海線 大甲・清水・沙鹿 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/朱佳雯 文/高田雅子 写真/宋育玫
台中海線 海辺の街へ旅に出よう!
台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」、台中線の通称は「山線」といい、区間内にはそれぞれ異なる魅力の見どころが多い鉄道ファンに人気の区間。
台中市を走る海線の駅は日南、大甲、台中港、清水、沙鹿、龍井、大肚、追分の八駅。今回注目するのは、タロイモの一大産地大甲、海岸沿いに白い風車の林が並ぶ清水、若者注目のスポットが増加中の沙鹿。さあ、駅めぐりに出かけよう!
目次
大甲駅
タロイモの故郷で、B級グルメに舌鼓!
台中市沿岸部最北に位置し、毎年九月には「タロイモ祭り」が行われるほど、タロイモの産地として有名な大甲は、「大甲媽祖」が鎮座する台湾中部の信仰の要所でもある。土地ならではのB級グルメもぜひ味わいたい。
台湾鉄道大甲駅から徒歩で各スポットへ
鎮瀾宮
「大甲媽祖」と親しまれる台湾中部の信仰の中心。毎年旧暦三月に、十万を超える信者が本殿に祀られる主神の媽祖像を奉じ、九日をかけて徒歩で台中から嘉義の沿岸部をめぐる大巡行は、台湾で最大の宗教行事の一つである。
王元吉炸粿
安くて美味い地元の人気店。「炸粿」とは、米粉と大豆粉で作った生地で肉や野菜を包み揚げたもの。定番は、茄子肉餡(ナス肉餡)、菜頭(大根餅)、蚵仔(カキ)、肉。サクサク香ばしく、ビールがほしくなるかも!?
台中市大甲区文武路37号8:00-17:00
大甲芋頭城
タロイモの郷に来たなら、やっぱりデザートもタロイモを。冬は温かい芋圓湯(タロイモ白玉とタロイモのお汁粉)、夏はさっぱりした芋球酸梅氷(タロイモアイスとかき氷の梅シロップがけ)が人気。
台中市大甲区育徳路68・70号10:00-18:30
裕珍馨
創業50年。老舗の看板商品は、パイ状の生地でバター餡を包んだ中華菓子「奶油酥餅」。胚芽入りの皮でリュウガン・タロイモ餡・餅を包んだ「媽祖餅」、シンプルな皮にタロイモ餡と餅を包んだ「紫玉酥」なども人気。
台中市大甲区光明路67号8:30-22:00
清水駅
美味いものと太陽を追いかけて海辺を目指せ!
清水駅は、夕日の名所高美湿地の玄関口。日本時代の宿舎や先史時代の遺跡など、歴史的に価値あるスポットが残る素朴な街だ。海沿いの梧棲地区では、古い町並みとともに観光漁港で海鮮を楽しみたい。
牛罵頭遺跡・鰲峰山公園展望台
日本の縄文時代に当たる約4500年から3500年前の新石器時代時期に栄えた牛罵頭文化の遺跡。日本時代、神社建設の際に発見された遺跡では、現在遺物の展示を行っている。公園内の展望台からは清水区が一望できる。
牛罵頭遺跡文化パーク(鰲峰山公園内)
台中市清水区鰲海路59号
9:00-17:30、月曜休園
niumatou.taichung.gov.tw
清水眷村文化パーク
「眷村」とは、第二次大戦後に造営された軍人の集落を指す。清水眷村建築群の前身は、日本の軍需工場宿舎。戦後、国民党政府により再利用されていたが、現在は「眷村文化・展示・創作」空間として市民の憩いの場となっている。
台中市清水区中社路信義巷41号+886-4-2228-9111
10:00-17:00、月曜・国定休日休館
qingshuiartvillage.com
高美湿地
高美湿地は近年、夕日が茜色に染める空が、湿地帯の水面に鏡のように映り込む幻想的な美しさから、「台湾のウユニ塩湖」との呼び声が高い。貴重な動植物の保護区である湿地を保護するため、夕日は木道の上から観賞しよう。
高美灯台開放時間:夏季(4/1-10/31) 9:00-18:00、冬季(11/1-3/31) 9:00-17:00、月曜休館台湾鉄道清水駅より178・179号市バスで高美湿地ビジターセンターへ。あるいはタクシー利用
高美湿地 www.gaomei.com.tw
棲観光漁港
冬のボラ、夏のサメ、秋のエビ・カニなど、四季を通し様々な種類の魚が水揚げされる観光漁港。直売所での新鮮な魚介類の購入や、レストランエリアでの食事、観光漁船でのレジャークルーズも楽しめる。夕日も美しい。
台中市清水区海濱里北堤路30号9:00-20:00
台湾鉄道清水駅から111号市バスあるいはタクシーで梧棲観光漁港へ
梧棲老街 朝元宮
