後壁 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/鍾昀彤 文/高田雅子 写真/宋育玫
後壁駅 農村でスローライフとモダンアートにであう旅
台南市の最北端に位置し、良質な米を産出する米の里としても知られる後壁。美しい田園に囲まれた老街で美味しいお米を味わったり、農村でアートを楽しんだり。優しい時間に、心もほっこり。
目次
後壁駅周辺
後壁駅 日本式木造駅舎
明治35年(1902年)に建設されたが、昭和16年(1941年)の嘉南大地震によって傾いたため、現在の形に改築された。往時の面影を留める木造駅舎が、旅人をノスタルジーの世界に誘う。
台南市後壁区後壁里77号
後壁氷糖醤鴨
後壁駅近くにある持ち帰り専門の鴨肉店。甘めの醤油だれで煮込まれた鴨肉は、よく味がしみこんだ絶品おつまみ。鴨の各部位のほか、豚足や煮卵もそろう。ホテルでビールと楽しみたい。
台南市後壁区後壁里後壁42-18号8:00-19:00、年中無休
www.houbi.com.tw/
土溝村
土溝村美術館
土溝の農村生活文化とアートの融合による村の活性化を目指し、2002年に成立した土溝農村文化営造協会。10年の活動が実を結び、2012年に台湾で初となる村の名前を冠した「土溝村美術館」を設立。
村全体が美術館になっており、旅人は一年を通して村を散策しながらアート作品にふれることができる。木曜から日曜に行われるガイドツアーでは、解説を通してより深く村と展示作品を知ることができる。毎年秋には芸術祭が開催されている。(2017年度の会期は2018年4月末まで)
土溝農村文化営造協会
台南市後壁区土溝里56-1号
+886-6-687-4505
木曜-日曜8:30-18:00
アクセス:後壁駅から
平日:大台南バス黄10線でバス停「土溝里」下車
土曜・日曜・祝日:大台南バス黄6-1線でバス停「土溝美術館」下車
またはタクシーで約10分
定時ガイドツアーNT$250/中国語・英語での対応が可能
(3日前までに予約:ガイド、展覧地図、レンタルサイクル1日、NT$50商品券、保険を含む)
レンタルサイクル1日NT$50
https://goo.gl/L3C32w
(ガイドツアー、2018年度の芸術祭等の詳細は公式FBを参照)
優雅農夫芸文農場
もとは土溝村美術館の展示場のひとつだった優雅農夫芸文農場。人気挿絵画家ジミーのキャラクターが出迎える館内では、ドリンクのほか、予約制で農村の幸が味わえる食事を提供。
二階に上がると、アーティスト王国仁氏のカラフルな世界が広がる。二階のほぼすべての空間が王氏の筆で彩られていおり、3D空間を2D風にペイントした不思議な空間の部屋や、生命力あふれる作品を観賞することができる。屋外のアート作品も遊び心満点。居心地がよく、心和むスポットだ。
+886-6-687-1322
木曜-日曜10:00-18:00(最終入場17:00)
大人NT$150(茶菓子、NT$50分の商品券を含む)
無米楽社区
2004年の菁寮の農家を取材したドキュメンタリー「無米楽」で、農家の人々が天気に左右され、時に米の実りが無かったとしても、天を尊び、生活に楽しみを見つけるという内容が大きな反響を呼び、「無米楽の故郷」として一躍全国から注目を集めるようになった。
その後、菁寮と近隣の墨林、後廍、三つの里をあわせた一帯が無米楽社区と呼ばれるようになったという。2006年には菁寮の農家黃崑濱氏が生産した「台農71号(益全香米)」が全国コンテストで優勝、「台湾の米倉」として、さらに全国に名を馳せるようになった。
www.wumiler.url.tw
菁寮老街
以前、嫁入り道具がすべてこの道だけでまかなえた事から「嫁妝街(嫁入り道具通り)」の別名もある菁寮老街。昔ながらの風情が残る老街に足を踏み入れれば、50年代にタイムスリップしたような旅が始まる。
臺南市後壁区墨林里台湾鉄道後壁駅から大台南黄幹線黄6線バスでバス停「菁寮」下車、またはタクシーで約5分
梁家墨林文物館・藍染熊手作坊
前身は、日本時代に菁寮で唯一の医師であった梁耀明医師が開いた重仁診療所。かつての医療器具や農村の生活用品などを展示しているほか、併設の藍染熊手作坊で藍染商品の販売を行っている。菁寮伝統藍染体験DIYも人気。
藍染熊手作坊
台南市後壁区墨林里217号
+886-917-517-435(平日は電話で事前に予約)
土曜・日曜10:30-17:00、月曜-金曜の藍染体験DIYは予約のみ受付(10:00-17:00)
入館無料
瑞栄時計店
