台南 ~台湾鉄道 途中下車の旅~
文/高田雅子 写真/季子弘
台南駅
新しい台南の魅力を発見!
レトロな街並みとグルメで知られる台南は、新しいスポットが続々登場してより魅力的に進化中。土地の歴史を感じながらアートやグルメを楽しむ途中下車の旅にでかけてみよう!
目次
新観光交通
陸上と水上新しい角度から台南を楽しむ
双層巴士(台南2階建てバス)
台南市街地でひときわ目を引くグリーンの2階建てバスは、2018年に登場した新しい観光バス。オープントップバスに乗って、いつもより高い位置から台南の街並みを眺めながら、一味違った観光が楽しめる。
運行コースは、台南駅から西側の安平地区までの人気スポットをめぐる「西環線」、市の中心部の夜景を楽しむ「星光線」、台南駅から奇美博物館までの東側エリアをめぐる「東環線」の3路線。台南2階建てバスのチケットは当日有効期限内乗り降り自由。
半券を提示すれば、当日は市バスの大台南公車にも無料で乗車できる。観光地やレストランの優待クーポンもついているので、途中下車して思う存分台南を遊びつくそう。
全コース、台南駅北側バス停(台南駅地下通路北2 出口)より乗車+886-6-221-9177
4時間パスNT$300、1日パスNT$500、イヤホンガイド貸出NT$100、Wifi 無料
時刻表・子供料金などは公式サイトを参照(日本語)
tainansightseeing.com.tw/jp.html
立驛国際安平遊港遊運河
日本人技師松本虎太氏が設計した現在の安平運河は、日本時代の1926年に完成してから、長く外海と市街地を結び台南の繁栄を支えてきた。2017年12月には運河遊覧船の運行がスタート。
主な運行コースは、市街区の安平運河・安平商港・安平漁港の三つの水域の人気スポットと12本の橋をめぐる「全航段」、安平運河沿岸の景色と6本の橋めぐりを楽しむ「中国城航段」、ライブ演奏とともにロマンティックな夜景を眺める「星光航班」など。
運河の途中には水面から橋桁までの高さがわずか60cmの橋もあり、通過する際には乗客全員が腰をかがめなければならず、意外なスリルも味わえる。普段はみることができない水上からの台南の風景を楽もう。
台南市安平区安億路(安平漁人碼頭)+886-903-232-168
料金はコースにより異なるNT$300-NT$500
詳細は公式サイト参照(中国語)
anpingcanal.com.tw
満潮・干潮の時間に運行時間が異なったり、要予約のコースもあるため、事前に公式サイトでチェックを。中国語での問い合わせはホテルのフロントにお願いするのがおすすめ。
注目の新スポット
美術館が魅せるアート都市TAINANの横顔
台南市美術館1館
ガジュマルの樹が見守る歴史空間とアートの融合
「台南市美術館」は、いま台南で最も注目を集めている新スポット。2018年にオープンした1館の前身は、日本時代の1931年に落成した旧台南市警察署。台南州技師の梅澤捨次郎が設計したアール・デコ様式の特徴を持つ建物は、伝統技法を用いて修復され、建築当初の優美な姿を甦らせている。まずは建物全体をじっくりと鑑賞しよう。
アート作品の展示は主に本館裏手に建設された新館で行われている。大きなガジュマルの樹が植えられた中庭は、来館者の憩いのスペース。中庭横のカフェ「Revival Coffee Roasters 温故知新咖啡館」では、観葉植物の緑が心地よい空間で本格コーヒーや軽食をいただきながら、ゆったり観覧後の余韻に浸ることができる。
台南市中西区南門路37号+886-6-221-8881
9:00-17:00、金曜・土曜9:00-21:00、月曜休館
NT$200
www.tnam.museum
台南市美術館2館
白く輝くモダンなエコ建築は新しい街のランドマーク
2019年1月にオープンした2館は、日本人建築家・坂茂氏が設計を担当。角度を変えて五角形が幾重にも重なるデザインは台南市の樹である鳳凰木の花がモチーフ。館内の吹き抜けには、屋根のアルミの傘を通して、木漏れ日のように優しい光が降り注ぐ。合計16室ある展示室の総面積は508m²。現在のところ、台南と縁が深い台湾人アーティストの作品を中心に展示しており、いままで知らなかった台湾アートの世界にふれることができる。
歩きつかれたら2階の「!’M COFFEE」でコーヒーブレイク。お店一押しのなめらか食感のティラミスは甘さ控えめでコーヒーにぴったり。帰りは1階のミュージアムショップにも、ぜひ立ち寄りたい。
台南市中西区忠義路二段1号+886-6-221-8881
9:00-17:00、金曜・土曜9:00-21:00、月曜休館
NT$200
www.tnam.museum
アートスポット
懐かしいのに新しい台南で楽しむアートさんぽ
藍晒図文創園区
旧司法宿舎をリノベーションした文化施設。新光三越側正面入口の青い壁に白いラインが描かれた3Dアートが目印だ。パブリックエリアのウォールアートやオブジェがレトロな宿舎群とユニークなコントラストを見せており、SNS映えフォトスポットとして若者の人気を集めている。旧宿舎群にはMIT(メイド・イン・タイワン)のクリエイターズグッズ・ショップやレストラン、カフェが入店。一軒一軒ゆっくり見て歩けば、「いまの台湾」を発見できるだろう。
