2.8平方キロで、台湾唯一の活火山でもある。地勢は亀の首に当たる部分(標高239メートル)、甲羅部分(標高398メートル)、尻尾部分(長さ約1000メートル)に分けられ、付近の海域は重要な漁場となっている。かつての住民が島を離れてから、2000年に一般開放されるまで、長く人が立ち入ってこなかった。そのため、手つかずの自然が残り、イルカの群れとも遭遇できることから、人気の観光スポットとなっている。

また頭城の烏石港、外澳および周辺の浜辺からも、天気がよければ亀山島を遠望できる。「亀山朝日」と称されるご来迎を拝むときは、永鎮海濱公園がお薦め。東の海原から亀山島を背景に昇る朝日がみられる。

 亀山島への上陸は毎年3月1日から11月30日まで(但し毎週水曜と悪天候時は除く)20日前までに要申請。身分証明書の携帯が必要。乗船地点は宜蘭県頭城の烏石港(頭城駅から車で約10分)。
 永鎮海濱公園へは宜蘭バスターミナルから国光客運1788号バスで「永鎮」下車。
 詳細は www.necoast-nsa.gov.tw/Coast を参照。

 

 

五結郷

国立伝統芸術センター
伝芸文化パーク

宜蘭

五結郷季新村、冬山河畔に建つ「伝芸文化パーク」は敷地24ヘクタールを誇り、台湾伝統文化の伝承を主な目的とする。2003年の開園以来、宜蘭を代表する観光スポットとして君臨してきた。

核をなす「伝芸文化パーク」は閉園して改修を進めていたが、2017年初めにリニューアルオープンした。ゲートから動線まで大きく変貌している。入園と同時に目に入るのはクリスタルガラス・陶芸・木芸・藍染・彫刻という伝統工芸がテーマの五つの工芸所。「希望の樹」「擲聖杯(ポエ占いの道具)」といったアートは地元の呂秉承の作品である。

希望の樹

希望の樹

擲聖杯(ポエ占いの道具)

擲聖杯(ポエ占いの道具)

園内では、体験教室が開催されているほか、ステージでは多彩なエンターテイメントが披露されている。2017年の演目は、進学を司る神様「文昌帝君」を題材にした二種目の演劇で、観衆はあわせて芸陣(伝統武芸)のパレードも鑑賞できる仕組みだ。森に湧く霧がテーマの「迷霧森林」も忘れず訪ねたい。自らが水墨画の中に入り込んだかのようなロマンチックな世界が感じられるだろう。

伝芸文化パーク
伝芸文化パーク
伝芸文化パーク
宜蘭県五結郷五浜路二段201号
+886-800-020-011
9:00-18:00(7、8月は20:00まで)
 羅東駅からタクシーで約10分(片道約200元)
www.px-sunmake.org.tw

 

 

蘇澳鎮

南方澳港

宜蘭県蘇澳鎮南端に位置する南方澳(ナンファンアオ)は、陸続きの島である。外海を黒潮が流れるため、回遊魚の種類が豊富で、遠洋漁業の拠点であるばかりか、台湾三大漁港の一つとなっている。

南方澳の特産はサバ。「サバの故郷」とも呼ばれ、毎年「サバ祭り」が開催されている。平日なら、午後2時以降に港口の「昼市」に行ってみよう。明け方漁に出た船が次々に戻り、新鮮な海の幸が水揚げされ、即売されている。

南方澳港

宜蘭県蘇澳鎮南寧路
 蘇澳駅からタクシーで約5分

 

祝大漁物産文創館

台湾でも新しく建造された漁船には無数の「大漁旗」がはためく。旗には大波や漁獲が描かれ、海上の平安と大漁への願いが込められている。 蘇澳漁協ではこうした漁村の文化を伝えようと、2015年「祝大漁物産文創館」を開館。地場の産業に触れるとともに、新鮮な海産物や加工品もゲットできる。一階には、名物のシイラ・サバ・珊瑚礁が描かれた360度のバーチャル3Dトンネルが設計されている。生き生きと動くリアルな映像に囲まれ、海の中にいるような感覚が味わえる。

祝大漁物産文創館
祝大漁物産文創館
宜蘭県蘇澳鎮江夏路52-2号
+886-3-995-1050
9:00-17:00
zhudayu522.com

 