店主の殷瑞祥氏は時計の販売修理を営む傍ら、骨董時計の収集に情熱を傾けてきた。チクタク時を刻む骨董時計に埋め尽くされた店内は、博物館の趣き。毎正時には、店中の時計が様々な音色で一斉に時を告げる。
新源成布荘
約百年の歴史を数える老舗布店。台湾らしい花布で作られた枕やバッグは、シンプルなデザインと華やかな色合いで、インテリアやコーディネイトのポイントになりそうだ。
台南市後壁区菁寮里56号
金徳興中薬鋪
200年の歴史を持つ街屋形式建築。色鮮やかな彩色や精緻な彫刻が施された壁や柱が非常に美しい。現在の当主である阮齊氏によって、往時の薬箪笥など貴重な文物が公開されている。
台南市後壁区墨林里191号9:00-11:00、14:00-17:00(家主不在時は屋内参観不可)
室内撮影時はフラッシュ使用禁止
稲稲来米麺包
店名「稲稲来」は、台湾語の「ゆっくりいこう」を表す言葉の発音をもじったもの。休日のみの営業で、米粉100%パンや軽食を提供している。街屋を改築した店内の見学は平日も可。
土曜・日曜・祝日9:00-16:00
オランダ井戸と洗濯場
かつて井戸の周りは村人が集まり洗濯をしながらおしゃべりに花を咲かせる社交場だった。手押しポンプを押すと、300年あまりの時が流れた今も清らかな水をくみ上げることができる。
台南市後壁区菁寮里菁寮129号
茄芷阿嬤工作坊
「茄芷」とは、菁寮生まれの台湾の伝統的な手提げ袋のこと。昔はい草で編まれていたが、現在は多くがナイロンメッシュ製。赤・青・緑の三色がレトロポップで可愛らしく、お土産にぴったり。
台南市後壁区菁寮里菁寮73号+886-6-662-3703
8:00-17:00
無米楽ビジターセンター
多言語のパンフレットが置かれ、旅行の相談にも乗ってくれるビジターセンター。裏手には農村の生活が感じられる古い家並みが続く。観光レンタルサイクルT-Bikeも設置されている。
9:00-17:00
T-Bike利用登録時には台湾の携帯電話が必要
福家碾米場
「碾米」とは、稲を脱穀した後、籾を籾殻と玄米に分ける籾摺りを指す。ふわりとぬかの香りが漂う室内で、今では珍しくなった檜製の籾摺り機が、現役で稼動している。
台南市後壁区菁寮里菁寮11号
富貴食堂
かつて農民が互いに助け合って稲刈りを行い、報酬の代わりにおかずを田んぼに持ち寄り、皆で食べたことに由来する「割稲飯(稲刈り飯)」。甘めの豚角煮と白いご飯の組み合わせが絶妙!
台南市後壁區菁寮里7-2号10:00-14:00、月曜定休
和興氷菓店
地元っ子に愛され80年余りの老舗。基本メニュー「香蕉氷」はバナナフレーバーの氷菓。舌触りはアイスクリームのよう非常になめらか。生の卵黄と香蕉氷を混ぜていただく「鶏蛋牛奶氷」は、プリンのようなまろやかな味わい。紅茶と香蕉氷の組み合わせが爽やかな「香蕉氷紅茶」は、優しくのどを潤してくれる。レトロな店内で、昔ながらの味を味わってみて。
台南市後壁区菁寮里46号9:00-17:00、月曜定休
菁寮小学校
日本時代の1911年開校。校舎裏の林の傍らに1931年に設置された国旗掲揚台跡が残る。旧事務所と講堂は戦後の1950年代の建設だが、日本式和洋折衷建築の特徴を色濃く引き継いでいる。長い歴史と豊かな緑に包まれた美しい小学校だ。
台南市後壁区墨林里282号
菁寮聖十字架天主堂
ドイツ人建築家ゴットフリート・ベーム(Gottfried Bohm)の設計により、1960年に建設されたカトリック教会の聖堂。田園風景の中、銀色に輝くピラミッドのような尖塔がシンボルになっている。
台南市後壁区墨林里294-1号一般開放:土曜・日曜14:00-15:00
一足のばして行きたい観光スポット
嘉義は文化の都とも呼ばれる。日本時代を代表する画家「陳澄波」は嘉義の出身で、国際管楽祭の開催地としても知られる。こうした風土を愛でて近年は当地に根を張り、起業を果たすアーティストも少なくない。「故宮南院」「檜意森活村」などのスポットともに、伝統工芸の工房や個性派ショップを訪ねる小さな旅へご案内しよう。
日本時代は製糖業で隆盛を極め、かつて台南第二の街にも数えられた柳営。近代産業の発展を支えてきた工場や鉄道の跡に、歴史の中で奮闘してきた人々の息吹が感じられる。柳営は、「乳郷」の名を持つ台湾全国で二番目に大きな酪農地区。「人よりも牛が多い」といわれる小さな街の小さな駅に降り立って、のんびり小さな旅にでかけてみよう。
後壁 スローライフの旅 マップ
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