竹東 懐かしくて新しい客家の小さな町

文/張立宇 写真/張立宇・宋育玫

台三線LOGO

懐かしくて新しい客家の小さな町

新竹県 「竹東鎮」

竹東(ジュードン)は、台湾本島西北部、新竹県のほぼ中央に位置し、客家(ハッカ)の人びとが数多く暮らす町。竹東ではまず、「竹東文創芸術村」で若者たちの物作りのエネルギーを感じてほしい。また「竹東林業展示館」「蕭如松芸術パーク」では、地方産業の歩みや現代アートの息吹に触れることができるだろう。半世紀以上の歴史を誇る竹東市場では、庶民の暮らしぶりに接し、客家伝統グルメを楽しみたい。

新竹県 「竹東鎮」

 台湾鉄道竹東駅を下車、徒歩で各スポットへ

 

台三線=ロマンチック街道とは?

日本に奥の細道があるように、台湾には台三線がある。台三線は俗に内山公路と呼ばれ、台北から屏東まで本島を南北に貫く総延長436.8キロに及ぶ街道。そのなかで「台三線客庄浪漫大道(客家の里ロマンチック街道)」は桃園平鎮から台中新社までの約150キロを指し、その間沿線には客家の集落が続く。

台三線

 

 

洗練されたアートの息吹

竹東文創芸術村

2017 年にオープンした竹東の新文化スポット。台湾鉄道の官舎跡を整備した園内は、時代の足跡を感じさせる独特の雰囲気が漂う。各エリアごとに、絵画やインスタレーションなどが置かれ、新旧が融合したアート空間となっている。

園内の壁はアブラギリの花など客家をイメージした壁画で彩られている。広場では、週末などにコンサートやバザールが開催され、多くの人々が訪れる。2 階から眺める園内の景観も印象深い。

地元アーティストの作品にもふれられる

地元アーティストの作品にもふれられる

竹東文創芸術村
竹東文創芸術村

 

舊事生活

インダストリアルな開放感のあるインテリアが特徴。骨董のソファや革張りのスーツケース、レコードプレーヤーなどが置かれ、赤レンガの壁との取り合わせが温みのある空間を産み出している。食事のメニューは客家の要素がいっぱい。揚げ物の盛り合わせには地場の野菜とともに客家風餃子の「三角仔」を使用。飲み物には客家伝統の「擂茶」とミルクを合わせた「擂茶歐蕾」や薬草茶の「降火茶」を用意している。

舊事生活

舊事生活

新竹県竹東鎮東林路194 巷8 号D 棟1 階
+886-975-865-891
11:30-20:30、火曜定休
www.facebook.com/oldncrazy2017/

 

一起灶

CMディレクター、客家花布・柿渋染めの専門家が共同で立ち上げた、「夢を売る」プラットホーム。職人やパフォーマーに表現の場を提供している。通常はギャラリーや陶芸教室を運営しており、休日には不定期でイベントを開催。カフェテラスでは、軽食のメニューも用意しており、地産の東方美人茶や客家伝統の擂茶をゆっくりと楽しむことができる。

一起灶

一起灶

一起灶
一起灶
新竹県竹東鎮東林路194巷12号
+886-905-373-953
13:30-19:30、木曜・金曜定休

 

853泰雅農市集

タイヤル・ファーマーズマーケット

一見ツリーハウスのようなショップのテーマは、台湾原住民のタイヤル。1階は農産物、2階は民族衣装がモチーフのグッズを販売。ファーマーズマーケットでは山間部に暮らす原住民の特産品のほか竹筒飯やバナナご飯・キノコソース・特製スパイス・アワ酒などを販売している。山の食材を使用したタイヤル風の料理もぜひ味わいたい。

853泰雅農市集

バナナご飯

バナナご飯

キノコソース

キノコソース

新竹県竹東鎮東林路194巷6号
+886-926-151-516
10:00-20:30、月曜定休

 

 

ゆっくり楽しむ竹東

竹東林業展示館

竹東は早くから林業の街として栄えた。1943年には植松材木竹東出張所が設立され、周辺には貯木場や製材所が建てられた。林業の衰微とともに、遊休化していたが、1995年に竹東林業展示館として再スタート。館内では林業にまつわる道具や文物を展示し、竹東の林業の歩みや故事を紹介している。風情のある庭園は、緑に包まれた公園のようだ。

竹東林業展示館

竹東林業展示館

新竹県竹東鎮東林路141号
+886-3-595-2012
9:00-12:00、13:00-17:00、月曜・火曜休館

 

竹東アニメパーク

竹東アニメパークは竹東駅のそばにたつ。園内には、メルヘンなキノコハウスやフラワーガーデン、3Dアート、今にも動き出しそうなトランスフォーマー、レトロな列車、恐竜の像など子供たちをわくわくさせるものが満載。すぐそばに内湾線の軌道があり、田園を走るラッピング列車を間近に見ることができる。