藍晒図文創園区
台南市南区西門路一段689巷
+886-06-222-7195
屋外24時間、店舗営業時間は各店舗による
bcp.culture.tainan.gov.tw
社区自造
MADE INCOMMUNITY
台南市各地の社区(コミュニティ)が生産する「メイド・イン・タイナン」のプロダクトを紹介しているアンテナショップ。北部の後廍社區の伝統的なナイロンメッシュ製買物バッグ「茄芷」をアレンジしたリュックやバッグは、赤・青・緑の三色がレトロポップで可愛らしい。
南部の喜樹社区でおばあちゃんたちが作るリアルな魚や野菜のバッグはアートグッズとしても注目を集めている。檨林社区の三角い草製品は軽くて湿気に強く、見た目も涼やか。ほかにも各社区ごとに特色がある日用雑貨や食料品がそろっていて、台南ならではのお土産に出合える。
藍晒図文創園区(BLUES1区)
OurBar
台湾のレトロなアイスバーを、ポップでキュートな新しいイメージで提供している「OurBar」。イタリアンジェラートとシャーベットの技法を組み合わせたアイスバーは低脂肪でヘルシー。やわらかな口どけと天然フルーツのやさしい甘さが絡み合うフレッシュな味わいだ。もちろん、防腐剤や着色料も不使用。季節のフルーツを使用しているため、季節ごとにラインナップが変わるのも楽しみ。迷ったら味見も可能なので、スタッフにお願いして一番好きなフレーバーを見つけよう。
藍晒図文創園区(F3区)12:00-21:00、火曜定休
ご当地グルメ
めざせ!必食台南グルメ1Day制覇!!
冰郷
マンゴーかき氷
夏のマンゴーかき氷「芒果牛乳冰」は、巨大な器にそびえるマンゴーの山に圧倒される超大盛り。マンゴーは愛文マンゴー、金煌マンゴーなど数種類をミックス。別添えのマンゴーソースを加えるとマンゴー味がさらにパワーアップ。冬のイチゴも人気。
台南市中西区民生路一段160号12:00-21:00、営業時間変更や臨時休業はFacebook ページで告知
www.facebook.com/icecountry160
マンゴーかき氷は売切れ次第終了のため、開店前に並んで整理券をもらうのがおすすめ
南興鱔魚意麺
タウナギの焼きそば
「鱔魚(タウナギ)」は、台湾南部でよく食べられているウナギ似の淡水魚。「乾炒鱔魚意麺」は油で揚げた麺をもどして炒めた焼きそば。香ばしくコリコリした歯ごたえのタウナギと甘めの味付けの麺がよく合う。あんかけ麺「鱔魚意麺」も美味しい。
台南市中西区康楽街92号11:00-23:00
矮仔成蝦仁飯
エビの炊き込みご飯
台南にエビご飯「蝦仁飯」の店は数あれど、必ず訪れておきたいのが1922年創業の「矮仔成」。醤油風味のかつおだしで炊いたご飯の上にエビがたっぷり。アヒルの半熟目玉焼きをのせて、黄身をくずしながら食べるのも美味。
台南市中西区海安路一段66号8:30-19:30、火曜定休
卓家汕頭魚麺(閉店)
魚のすり身麺
「魚麺」は、魚のすり身を平麺に仕上げた台南のご当地麺。トッピングの海苔と一緒にほおばれば、口の中に海の香りが広がる。お碗が小さめなのでするっと食べられる。付け合せには味がよくしみた煮玉子や厚揚げがおすすめ。
台南市中西区民生路一段158号10:00-20:00
※閉店しました。
水仙宮古早味鍋焼麺
鍋焼き揚げ麺
台南名物「鍋焼意麺」は、油で揚げた麺を和風だしで煮込んだ見た目も味も鍋焼きうどんのような麺。水仙宮の隠れメニュー「隠蔵版」はエビとイカが入った豪華仕様。海鮮の甘みが溶けこんだスープが香ばしい麺と好相性。
台南市中西区友愛街113号11:00-14:00、16:00-20:00、土曜・日曜は昼休憩なし、水曜定休
邱家小巻米粉
イカビーフン
うどんのように太いビーフン「米粉」をイカのだし香るスープでいただく「小巻米粉」は、新鮮なイカの美味しさが存分に楽しめる。イカのぷりぷり感と、ビーフンのつるつる感が口の中で生み出すハーモニーも楽しい。
台南市中西区国華街三段5号11:00-17:00、休業日はFacebook ページで告知
www.facebook.com/Chiu.RiceNoodlesWithSquid
一足のばして行きたい観光スポット
新営駅から北に一駅、台南市の最北端後壁駅。良質な米を産出する米の里としても知られる後壁。美しい田園に囲まれた老街で美味しいお米を味わったり、農村でアートを楽しんだり。優しい時間に、心もほっこり。
日本時代は製糖業で隆盛を極め、かつて台南第二の街にも数えられた柳営。近代産業の発展を支えてきた工場や鉄道の跡に、歴史の中で奮闘してきた人々の息吹が感じられる。柳営は、「乳郷」の名を持つ台湾全国で二番目に大きな酪農地区。「人よりも牛が多い」といわれる小さな街の小さな駅に降り立って、のんびり小さな旅にでかけてみよう。
台南 途中下車の旅マップ
※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。