「台湾感性」 を感じる艋舺――新章
写真/甦活創意管理顧問公司・各店舗提供

「台湾感性」を感じる艋舺――新章
レトロな鉄窓花、古びた赤レンガ、所狭しと並ぶ看板、活気あふれる夜市……。台湾のこうした何気ない街角の風景が、近年韓国人観光客に「台湾感性」と呼ばれ始めたことから、あらためて台湾国内でも注目を集めている。なかでも艋舺(モンガ)は、その典型ともいえる場所だろう。
艋舺(現在の萬華)は、台北で最も早く開拓が始まった土地で、清代には淡水河の港湾交易によって大いに栄えた。ここには、龍山寺をはじめとする活気あふれる廟の信仰文化や庶民的なグルメがある一方、路地の奥で100年以上続く薬草文化を受け継ぐ青草巷や、清代と日本統治時代の面影を今に伝える剝皮寮歴史街区も残されている。
文化が息づくと同時に、庶民の活気とにぎわいに満ちた台北の旧市街では、長年にわたる政策の後押しを受け、老舗が次々と生まれ変わってきた。例えば、100年続くイカのとろみスープの名店「兩喜號」、ミシュランのビブグルマンに8年連続で選出された「小王煮瓜」、3代続く青草茶(ハーブティー)の老舗「老濟安」、60年にわたり地元で愛される魚丸の名店「艋舺大豐」、そして「九日咖啡」などだ。
さらに、新たな都市開発の考え方が取り入れられたことで、ここ2〜3年の間に昔ながらの小さな店が、地元の文化や特色を取り入れつつ、現代的な美意識でアレンジされることで、「レレトロでモダン、素朴でハイセンス」な姿へと生まれ変わっている。そして2026年10月、景観整備を終えた艋舺公園がリニューアルオープン。台北の旧市街で「台湾感性」が花開く、新たな章が幕を開ける。さあ、その魅力を体験してみよう──。
目次
寺廟の歴史に育まれた100年の老舗
オリジナルブレンドの青草茶(ハーブティー)を片手に、ユニークなおみくじを引いてみよう。100年以上続く青草茶の老舗「德草安青(DayOn Herb-made)」は「青草巷」で生まれた店。清代から多くの薬草店が集まり、「救命巷(命を救う路地)」とも呼ばれるこの細い路地には、一帯に草木の香りが漂い、今もなお、先人たちが薬草で人々を救ってきた知恵が受け継がれている。「德草安青」の創業者はかつて龍山寺の門前で屋台を構え、参拝者が「薬籤(おみくじ)」を引いて授かった処方箋に基づき、薬草を調合していた。現在の店舗には、当時の歴史に敬意を表したユニークな「おみくじ棚」が設置されている。

100年続く青草茶の老舗「德草安青」
地元らしさと国際的な魅力を併せ持つ庶民派グルメ
約300年の歴史を持つ「龍山寺」は、観世音菩薩を本尊とする寺院で、媽祖、関聖帝君、月下老人など、台湾の民間信仰で親しまれている神々も共に祀られている。ここは萬華の人々にとって信仰の中心であり、台湾の宗教文化と建築美を感じられる文化的なランドマークでもある。

龍山寺の向かいの路地にある「吉食緣味(Veggie Fate)」は、精進料理の麺や点心を専門に提供する店。興味深いことに、店主自身は仏教徒でもベジタリアンでもない。にもかかわらず、観音菩薩の夢を見たことがきっかけで、この店を始めるという縁が生まれた。店を訪れると看板に描かれた麺の上にちょこんと座るキュートな観音様が出迎えてくれる。観音様は店内の壁でも優しく注意事項を教えてくれる。提供する料理は天然素材にこだわり、化学調味料は一切不使用。素材本来の味を大切にしており、ベジタリアンではない人や外国人観光客も評判を聞きつけて訪れる。

キュートな観音様が注意事項を教えてくれる「吉食緣味」
東園街にある「家吶子(Ka-la̍h-á)」は、この地域の古い呼び名「加蚋仔」にちなんで名付けられた店だ。創業者自身は生粋の加蚋仔人。夫と力を合わせ、地元の食文化に創意工夫を加え、故郷への熱い想いを伝えている。店には香菇肉燥(椎茸入り肉そぼろ)、紅燒肉(豚バラ肉の紅麹揚げ)、烤香腸(焼きソーセージ)など、台湾の定番料理が勢ぞろい。少し変わったものを試してみたいなら、塩漬け卵黄をまぶしたカボチャのフライや、ピーナッツバターとチーズを包んだ厚焼き卵もおすすめ。台湾らしい料理に、日本や米国のエッセンスが溶け込んだ、ユニークなメニューだ。「呷飽未(ご飯は食べた?)」という言葉は、この店ならではの「いらっしゃいませ」。台湾人があなたに贈る「こんにちは!」の挨拶だ。