漁業の街梧棲では、航海の守護神「媽祖」への信仰が篤い。本尊の木彫神像「開基媽」は台湾で最も古い時代の媽祖神像のひとつで、300年以上人々を見守ってきた。旧暦三月の神像巡行の際には、街中が熱気につつまれる。
台中市梧棲区梧棲路140号台湾鉄道清水駅より306号市バスで朝元宮へ
士官長擀麺
三代続く老舗の名物「擀麺」は、ご主人入魂の巾広手打ち麺にからまる胡麻だれと肉そぼろの組合せが絶妙な、地元の定番朝ごはん。肉団子、ワンタン、豚レバー、豚大腸、卵など具沢山のスープ「綜合湯」や、裏メニューの極太麺「麺片」も人気。昼過ぎには売り切れ必至。朝早く出かけよう。
6:00-13:00、水曜定休
海龍海産部
有名老舗海鮮レストラン。店頭の水槽に並ぶ多種多彩な魚介類はどれも新鮮そのもの。お好みのものを選んだら、炒(炒め物)、炸(揚げ物)、烤(焼き物)、湯(スープ)など、希望の調理法を伝えて注文してみよう。
台中市梧棲区梧棲路152号+886-4-2656-3381
11:00-21:00
榕樹下豆花
海龍海産部の隣、ガジュマルの木の下に店を構える豆乳プリンの店。海鮮を堪能した後のデザートは、こちらで。あずきなどの定番トッピングのほか、小豆ミルク味とチョコ味を同時に楽しめる「双色豆花」も人気。
台中市梧棲区民族街9号+886-4-2657-0477
月曜-土曜10:00-21:30、日曜10:00-18:00
林異香斎
手土産としても大人気の看板商品「鹹蛋糕」は、しっとり蒸し揚げられたスポンジ生地で豚肉・椎茸・赤玉葱の餡をはさんだ、甘めの肉まんのような味わいの菓子。そのほか牛角麺包(台湾風クロワッサン)も人気。
台中市梧棲区梧棲路170号+886-4-2656-2339
9:00-20:00
沙鹿駅
今話題の人気撮影スポットを、カメラ片手に飛び回れ!
駅を降りて、目の前に広がる素朴な郊外の街を見て、特に何もなさそうと侮るなかれ。沙鹿は今、写真撮影が大好きな台湾の若者が注目する人気のスポットが集まるエリアなのだ。カメラマン気分で散策に出かけてみよう!
美仁里彩絵巷
最近SNSで話題の新記念撮影スポット。駅付近の美仁里では、自治会長の呼びかけで、町内美化を目的に、美秀巷と新平巷の路地に半世紀前の生活を描いたところ、レトロポップで可愛いと、全国の注目を集めるようになった。
台中市沙鹿区美仁里 美秀巷より入る台湾鉄道沙鹿駅から徒歩約5分
好好聚落
乙女心くすぐるパステルカラーで彩られたコンテナが並ぶ文化パーク。カラフルな風景が外国に来たかのような雰囲気で、若者を中心に人気を集めている。入り口近くのレストラン「好好小館」の欧風料理も人気。
+886-4-2636-8826
10:00-17:30、火曜休館
入場料一人NT$50(好好小館でNT$100以上消費すると好好聚落に無料で入場できる)
台湾鉄道沙鹿駅からタクシーで約5分
www.facebook.com/agoldenville
秋田武コーヒー
店名の由来は看板息子の秋田犬「小武(TAKE)」から。もう一匹の看板犬「黒美人(KUROMI)」も可愛い、話題のペットカフェ。店舗外壁に描かれたコーヒーを飲む秋田犬と記念撮影するのが人気となっている。
+886-4-2665-7881
10:00-20:00、水曜定休
台湾鉄道沙鹿駅から徒歩約15分
一足のばして行きたい観光スポット
海線の始発駅・竹南駅を訪ねてみよう。新竹市の最も南にある台湾鉄道香山駅。日本式木造駅舎の残る香山駅を過ぎると、鉄道は苗栗県へと進んでいく。苗栗県で最初に鉄道を迎えてくれるのは、鉄道遺跡と美しい風車の風景が広がる崎頂駅、迫力満点の巨大な神像にであう竹南駅。香山 ・ 崎頂 ・ 竹南 ― 風車が回る風の街の、途中下車。
台湾鉄道縦貫線は、苗栗県の竹南駅から彰化県の彰化駅までの間、海沿いを走る「海岸線」と山沿いを走る「台中線」に分かれる。海岸線の通称は「海線」、台中線の通称は「山線」といい、区間内にはそれぞれ異なる魅力の見どころが多い鉄道ファンに人気の区間。
通霄駅の次の駅は、台北駅から自強号で約二時間の苑裡駅。台湾鉄道海岸線、苗栗県内最後の一駅でもある。苑裡駅では、い草の香りが紡ぐ想い出探して街散歩。日南駅の「海線五宝」と鉄道ファンに愛されている懐かしい日本の記憶を留める駅を訪ねる。
海線 大甲・清水・沙鹿 マップ
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