新市 ・ 永康 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/溫宏嘉・視野創異行銷

新市 ・ 永康 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

 

新市駅

先史時代の歴史とアートに出逢う

台南市新市区は台南市中部の小さな町。新市駅は1901年(明治34年)に開業した新市街駅が前身で、100年あまりの歴史がある駅だ。街の中心部の駅北側で地元グルメを味わい、さらに足をのばして隣接する南部科学園区(サイエンスパーク)周辺スポットまで遊びに行こう。

新市駅

MAP

 

迎曦湖

台北から台南へ高速鉄道で向かう途中、嘉義駅を過ぎてしばらくすると、進行方向右手の工業地域のなかに、まるで巨大な黄龍が湖上を舞い踊っているかのようなオブジェが見えてくる。これは南部科学園区が訪問者を歓迎するために設置したパブリックアート「舞彩迎賓」。

迎曦湖

高さ27m、幅12m、全長440mの黄龍は角度によって様々な表情を見せ、湖畔の風景に彩りを添えている。湖を一周する遊歩道を歩きながら、ベストな撮影アングルを探してみよう。

迎曦湖

迎曦湖

台南市新市區環東路一段
1.台湾鉄道新市駅から市バス綠1で「迎曦湖」下車すぐ
2.台湾鉄道南科駅から無料シャトルバス藍線南環線で「迎曦湖」下車すぐ

 

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

2017年に開館した考古学博物館。建物本体は巨石に刀で切り込みを入れたような外観を持つモダン建築で、地層を模した壁面に埋められた化石のオブジェ、ガラスの展望室など、思わず写真を撮りたくなるようなポイントが多く、撮影スポットとしても人気がある。

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

南部科学園区内に位置しており、敷地面積約2.42ha、床面積19000㎡を擁する。科学園区の開発にあたり、1995年から園区予定地の中心の台湾製糖道爺・善化農場で遺跡の調査・発掘が行われ、これまでに園区と周辺地域で82か所に上る300年から5000年まえの遺跡が発見されている。

道爺遺跡から出土した陶製人面像をモチーフとしたパブリックアート「蔦松家」

道爺遺跡から出土した陶製人面像をモチーフとしたパブリックアート「蔦松家」

道爺遺跡から出土した陶製人面像

常設展では園区内で発見された6つの文化の代表的な文物を展示している。各時代の風景を再現した等身大模型やCGを駆使した動画などの展示もあり、先史時代の様子がリアルに伝わってくる。発掘現場の様子を再現したコーナーや実際に作業員が遺物を取り扱う作業室も、科学的調査の過程がわかり興味深い。

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

国立台湾史前文化博物館 南科考古館

台南市新市區南科三路10號
06-505-0905
9:00-17:00(最終入場16:30)、月曜休館(祝日の場合は開館)
NT$80
stsp.nmp.gov.tw

1.台湾鉄道新市駅から市バス綠1で「南科商場」下車、徒歩3分
2.台湾鉄道南科駅から無料シャトルバス藍線南環線で「T1 Park17商場」下車、徒歩3分
※臨時休館などは公式サイトで告知

 

新市土地公臭豆腐

地元民と科学園区で働く人たちから熱烈に支持されて28年。店主が毎日、青草を使った発酵液に漬け、熟練の技で発酵度合いと水分を絶妙に調整して作る臭豆腐は、しっかりうまみはありながら独特の匂いはひかえめ。新鮮な油を使い一定の温度で揚げるため、外側はカリッと香ばしく、内側は絹豆腐のように非常に柔らかな、他店にはあまりない珍しい食感に仕上がっている。

右から時計回りで臭豆腐、蛋花湯(卵スープ)、魚丸湯(つみれスープ)、茶葉蛋(煮卵)、煎蛋(卵焼き)

右から時計回りで臭豆腐、蛋花湯(卵スープ)、魚丸湯(つみれスープ)、茶葉蛋(煮卵)、煎蛋(卵焼き)

甘めの醤油だれと香ばしい臭豆腐の組み合わせは初めて食べる人にも食べやすい。付け合わせのキャベツの漬物も自然発酵で、さっぱりした酸味と甘みがありサラダ感覚で食べられる。

新市土地公臭豆腐

新市土地公臭豆腐

台南市新市區民生路33號
06-599-0199
11:00-18:30、月曜定休
台湾鉄道新市駅から市バス綠1で「新市」下車、徒歩3分
※午後は混雑するため予約がおすすめ

 

進福炒鱔魚専科

鱔魚(タウナギ)は台湾南部でポピュラーな食材で、ウナギに似た姿の淡水魚。お湯で戻した揚げ麺と炒めた焼きそば「乾炒鱔魚意麵」やあんかけ麺「鱔魚意麺(焿)」は、台南名物グルメのひとつに数えられる。