蘇澳南天宮

南方澳では、住民の多くが漁を生業としてきた。そのため、海の安全と大漁を祈願し、媽祖を祀る人が多い。蘇澳南天宮は1980年に地元民が資金を出し合い建立した。1990年には総重量200キロを超える純金の媽祖像を廟に迎え、話題となった。このほか、20トン余りの巨大な円玉で彫られた媽祖像、中国湄洲から迎えた台湾で唯一の五尊媽祖像も祀られており、地元民の篤い信仰を集めている。

蘇澳南天宮
蘇澳南天宮
宜蘭県蘇澳鎮南正里江夏路17号
+886-3-996-2726

 

好地方食桟

古民家をリニューアルした台湾風食堂。海辺の建物は、湿気と潮の影響を受けるため、築50年の民家はなかなか貴重。当地はかつて造船業で栄えた時期があり、オーナーは、往時の面影をできるだけ残すことに留意し、本体から細部のインテリアに至るまで、歳月の痕跡を巧みに生かしている。メニューも台湾伝統のもので、鳥の唐揚げや牛肉の煮込みを頬張りながら、伝統の家屋に刻まれた歴史に暫し身を委ねてみたい。

好地方食桟
好地方食桟
宜蘭県蘇澳鎮造船路61号
+886-3-995-4808
11:00-14:00、17:00-20:30、火曜定休
 南方澳港からタクシーで約5分、徒歩約20分
www.facebook.com/goodplace8888

 

 

南澳鎮

東澳湾

北の烏岩角から南の烏石鼻まで、約二キロにわたる東澳(トンアオ)湾は、優美な曲線とともに、海と空が溶け合うような端正な景色で知られる。ただここは、アクセスが不便だったことから、いまもひっそりした風情を漂わせているのが特徴だ。まずは蘇花公路の烏岩角寄りのカーブに立ってみたい。青い海と雄大な山脈を見渡せ、人里離れた桃源郷の佇まいが実感できるだろう。

東澳湾

 

粉鳥林漁港

「粉鳥」は「鳩」のこと。昔からハトが多かったのか、東澳湾最南端に位置するこの漁港は「粉鳥林漁港」と呼ばれてきた。東澳湾の奥まった場所にあり、波消しブロックの後方に広がるビーチの美しさは、最近まであまり知られていなかった。開発の手が入っていない小石が広がる浜は、水がきれいで魚群が見えるほど。周辺は岩礁に囲まれ、別世界のようなような静けさに包まれている。

粉鳥林漁港

※2017年8月より環境保護のため宜蘭県政府により当面の間閉鎖中。再開放時期は未定。

 

朝陽漁港

2013年「台湾十大特色漁港」で第一位を獲得した朝陽漁港は、台湾にある230か所の漁港でもっとも新しい漁港といわれる。南澳漁港とも呼ばれ、ちょうど朝陽国家遊歩道の入口にある。付近の海域は資源が豊富で、山と海の景色が美しく、毎日午後4時頃、漁船が港に戻るのにあわせ、海産物を求め大勢の人が集まる。その熱気には目を見張るものがある。

朝陽漁港

朝陽漁港

蘇澳鎮朝陽路
 南澳駅より車で約7分

 

好糧食堂

台北出身のオーナーシェフ、葉さんは、豊かな田園と太平洋の海の幸を擁する南澳(ナンアオ)に居を移し、2013年この自然食堂を開店した。料理はすべて、自家栽培の米、南澳の田畑と漁港から取り寄せる地元食材だけを使用。そのため、予約制を採っており、当日手に入った食材に応じてメニューが組み立てられる。シンプルだけれど最高にヘルシー。おだやかで心地よい空間で味わう、食物・身体・土地に対する敬意がこもった料理は、格別の感動を与えてくれる。

好糧食堂

好糧食堂
好糧食堂
宜蘭県蘇澳鎮南澳路13-1号
+886-919-117-273
週末12:00-20:00、平日は10人以上の予約のみ受付
 南澳駅より徒歩約6分

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

羅東

羅東

羅東の街は、日本統治時代には林業関連の産業が発達し、宜蘭の商業の中心地として栄えた。現在は、家族で一日中楽しめる観光地として人気を集めている。街のあちこちに残る街の記憶を感じながら、ゆったり歩いてみよう。

 

 

宜蘭  南部の旅  マップ

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