宜蘭 ~台湾鉄道 途中下車の旅~

企画構成/朱佳雯 文/西野百合子 写真/宋育玫

丟丟噹森林

丟丟噹森林

宜蘭駅 路地を巡り、歴史と未来に出会う旅

清代、宜蘭市は噶瑪蘭廳城と呼ばれ、城壁外部にそって九芎樹(シマサルスベリ)が植えられていたことから別名を「九芎城」といい、宜蘭県の中心として大いに栄えた城郭都市であった。旧市街を中心に、今も各時代の息吹を感じさせる美しい旧建築が残る。ほとんどの観光スポットは徒歩圏内。ぶらり散歩にでかけてみよう。

mapyilan

 宜蘭へは、鉄道のほかに、高速バスの利用も便利。葛瑪蘭汽車客運はMRT台北駅またはMRT科技大楼駅より1916 線で片道129元、首都客運は1571 線でMRT市政府駅より片道120 元、いずれも宜蘭バスターミナルまで直通、所要時間約一時間前後。

台湾鉄道: www.railway.gov.tw/tw
ガマラン:http://www.kamalan.com.tw/route.php
首都:http://www.capital-bus.com.tw/yilan/ticket.html

 

 

スポット

宜蘭駅

宜蘭駅周辺は、2013 年から宜蘭出身の著名絵本画家ジミー・リャオ(幾米)の作品世界をコンセプトとした公共芸術が設置され、キリンが顔を出す宜蘭駅も人気を呼んでいる。

宜蘭駅

キリンが可愛い!

 

丟丟噹森林

宜蘭の旧名「九芎城」を表した鉄製の九芎樹が織りなす森林の中を、幾米作品「星空」の蒸気機関車が駆け抜ける丟丟噹森林。見る人の心を子供時代へと運ぶ絵本の世界は、夜間は明かりが灯り、より幻想的な雰囲気になる。

丟丟噹森林

夜のライトアップもきれいな丟丟噹森林

 

幾米公園

台湾鉄道旧宿舎跡を再整備した幾米公園は、映画化された幾米作品「星空」、「向左走· 向右走」(邦題:ターンレフト・ターンライト)などをモチーフとして、柔らかな色彩の絵そのものが、人を癒す言葉として立ち上るような幾米作品の世界を、各作品ゆかりの場面や主人公たちによって再現している。観光客が宜蘭を訪れる際には必ず立ち寄るといってよい人気観光スポットとなっており、週末には記念撮影をする人で行列ができるほど。

smiling fish

「smiling fish」の水槽と「星空」の主人公たち

向左走· 向右走

「向左走· 向右走」の主人公

「星空」のバス停

「星空」のバス停

空を舞う鹿

空を舞う鹿

 

宜蘭行口

駅を出てすぐ右側にある宜蘭行口は、古書カフェやギャラリーのほか、公共芸術などが設置された文化施設。元は1919 年建設の旧台湾鉄道倉庫。建築は華美ではないが、独特の雰囲気を醸し出している。

宜蘭行口

 

宜蘭トラベルインフォメーションセンター

歴史的建築である旧台鉄運輸段事務所を改装したトラベルインフォメーションセンターは、近隣の観光地図やDMの配布、充電サービスなどを提供する、旅行者の頼もしい味方。

宜蘭ビジターインフォメーションセンター

宜蘭県宜蘭市宜興路一段252号
9:00-20:00

 

旧市街エリア

旧市街エリアに足を踏み入れると、そこは昔ながらの台湾の下町。市場では安価で新鮮な野菜や魚介類が並び、新鮮な食材を求める人々で賑わう。あちこち路地を巡っての、人気グルメの食べ歩きも外せない楽しみだ。

旧市街エリア

美しい古い建物が埋もれるように建っている

旧市街エリア

街の人の生活の様子が垣間見えるのも楽しい

 