左から乾炒鱔魚意麵、花枝意麺(焿)

左から乾炒鱔魚意麵、花枝意麺(焿)

コリコリとした歯ごたえのタウナギの身はくせがなく、ウスターソースに似た台湾の黒酢をベースにした甘めの味付けが香ばしい揚げ麺とよく合う。花枝(イカ)を使ったバージョンも美味しい。唐辛子の粉をふりかけていただこう。

進福炒鱔魚専科

台南市新市區中正路230號
11:00–14:00、17:00–21:00、日曜定休
台湾鉄道新市駅から市バス綠1で「新市」下車、徒歩2分

 

新式胡椒餅

店頭に並んだ窯が目印の胡椒餅店。創業から30年あまりに渡り地元民に愛されてきた。手ごねで作ったパイのような生地で青ネギと豚肉餡を包み、炭火で焼き上げた胡椒餅は、薄い皮の外側はパリッと香ばしく、内側はもっちりした食感で、一口かじると中から熱々の肉汁があふれだしてくる。豚肉餡の肉は粗く刻んであり、食べ応え十分。

左から胡椒餅、咖哩餅

左から胡椒餅、咖哩餅

甘口カレー餡入りの咖哩餅や、キムチ入りの泡菜餅、小豆入りの紅豆餅、ゴマ入りの芝麻餅なども人気だ。新市駅から大通りに出てすぐのところにあるので、電車の待ち時間に立ち寄るのもおすすめ。

新式胡椒餅

新式胡椒餅

台南市新市區中山路280號
13:30-18:30
台湾鉄道新市駅から徒歩1分

 

 

永康駅

台湾の歴史を辿る時空の旅

永康駅は1903年(明治36年)に開業した「蔦松庄停車場」から数えて100年の歴史を持つ。永康駅と保安駅が共同で発行する記念切符「永保安康(永遠に安寧と健康を保つ)」が人気で、現在も記念日に切符が発行される際には長い行列ができる。

永康駅

永康駅

 

国立台湾歴史博物館

国立台湾歴史博物館

台湾の歴史を紹介する歴史博物館。常設展は7つのコーナーに分かれている。「臺灣,交會之島(台湾、出会いの島)」では台湾で暮らす各民族を紹介し、「最初的抵岸(最初の上陸)」では台湾最古の人類はどこから来たどのような人々だったかを考察。「倚海而生的島與人(海によって生きる島と人)」では16世紀以降の外国からの影響を、「山海之間的共存與競逐(山海間での共存と競合)」では17世紀の漢人の大量入植が原住民族に与えた衝撃を描いている。

国立台湾歴史博物館

国立台湾歴史博物館

「新秩序下的苦悶與夢想(新秩序の下での苦悩と夢)」では日本時代に時が移り、「邁向民主這條路(民主化への道)」では台湾社会が戦後の混乱期から民主化に向かっていく。最後の「大家的博物館(みんなの博物館)」では様々な生活用品を通して、過去と現在をつなぐ。各コーナーには貴重な歴史的文物をはじめ、リアルな実物大模型や映像作品、相互体験ゲームなどの展示があり、紀元前から現代に至る、台湾島が辿ってきた物語に触れることができる。

国立台湾歴史博物館

国立台湾歴史博物館

台南市安南區長和路一段250號
06-356-8889
9:00-17:00(最終入場16:30)、月曜休館(祝日の場合は開館)
NT$100
nmth.gov.tw
台湾鉄道永康駅から市バス20で「臺灣歷史博物館(長和路)」下車、徒歩3分
※臨時休館などは公式サイトで告知

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

後壁駅 農村でスローライフとモダンアートにであう旅

新営駅から北に一駅、台南市の最北端後壁駅。良質な米を産出する米の里としても知られる後壁。美しい田園に囲まれた老街で美味しいお米を味わったり、農村でアートを楽しんだり。優しい時間に、心もほっこり。

後壁

 

新営駅 ・ 柳営駅

新営 ・ 柳営

日本時代は製糖業で隆盛を極め、かつて台南第二の街にも数えられた柳営。近代産業の発展を支えてきた工場や鉄道の跡に、歴史の中で奮闘してきた人々の息吹が感じられる。柳営は、「乳郷」の名を持つ台湾全国で二番目に大きな酪農地区。「人よりも牛が多い」といわれる小さな街の小さな駅に降り立って、のんびり小さな旅にでかけてみよう。

 

台南駅

台南 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

レトロな街並みとグルメで知られる台南は、新しいスポットが続々登場してより魅力的に進化中。土地の歴史を感じながらアートやグルメを楽しむ途中下車の旅にでかけてみよう!

 

 

新市 ・ 永康 途中下車マップ

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。