暖暖 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
企画構成/高田雅子 文/高田雅子 写真/季子弘
暖暖駅
山麓の小さな町と静かな峡谷
基隆市の暖暖は、基隆河沿いの小さな町。街の中心街を抜けて、緑あふれる河沿いに歴史遺産を訪ね、さらに基隆河から東勢坑渓を遡って暖東峡谷まで生態観察にでかけてみよう!
台湾鉄道暖暖駅から徒歩で各スポットへ
目次
歴史スポット
暖暖雙生土地公廟
駅前の古くからある商店街「暖暖老街」を抜け、基隆河を渡ったところにある小さな廟。創建は清代の1859年。ひとつの場所で同時に2体の土地公像が祀られている、台湾全国で最も特別な土地公廟だ。廟の右側の福興宮が西勢里を、左側の福徳宮が東勢里をそれぞれ守護している。150年以上にわたりこの土地を守り続けてきた地元住民の信仰の中心だ。
基隆市暖暖区水源路36巷37-1号
百年幫浦間
土地公廟そばの橋のたもとにたつ赤レンガの建物は、日本時代に台湾で初めて建設された浄水施設のポンプ室「百年幫浦間」。台湾総督府が招聘した英国人技師ウィリアム・K・バートン(William K. Burton)が設計し、1899年に完成したポンプ室は、基隆河の水を浄水場に引き込む役目を担っていた。
基隆市暖暖区水源路38-1号02-2458-2233
暖暖 駅近グルメ
暖暖麺店
3代に渡り地元住民に愛されている庶民的な麺店。きしめんのような米粉麺「粿籽條」は、プリッとした食感が楽しい。「餛飩湯」は、細長いワンタン入りのあっさりスープ。つるつるのワンタンの中には、うまみたっぷりの豚肉餡がギュッと詰まっている。付け合わせには、基隆名物の竹輪「吉古拉」がおすすめ。
基隆市暖暖区暖暖街81号8:30-17:00、水曜定休(祝日の場合は営業、翌日休業)
珍味香餅店
暖暖でお土産を購入するならこちら。2019年第5回基隆ネット投票で「特色ある手土産」に選出された看板商品の「帝王酥」は、パイ風の皮の中に小豆餡、餅、塩漬けの卵黄、マカダミアナッツなどが包まれており、幾重にも重なる食感が楽しい。もう一つの人気商品「芝麻核桃餅」は、ゴマとクルミの香ばしさがたまらない一品。
基隆市暖暖区暖暖街182号02-2457-4956
8:30-22:30
www.jws-food.com.tw
Khehsio coffee studio
店内は白を基調としたシンプルでリラックスした雰囲気。客席でゲストがコーヒーを片手に思い思いに寛いでいる姿が、居心地の良さを表している。
手作りケーキのおすすめは、甘酸っぱいレモンパイやココアの香るティラミスなど。ドリンクは、こだわりコーヒーのほか、紅茶やフルーツティーも用意している。
基隆市暖暖区暖暖街224号02-2457-0224
10:00-18:00、月曜・日曜定休
ミニマムチャージ:1人ドリンク1杯/席利用:満席時は2時間
www.facebook.com/Khehsio
自然を楽しむ
暖東峽谷
暖暖老街から東勢坑渓を遡った山中に位置する「暖東峽谷」は、渓流によって切り出された峡谷地形の風景が壮観なスポット。峡谷入口には設備の整ったキャンプ場もあり、休日に泊りがけで遊びに来る行楽客も少なくない。渓流沿いには自然歩道が整備されており、沿路のポイントごとにガイドマップと標識が設置され、初級から上級向けのコースの案内が掲示されているので初心者も安心してハイキングが楽しめる。
前半のハイライトは入口から3つ目の橋から渓流西側に入った上流に位置する「滑瀑」。傾斜角度が35度から45度にもなるという急勾配の滝が1㎞にもわたり続く絶景だ。東側のコースに戻り渓流沿いをさらに上っていくと、4つ目の橋の先にも小さい滝がある。
5つ目の橋の奥には、後半のハイライトである絶壁「峭壁」が広がっている。2種類の岩石が交互に重なる地形を雨と渓流の水流が侵食し、絶壁と洞窟を生み出した。ダイナミックな絶景は疲れも忘れる美しさだ。
暖東峽谷
基隆市暖暖区東勢街
台湾鉄道暖暖駅から603バスで「暖東峽谷(童軍運動中心)」下車
※入口バス停前にお手洗いあり
大菁休閒農場
暖東峡谷の自然歩道を30分ほど上流に上っていくと、歩道の終点近くに小さな赤い祠があり、その先の渓流を渡ると視界が開け、可愛らしい棚田に出る。ここがレジャー農場「大菁休閒農場」だ。
農場名になっている「大菁(リュウキュウアイ)」は、沖縄からインドシナ半島にかけて分布する植物で、古くから伝わる藍染の染料。暖暖は1年のうち200日あまりも雨が降る土地で、この気候と山を覆う樹々が作る木陰が高品質の大菁を育むため、古くから藍染が盛んだったという。
棚田の奥にたつ母屋では暖暖伝統の藍染DIYが体験できる。白い布を濡らして糸やゴムで縛って図案を作り、大菁で造った染料に浸すと、布が青緑色に染まる。よく絞ってから布を広げて空気にさらすと、青緑色だった布が見る見るうちに鮮やかな藍色に変わっていく。よくゆすいで干せば、世界に一つだけのオリジナル藍染が完成だ。
農場では、藍染体験を通して清代に開墾が始まった暖暖の歴史や文化を行楽客に伝えるほか、渓谷の生態観察や周辺の古跡めぐりなどのガイドツアーも行っている。ゆったりした時間が流れる農場で、じっくり暖暖の自然とふれあってみたい。
大菁休閒農場
基隆市暖暖区東勢街100-1号
02-2457-2869
8:00-16:30(要予約)
藍染NT$200から
www.facebook.com/indigohappyfarm
台湾鉄道暖暖駅から603バスで「暖東峽谷(童軍運動中心)」下車、暖東峡谷の自然歩道徒歩約30分
※生態ガイドツアー・農村体験などについては別途問い合わせ
一足のばして行きたい観光スポット
暖暖 途中下車マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。