園内巡りの楽しみは、脱出ゲームの要領で、クイズのチェックポイントが設けてられている点だ。パビリオンを出入りしながらクイズを解いていき、親子で頭を回転させながらゴールを目指す。

竹東アニメパーク

竹東アニメパーク

新竹県竹東鎮東林路196号
+886-3-596-6886
9:30-18:00
NT$150元(クイズゲームとステージパフォーマンスは別料金)

 

篁城竹簾文化館

竹東に隣接する新竹県尖石郷・五峰郷は、桂竹の産地として知られる。1955年創業の「篁城竹簾」は桂竹の売買をしていたが、現在は台湾で唯一、竹すだれを専門に製造する工場となっている。館内では「簾(すだれ)」を編む工程を見学できるほか、竹を使った食器や玩具を購入できる。2階には竹製の楽器が展示されており、形や大きさにより異なる音色を楽しめる。

篁城竹簾文化館

篁城竹簾文化館

新竹県竹東鎮仁愛路370巷31号
+886-3-595-6965
9:00-17:30、日曜休館
 館内ガイドは要予約

 

蕭如松芸術パーク

蕭如松は台湾の美術史上、重要な水彩画家で、半世紀近く新竹の美術教育に尽くし、1992年に亡くなった郷土の偉人。2008年より、蕭如松の住宅を含む一角を文化パークとして整備し、一般公開している。

園内には、赤レンガの塀と日本家屋が、刈りそろえられた植栽のなかに佇んでいる。屋内には、ギャラリーや文化イベントスペースのほかにカフェもあり、歴史ある建物内で静かにコーヒーを楽しめる。庭先で猫が昼寝をしていることもあり、のんびりした雰囲気が心地よい。

蕭如松芸術パーク

蕭如松芸術パーク

新竹県竹東鎮三民街60号
+886-3-595-6009
10:00-18:00、火曜定休
NT$100(半券で園内消費NT$50割引)

 

 

竹東のご当地グルメ

阿英湯包

注文に応じその場で蒸す小籠包「湯包」は竹東夜市の名物。中にはネギと豚肉がたっぷり入っており、熱々のスープが口の中にあふれ出す。辛党は自家製チリソースにもチャレンジしてみたい。蒸し餃子や羊肉のとろみスープ「羊肉羹」も人気。

阿英湯包

阿英湯包

新竹県竹東鎮東林路32号
+886-955-975-322
15:30-23:00

 

新福飲食店

旧市場内に店を構える創業70年の老舗は、なかなかたどり着けない店として有名な人気店。客家風の炒めもの「客家小炒」やモツのショウガ炒め「薑絲炒大腸」、客家のライスヌードル「粄條」など、地元の家庭料理が満喫できる。

粄條

粄條

客家小炒

客家小炒

新竹県竹東鎮商華街41巷10号
+886-3-596-2462
10:30-14:30、17:20-20:30

 

葉媽媽魷魚羹

市場の屋台から身を起こして60年余りの老舗。看板のイカのとろみスープ「魷魚羹」はスルメイカや肉つみれ、炒めた野菜がたっぷり。特製ソースが甘辛いスープを引き立てる。もち米の蒸しご飯「糯米飯」とあわせていただきたい。早朝から深夜まで営業。

葉媽媽魷魚羹

新竹県竹東鎮仁愛路362号
+886-3-594-8099
5:00-22:00

 

大湯圓食堂

台湾らしい雰囲気でいっぱいの食堂。看板の「大湯圓」の中には、ひき肉やキノコを使った餡が包まれている。ひと口かじると味と香りが一気に広がり、濃厚なスープが塩味を引き立ててくれる。各種客家料理も取り揃えており、大人数でも小グループでも楽しめる。

大湯圓食堂

新竹県竹東鎮長春路一段133号
+886-3-596-2469
10:30-14:00、16:30-21:00、木曜定休

 

李記米苔目

老舗の屋台。看板の米苔目(ライスヌードル)はつるつるの食感が人気。トッピングは緑豆とタピオカだけというシンプルな「米苔目冰」は竹東人にとってなじみ深い夏の定番スイーツ。冬場の米苔目の焼きそばも、また違った美味しさが味わえる。

李記米苔目

新竹県竹東鎮仁愛路312号の屋台
+886-910-296-578
6:00-12:00

 

 

一足のばして行きたい観光スポット

内湾線

内湾線

台湾鉄道新竹駅を起点とする、全長27.9kmの内湾線は、素朴な田舎の風情が楽しめると人気のローカル線。竹東、合興、内湾の三駅を歩く途中下車の旅。帰りに新竹によって廟口の小吃を楽しむのもおすすめ!

 

 

竹東 観光マップ

 

※掲載情報は取材時のものであり、現在の情報とは異なる場合があります。