海線 後龍・白沙屯・新埔・通霄 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/朱佳雯 文/高田雅子 写真/宋育玫
台中海線 海を追う旅へ!
台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」、台中線の通称は「山線」といい、区間内にはそれぞれ異なる魅力の見どころが多い鉄道ファンに人気の区間。
目次
後龍駅
風車と風に吹かれて、海岸線を旅しよう。
後龍駅は、竹南駅から始まる台湾鉄道海岸線(海線)第四の駅。後龍までの車窓には、広大な田畑や中港渓の流れなどの田園風景が広がる。2015年12月には後龍鎮内に台湾高速鉄道苗栗駅が開通、アクセスが更に便利に。
好望角
視界をさえぎる物のない高台の上からの眺望は、まさに絶景。緩やかな曲線を描く海岸線に並ぶ風力発電機、時おり平地を駆け抜けていく鉄道が、パノラマの世界に浪漫を沿える。足元から見上げる風力発電の風車も圧巻。美しい夕日の名所としても有名。
苗栗県後龍鎮半天寮
英才書院
清代に設立された英才教育機関を由来とする。現在の建物は、中国閩南地方(福建)建築と各地の書院を参考に建築されたもの。官僚登用試験「科挙」についての展示やゲーム、官僚衣装試着体験、台湾郷土文化紹介の展示などがあり、遊びながら楽しく学べる。
9:00-17:00、月曜定休
Ticket:NT$50
客家円樓
客家円樓は、円形の土壁で囲った客家の伝統家屋「土楼」をモチーフとした施設。館内では客家文化の展示などが行われ、周囲の池には水鳥が泳ぐ。夜間はライトアップされ、建物が池の水面に映る姿は、特に美しい。
苗栗県後龍鎮校椅里7隣新港三路295号9:00-17:00、月曜定休
後龍小吃店
地元民推薦の伝統小吃店。各種麺や水餃子、炒飯などが揃う。中でも、紅麹漬け豚肉を揚げた炸紅焼肉(NT$100)は店を代表するメニューのひとつ。大きな海老が眼を引く海産麺(NT$70)は、野菜がたっぷりで優しい味わい。
苗栗県後龍鎮中山街88-5号平日9:00-21:30、週末定休
白沙屯駅
スローテンポで旅したい、風と海の街。
電車が後龍駅から白沙屯駅まで進む間には、白波が立つ台湾海峡と、更に多くの風力発電の風車が、次々と車窓に飛び込んでくる。風と海が織り成すこの地方独特の風景が、鉄道の旅の醍醐味を感じさせてくれるだろう。
石蓮園火車餐庁
青い空に映える台湾鉄道の青い車両は、廃棄処分される車両を、元台鉄マンだった石蓮園主人が買い取って運んできたもの。本物の車両の中で、駅弁を頬張りつつ、車窓から砂浜を望めば、気分は鉄道の旅そのもの。夏の朝には、敷地内の蓮池に美しい蓮が咲き乱れ桃源郷の趣。海辺も、昼の青空と白い波、オレンジに燃える夕日と、時間ごとに表情を変え、眺めて飽きることがない。車両を改良した民宿での宿泊もおすすめ。
苗栗県通霄鎮白西里19隣153-8号+886-3-7792399
11:00-19:00、水曜定休
※2020年8月末に閉園
拱天宮
1863年の拱天宮創建以前より、媽祖は人々の深い信仰を集めてきた。年に一度の北港朝天宮への媽祖巡礼は、すべての行程が媽祖のお告げによって定められ、数千人の信者が徒歩で移動する。白沙屯媽祖のみで見られる貴重な宗教文化として知られている。
苗栗県通霄鎮白東里2鄰8号
通霄精塩工場(塩来館)
戦前の専売局の流れを汲む国営企業が民営化後、2011年に台湾で唯一の塩業観光工場へとリニューアル。園内は、生産エリア(参観要予約)と塩の博物館「塩來館」エリアに分かれ、緑豊かな屋外エリアには、海洋温泉足湯や物販のコーナーもあり、楽しく遊びながら塩の歴史や効能を学ぶことができる。塩アイスキャンディーも人気。
苗栗県通霄鎮内島里122号売店:平日8:10-17:00,週末8:30-16:30 塩来館8:30-11:30、13:10-16:30、月曜休館
tesf.tybio.com.tw/
新埔駅
ノスタルジックで摩訶不思議なユートピアへGO!!
ノスタルジーあふれる田舎の小さな木造駅舎に降り立てば、海がやさしく旅人を迎えてくれる。白い駅、青い空と海、緑の植栽や畑、極彩色の彫像など、色彩あふれる新埔駅周辺。童心に戻って、小さな冒険に出かけよう。
新埔駅
苗栗の談文、大山、新埔と、台中の日南、追分。これら五つの日本統治時代建設の木造駅舎は、「台鉄海線五宝」と讃えられる鉄道ファン必訪の聖地。中でも新埔駅は、「海に一番近い駅」として人気を集めている。
秋茂園
日本に留学し財を成した黄秋茂博士が、台湾へ帰郷後、母への無限の愛と、世界平和への思いを込め、1976年に自費開園した秋茂園。敷地内には、世界のあらゆる宗教の建物や、十二支や西遊記などの昔話や神話の登場人物、動物や世界の偉人などの、極彩色に彩られた様々な彫像たちが並ぶ。可笑しみのある表情やポーズが笑いを誘うが、ポップな色彩が絶妙なバランスで、独特の美観を漂わせる。カラフルでキッチュな、摩訶不思議ユートピアだ。
8:00-17:00
四窩口
秋茂園西側大門(後門)を抜ければ、目の前には何処までも広がる青い海。堤防上の遊歩道を南に下ると、小さな河口に出会う。ここが四窩口だ。河口に架かる橋と寄り添う東屋が一幅の絵の趣。夕陽も美しい。
通霄駅
台湾近代史を巡る歴史散歩
通霄駅そばを流れる南勢渓は、かつては船が行き交い、通霄は清代より貿易の拠点として栄えた。時代が移った現在も、地域には各時代の名残が静かに息づき、旅人の訪れを待っている。
通霄神社
虎頭山公園の森の中にひっそりと佇む通霄神社は、日本統治時代の昭和12年(1937年)建立。拝殿は戦後、国民党政府により閩南式の「通霄忠烈祠」に改築されたが、鳥居や石垣、参道に並ぶ石灯籠などが、往時の様子を偲ばせる。
苗栗県通霄鎮虎頭山公園
一足のばして行きたい観光スポット
海線の始発駅・竹南駅を訪ねてみよう。新竹市の最も南にある台湾鉄道香山駅。日本式木造駅舎の残る香山駅を過ぎると、鉄道は苗栗県へと進んでいく。苗栗県で最初に鉄道を迎えてくれるのは、鉄道遺跡と美しい風車の風景が広がる崎頂駅、迫力満点の巨大な神像にであう竹南駅。香山 ・ 崎頂 ・ 竹南 ― 風車が回る風の街の、途中下車。
通霄駅の次の駅は、台北駅から自強号で約二時間の苑裡駅。台湾鉄道海岸線、苗栗県内最後の一駅でもある。苑裡駅では、い草の香りが紡ぐ想い出探して街散歩。日南駅の「海線五宝」と鉄道ファンに愛されている懐かしい日本の記憶を留める駅を訪ねる。
海線 後龍・白沙屯・新埔・通霄 マップ
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