宜蘭設治紀念館

宜蘭設治紀念館は、清代に行政首長が任官され統治が始まって以来、200 年の歴史を学べる郷土資料館。館名にある「設治」とは「設官治理」の意。敷地面積800 坪、建築面積74坪を誇る、1906 年建設の和洋式建築は、日本統治時代には宜蘭群群守の宿舎として使用されていた。日本庭園にそびえるクスノキの巨木は樹齢百年を数える。

宜蘭設治紀念館

樹齢百年のクスノキはずっとこの地を見守ってきた

宜蘭設治紀念館

歴史資料がならぶ館内

宜蘭県宜蘭市旧城南路力行三巷3 号
9:00-17:00、月曜定休

 

宜蘭文学館

前身は1926 年建築の旧農校校長宿舎。宜蘭政府により宜蘭文学関連の展示を行う資料館として生まれ変わった。畳の部屋でくつろげる日本家屋カフェとしても人気で、2014 年には金城武主演CMの撮影地として全台湾の注目を集めた。

宜蘭文学館

宜蘭県宜蘭市旧城南路県府二巷19 号
9:00-17:00、月曜定休

 

 

グルメ

阿娘給的蒜味肉羹(旧北門蒜味肉羹)

もとは旧城北路に店を構え常に行列が絶えなかった超有名店。2017年に移転、店名も変更し、新たなスタートを切った。看板メニューの肉羹麺(豚肉のとろみスープ麺)は、大量のにんにくが力強い香気を放ち、食べ進むうちに汗が噴き出す。

北門蒜味肉羹

にんにく香るスープに麺が絡んで美味い!

宜蘭県宜蘭市泰山路239-1号(上記イラストマップは旧住所、現住所は下記マップを参照)
9:00-18:00、日曜- 月曜定休
http://mahogahon.com.tw/

 

北門緑豆沙牛乳大王

宜蘭っ子が愛してやまない、平日も大行列のドリンクスタンド。緑豆沙(緑豆あん)のミルクシェイクは、上品な和菓子のような味わい。ひんやり滑らかなのど越しが心地よく、暑い日にぴったり。休日の混雑時は番号札制。

北門緑豆沙牛乳大王

こちらも行列になる大人気店

宜蘭県宜蘭市中山路三段208 号
10:00-18:00、日曜- 火曜定休
https://www.facebook.com/BeimenMilk/

 

古民家カフェ「賣捌所」

日本家屋をリノベーションした古民家カフェ。店名の「賣捌所」は、読み方も日本語で「うりさばきしょ」。台北のライブハウス「THE WALL」の姉妹店で、店内ではCDやオリジナル雑貨などが販売され、週末にはライブも開催される。おすすめはアップルタルトなどのスイーツや各種フレイバーのビール。看板犬ポニョも人気。

古民家カフェ「賣捌所」

もとは宜蘭煙草売捌き所だった建物は1937年の建設

アップルタルト

アップルタルト

なつかしい風情

なつかしい風情

宜蘭県宜蘭市康楽路38 号
10:00-22:00、火曜定休
https://www.facebook.com/UriBistro/

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

礁渓

礁渓

宜蘭県東北部に位置する礁渓は、台湾で唯一平地にある温泉地。泉質は透明無臭の弱アルカリ性の中性泉で、皮膚を滑らかにする「美人湯」。駅を降りれば、すぐ目の前に足湯がお出迎え。土産物屋やホテルが林立する昔ながらの温泉街は、気取らない雰囲気で散策も楽しい。台北からのアクセスも良く、日帰りで楽しめる。

 

羅東

羅東

羅東の街は、日本統治時代には林業関連の産業が発達し、宜蘭の商業の中心地として栄えた。現在は、家族で一日中楽しめる観光地として人気を集めている。街のあちこちに残る街の記憶を感じながら、ゆったり歩いてみよう。

 

 

宜蘭 途中下車の旅マップ

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。