街角の素敵な店「 台北好店 」(下)

写真/甦活創意管理顧問公司・各店舗提供

街角の素敵な店「 台北好店 」(下)

 

街角の素敵な店「台北好店」

数十年の歴史をもつ老舗や個性あふれる商店から選出された21軒の「台北好店」が、台北市政府の店舗改造計画「台北造起來」の指導のもと、装いも新たに生まれ変わった。リニューアルした「台北好店」は、大通りから路地裏まで台北のあちこちに佇んでいる。街を歩けば、次の街角で魅力的な台北の生活情報に出逢うことができるだろう。

 

 

情感あふれる庶民派グルメ

元味串焼 Skewers Home

漂う串焼きの香りと人情味

始まりは1台の屋台だった。夜になり赤い蛍光灯が点ると、顧客が続々と列をなし串焼きの焼き上がりを待つ。食材は先に漢方入りのたれで煮込み、味を染み込ませてから焼き上げる。炎で肉汁を閉じ込めた串焼きを袋に入れて顧客に手渡す。鶏もも肉、三星ネギのベーコン巻き、さつま揚げ、凍り豆腐など、どれも必食メニューだ。たれを塗り、串を返し、またたれを塗り――こうしてオーナーは40年あまり焼き台を守ってきた。美味しい串焼きを味わうために、じっくり待つのも至福の時間。焼きあがったら、熱々をいただこう!

元味串焼 Skewers Home 台北好店

元味串焼
台北市萬華区西昌街111号
02-2311-1301

 

玉林鶏腿大王 Frying Chickenleg

総統も愛する黄金色のフライドチキン

創業から60年を超えた今も、鍋を満たす油が冷めることはない。衣をつけた鶏もも肉を油で揚げ、テーブルに運ぶ直前に特製だれをひと振り。「カリッ!」 一口噛めば、心躍るような旨味が広がる。総統も褒めたたえたというのも納得の美味しさだ。店内には、評判を聞きつけて訪れた観光客や若いカップルのほか、祖父母から孫まで3代がテーブルを囲む姿も見受けられる。オーナーはあるお爺さんがお孫さんに、こんな話をするのを聞いたことがあるという。「自分がまだ血気盛んな少年だったころから、このお店のフライドチキンが大好きだった。年を取って歯もなくなってしまったけれど、兵役中の休暇に毎回必ず食べた懐かしい味は、今でも忘れられないんだよ。」

玉林鶏腿大王 Frying Chickened 台北好店

玉林鶏腿大王
台北市萬華区中華路一段114巷9号
02-2371-4920

 

艋甲大豊 Da Fond Fishball

熟練の職人技が光る練り物

台湾人は火鍋が大好き。そのため多種多様な練り物が発展してきた。なかでも絶対に欠かせないのが「魚丸(つみれ)」だろう。「艋甲大豊」は龍山寺近くの東三水街市場に店を構える老舗。店名の「豊」の字は豊かな収穫を意味するほか、店が使用する食材が新鮮で信頼できるものであるという意味も込められている。主力商品は魚のつみれ。イカの身の粒が噛みしめられるイカ団子「花枝丸」、手で削ったゴボウの天ぷら「牛蒡酥」、昔ながらのエビ揚げ「蝦捲」など、どれもオーナーが積み重ねてきた経験をもとに、伝統的な味わいと現代人の好みを掛け合わせて作り出した逸品ぞろい。旧正月前になると常連客が朝7時から店頭に並ぶ光景に、現地での絶大な人気がうかがえる。

艋甲大豊 Da Fond Fishball 台北好店

艋甲大豊
台北市萬華区三水街62号
02-2306-0532

 

餃當家 Go Dumpling

小麦粉をまとった真摯な愛情

ミントグリーンのドアを開けるたび、若社長は子供のころを思い出す。当時、軍人村の路地で豚肉を売っていた祖父母は生活が苦しく、祖父は手ずから豚肉を包んで餃子を作り、孫たちに食べさせていた。時がたち、祖父が残したレシピで餃子を作り始めた父親は、食材をさらに吟味。台湾国産の豚肉と牛肉を使い、いくつものメニューを編み出した。柔らかく艶がある餃子は、ラー油や店の特製だれをつけると、さらに旨味がひきたつ。餃子のお供には、最良の友である酸辣湯もお忘れなく!