台湾らしさあふれる居酒屋「家吶子」
艋舺らしさを感じる文化体験
赤レンガのアーチに囲まれた「剝皮寮歴史街区」まで足を延ばし、清代から日本統治時代の建築が残る街並みを歩きながら、古い街の風情を感じてみよう。その向かいにあるのが、その向かいにあるのが、日本雑貨と癒やしのコーヒーを楽しめる複合空間「金舞心(Heartening Goods & Coffee)」だ。店主一家は艋舺で16代にわたって家業を受け継ぎ、祖先の代から龍山寺を支えてきた。神様の祭壇「神明桌」を利用したテーブルで、「上上籤拿鐵(最高の運勢ラテ)」と「聖杯昭和布丁(聖杯昭和プリン)」を味わえば、運気上昇間違いなし!

ご利益いっぱいの雑貨&カフェ「金舞心」
プロの歌手さながらのステージを体験してみたい?マイクを手にすれば、国宝級の演奏家が自ら伴奏してくれる、艋舺に今も残る数少ない「流し」文化に、萬華の「茶店」ならではの風情を織り交ぜた場所「龍山聚樂部(LongStage Music Cafe)」に行ってみよう。ここは音楽好きが集い、交流できる空間で、女将自慢の料理も味わえる。みんなで食べて、歌って、思い切り楽しもう!

国宝級の演奏家が開いた「流し」と食事を楽しむ「龍山聚樂部」
庶民の暮らしから生まれた伝統市場の老舗
角を曲がって「東三水市場」に入ると、市場にちなんだ名前を持つ製麺の老舗「菜漆麵匠(VegeNoodler)」がある。看板商品は、野菜や果物で色付けした麺。ほうれん草、ドラゴンフルーツ、紫米、人参、紅麹を使い、緑、ピンク、紫、オレンジ、赤と、天然素材ならではの鮮やかな色彩が特徴だ。毎日作り立ての生麺はもちろん、お土産にぴったりのボトル入りの瓶入りの乾麺も販売している。

野菜麺のように色鮮やかな店内の「菜漆麵匠」
同じ市場内には、60年にわたって受け継がれてきた魚丸(魚のつみれ)の老舗「艋舺大豐(Da Fond Fishball)」もある。毎日未明に港から届く新鮮な魚介類が到着すると、店主は鮮度のいいうちに魚のすり身作りや味付けを始め、魚丸や揚げ物を仕込んでいく。原材料の選定から食材の下処理まで、すべてに厳しいこだわりが貫かれている。牛蒡酥(ゴボウチップス)、甜不辣(台湾式さつま揚げ)、排骨酥(豚スペアリブの揚げ物)など、口コミで評判が広がった人気商品は必食だ。3代にわたって受け継がれてきた、昔ながらの懐かしい味をぜひ堪能しよう!

伝統市場で受け継がれてきた味を楽しむ「艋舺大豐」
お腹が満たされたら、日本時代の史跡「新富町文化市場」へ足を運ぶのもお忘れなく。リノベーションを経て様々な店が入居するこの場所は、ノスタルジックな日本式建築と馬蹄形(U字型)の吹きぬけが特徴で、観光客に人気のフォトスポットとなっている。

これらの個性豊かな店は、台北市商業処が推進する「台北造起來」計画から生まれたもの。この取り組みは、先駆的な取り組みが波及効果を生みだすことで、街全体の再生を促すもので、過去12年間で台北市内248軒の個性豊かな店をリニューアルしてきた。全体のうち、萬華区だけでも46軒にのぼる。
2025年、「台北造起來」は、老舗の再生や商業エリアの活性化、地域文化の持続的な継承に取り組んできたことが評価され、「TSAA 台湾サステナブル・アクション・アワード」を受賞した。昔ながらのレトロな街並みは、今では現代の台湾の暮らしと「台湾感性」を感じられる、魅力的な観光スポットへと生まれ変わっている。新しく生まれ変わったばかりの艋舺公園を散策し、向かいの龍山寺で観音様にお参りしたら、個性豊かな店を一軒ずつ訪ねてみよう。きっと素敵な驚きとの出逢いが待っているだろう。

臺北市政府產業發展局、臺北市商業處廣告
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