餃當家 Go Dumpling 台北好店

餃當家
台北市士林区徳行東路194号
02-2834-0193

 

三六食粑 RiceCaking

丸くて甘いおしゃれな餅菓子

湯気の上がる蒸籠のふたを開けると、亀の姿を模した餅や草餅が可愛らしい姿をのぞかせる。70年あまり前、初代女将と2人の義理の娘は、毎朝蒸しあがったばかりの餅「粿」を携え河を渡り、龍山寺前の屋台で販売していた。やがて餅が評判を呼ぶにしたがい、白玉スープ「湯圓」、焼餅、紫米とリュウガンのお粥「紫米桂圓粥」などのメニューも増えていった。時代が移り、参拝者の供え物が伝統的な餅菓子からスナック菓子に変化していくなかで、「小ぶりでおしゃれな商品なら、ギフトにも供え物にも最適だろう」と生まれたのが、ミニサイズの餅ギフトセット「小食粑」だ。龍山寺の参拝後には店に立ち寄って、「円満」を意味する甘い白玉スープを食べて幸運を祈ろう!

三六食粑 RiceCaking 台北好店

三六食粑
台北市萬華区三水街92号
02-2306-3765

 

 

心身をリフレッシュする自然の魔法

有多聞 UtoPia Spices

魔法のスパイス体験館

タイ料理からインド料理、台湾の煮込み料理にいたるまで、スパイスはさまざまな料理で味わいにアクセントを加える大事な引き立て役。しかし「有多聞」の店内では、スパイスは厨房のわき役ではなく、あくまでも主役だ。世界中から集められた160種あまりにおよぶ東洋と西洋の香料が並ぶ店内は、まさに「スパイスのユートピア」。現オーナーの義理の父である初代オーナーは調味料にひとかたならぬ情熱を持ち、顧客と深い信頼関係を築いてきた。リニューアルした現在、老舗はスパイス館に体験活動を取り入れ、業界に新しい風をもたらしている。

有多聞 UtoPia Spices 台北好店

有多聞
台北市大同区西寧北路104号
02-2556-6048

 

 

針と糸の魔術師

栄業花邊 LaceGlory

レースより繊細な男心

ショーウィンドウの奥に、繊細で柔らかなレース生地が並んでいるのが見える。「栄業花邊」は、織布業界の中でもあまり知名度の高くない、刺繍やジャカード織、レーステープのほか、高品質のフランス風レースを製造している会社。青年時代に南部から台北にやってきたオーナーは21歳で紡績業界で修業を始め、29歳で独立し「栄業」を立ち上げた。台湾の紡績業は分業が複雑なため途中で調整が欠かせないが、栄業はきめ細やかなサービスと確かな品質管理を強みに、世界的ファッションブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」の生地仕入先にも選ばれるほど高く評価されている。これからも積極的に国内外の展示会に参加し、台湾産レースの名声を高め続けてくことだろう。

栄業花邊 LaceGlory

栄業花邊
台北市大同区南京西路155巷1号
02-2555-2826

 

漫花時 Manoirs

客家花布と豆花のワルツ

壁一面にかけられた客家人の伝統的な花柄模様の布地「客家花布」は、まるで牡丹の花が咲き乱れているかのよう。イギリスに留学経験のある2代目は「自分が子供のころ、よその子供たちが公園で遊んでいたときに、私と妹は布の山の中で転げまわっていました」と回想する。近年、台湾の布業が徐々に衰退してくなか姉妹は力を合わせ、国外に出向き織布業者を訪ねたり、新しい柄の布を売り出したり、客家花布を使ったユニークな浴衣やエプロンなどの製品を開発したりと、積極的に新しい方向性を開拓している。店を訪ねたら、おかみさんお手製の豆腐プリン「豆花」と寒天ゼリー「石花凍」もぜひ味わいたい。なめらかなのど越しと優しい甘さが忘れられない逸品だ。

漫花時 Manoirs

漫花時
台北市大同区迪化街一段8号
02-2556-0545

 

 

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